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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第151回 [2024.4.21]

第二八巻 君臣 遺し宣りの文 (1)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 きみとみのこしのりのあや (その1)
 君臣 遺し宣りの文 https://gejirin.com/hotuma28.html
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 きみとみのこしのりのあや
 ゐそすすの ちゑのはたとし あめかわる
 こよみまたとて ものぬしか いせにもふてて これおとふ
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 君臣 遺し宣りの文
 五十鈴の 千枝の二十年 天代わる
 「暦まだ」 とて モノヌシが イセに詣でて これを問ふ
―――――――――――――――――――――――――――――

■五十鈴の千枝の二十年 (ゐそすずのちゑのはたとし) ▶数詞
鈴の木(=まさかき)は 999枝60穂 の合計6万年で寿命が尽きるため、
1000枝の20穂/年という暦はありえず、普通は51鈴0枝20穂/年と表すべきところです。
ということはつまり、何か普通ではない事が起っているということです。 ▶二十(はた)


■天代わる (あめかわる)
これは 「皇が交代した」 ことを意味します。 ▶天
つまり 御祖天君 (=ウガヤフキアワセズ:斎名カモヒト) が神となったということです。

 ミヤサキ山の 洞に入り 「アカンタヒラ」 と あがります 〈ホ27-8〉

・26鈴16枝41穂 テルヒコ大和国へ。 ・26鈴17枝23穂 ニニキネがニハリ宮を建てる。
・29鈴501枝38穂 ニニキネ三種を受け八州巡幸に出発。 ・ちょうど30鈴頃 地上ほつま出現。
・31鈴333枝頃 オシホミミ帰天。 ・32鈴900枝23穂 ミヅホ宮に遷都。
・36鈴34枝38穂 ヒコホオデミ即位。 ・42鈴850枝60穂 ヒコホオデミ帰天。
・42鈴851枝2穂 カモヒト即位。 ・50鈴1000枝20穂 カモヒト帰天


■モノヌシ
5代オオモノヌシの クシミカタマ を指します。 ▶オオモノヌシ

          ┌ミシマ─タマクシ姫┐┌クシミカタマ┐
         │         ├┤      │
         ├ツミハ──────┘└クシナシ  │(養子)
   コモリ───┴カンタチ┐            │
(3代オオモノヌシ)      ├─フキネ(4代)      ↓
          フトミミ┘   ├──────クシミカタマ
                  │        (5代)
                サシクニ別姫


イセ (妹背・伊勢)

詣づ (もふづ)

 

【概意】
君臣 遺し宣りの文
50鈴の1000枝の20年、皇が交代する。
「暦がまだ改まっていない」 と、モノヌシがイセに詣でてこれを問う。

 

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 ふたゑこれより うかかはて こふとのにうく よろこひと
 ともにいたれる おうちみや かすかにあいて もとおとふ
 をきなこたえて
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 フタヱ 「これより 伺はで 代殿に請く 喜び」 と
 共に到れる 大内宮 カスガに会いて もとを問ふ
 翁 答えて

―――――――――――――――――――――――――――――
 
フタヱ (二重・▽付合)・アメフタヱ(▽陽陰二重)
イサワの宮で 日夜見(ひよみ) を務める臣で、旧名はムラクモでした。 ▶イサワの宮 ▶ムラクモ
“イサワ” と “ヒヨミ” は原義が同じであるため、イサワの宮は 日夜見の宮 とも呼ばれます。

 汝ムラクモ 暦 成す 明暗見 曇れば 賜ふ名は アメフタヱなり 〈ホ24ー1〉


■伺はで (うかがはで)
ウカガフ(伺ふ)デ(打消) で、今風に言えば、「伺わなくては・伺わねば」 などです。


代殿 (こふどの)
「代りの殿・代理として立つ者」 という意で、「皇君の代理」 をいいます。
この場合はやはり クシミカタマ を指します。

 29・30アヤで語られますが、タガの皇君のヰツセが、ナガスネヒコの暴挙を恐れて
 九州に避難したため、オオモノヌシのクシミカタマが タガの皇君の “代殿” として
 国政を総括しています。


大内宮 (おうちみや・をうちみや・ををうちみや・うおちみや)
「イサワ宮の中にあるアマテルの皇居」 が “大内宮” です。


カスガ
ウガヤ政府の 左の臣(=鏡臣) をオシクモに譲った後は、
イサワ宮のアマテルのもとに侍ったようです。

         ┌フツヌシ
        ??┤
         └アサカ姫┐
              ├──アマノコヤネ
 ツハヤムスビ─??─ヰチチ─┘     ├──オシクモ──タネコ
                    ├──ヒタカヒコ
 トヨケ─??─ヲバシリ─タケミカツチ─ヒメ  (ヒタチ)

 

【概意】
フタヱは 「ではこれから伺わねば。代殿より承る喜び」 と、
共に大内宮に到り、カスガに会って原因を問う。
翁は答えて、

 

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 このすすは あめつちひらく とこたちの みやのまさかき
 あゑちゑに さくすすとなる
 うゑつきの ゐもにいたれは みもはかり
 よろとしみちて ゐもつきの あまのまさかき

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 この鈴は 天地開く トコタチの 宮の真榊
 熟枝 千枝に 幸鈴となる
 植え継ぎの 五百に至れば 三百ハカリ
 万歳満ちて “五百継ぎの 天の真榊”

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鈴・▽寿 (すず) ■鈴木 (すずき) ■鈴の木 (すずのき)
マサカキ(真榊) の別名です。「鈴の木・鈴木」 ともいいます。


天地開く (あめつちひらく)

■トコタチ (▽疾立ち)
この場合は クニトコタチ の略で、ミナカヌシ+ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ の8尊 をいいますが、
その中でも特に、日本に降臨した 「ヱの尊」 と 「トの尊」 の兄弟を指します。


■トコタチの宮の真榊 (とこたちのみやのまさかき)
日本に降臨した 「ヱの尊」 と 「トの尊」 の兄弟は、交替で国君となって原始日本を治め、
その皇宮の庭にマサカキを植えて年を数えます。


■熟枝 (あゑ)
「成熟した枝」 という意で、「伸びが3尺に達したマサカキの枝」 をいいます。
“ア” は アム(▽上む)の名詞形で、アムは ウム(熟む)の変態です。ゆえに “熟” と当てています。
3尺に達するには60年を要します。


幸鈴 (さくすず)

■植え継ぎの五百に至る (うゑつぎのゐもにいたる)
「植え継ぎを500回くり返して上限に達する」 という意です。


■三百ハカリ (みもはかり)
“ハカリ” は 「10万」 を表す数詞です。300ハカリ=3千万年 です。 ▶ハカリ


■万歳満つ (よろとしみつ)
「発展成就が満ちる・行き着く・極まる」 という意です。 ▶万歳
つまり 「6万年成長して幸鈴となること500回、これにて完了・おしまい」 ということです。


■五百継ぎの天の真榊 (ゐもつぎのあまのまさかき)
「500回植え継ぐ御上の真榊」 という意です。
アマ(天)は 「御上・中央政府・公・皇」 などを意味します。

 

【概意】
この鈴は、陽陰が分れて生じたトコタチの、皇宮に植えた真榊。
熟枝が1000本になると幸鈴となり枯れる。その植え継ぎが500回の上限に至れば3000万年。
これをもって進展成就が満ち極まるため、“五百継ぎの天の真榊” という。

 

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 としのほの ととせにはゐき むそとしに みたのふゑとの
 ひとめくり あくるとしなる みたのあゑ

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 年の穂の 十年には五寸 六十年に 三尺伸ぶ
 干支の一巡り 明くる年成る 三尺の熟枝

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  ここは五七調が少々いびつなため 言葉の区切りを調整しています

■年の穂 (としのほ)
この “穂” は長さの単位で、1穂=0.5寸(約1.125cm) です。 ▶穂
ですから 真榊の枝の伸びは 「1年に1穂」 という意となります。


寸 (き) ■尺 (た)

■干支の一巡り (ゑとのひとめぐり)
「干支が一巡すること・還暦」 をいい、「60年」 に相当します。 ▶干支


■明くる年 (あくるとし)
ここでは 「翌年」 の意ではなく、「明ける年・あがりの年・完了する年」 を意味します。
つまり 「干支の一巡が完了する60年目の年」 です。

 ★明くる (あくる)
 アク(明く)の連体形で、「1つのサイクルが完了して改まる」 という意味ですが、
 「完了する・あがる・終る」 の意を表す場合と、「改まる・新たなサイクルに入る」
 という意を表す場合の2通りがあります。この場合は前者です。

 

【概意】
真榊の枝は 1年に1穂、10年で5寸、60年で3尺に伸び、
干支の一巡が完了する年に3尺の熟枝が成る。

 

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 なれはふたゑと きあゑより ゑとほとかそえ
 ひとゑむそ とゑはむもとせ もゑはむち ちゑにむよろお
 あまもりの ひとめくりつつ こよみなる

―――――――――――――――――――――――――――――
 なれば二兄弟 キアヱより 枝と穂と数え
 一枝六十 十枝は六百年 百枝は六千 千枝に六万を
 陽陰守の 一巡りづつ 暦成る

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■二兄弟 (ふたゑと)
「ヱの尊」 と 「トの尊」 の兄弟をいいます。

 ヱト(干支・▽上下・▽兄弟)は、
 組み合せがつくる60パターンで構成されますが、“ヱト” という名称は そもそも
 
ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メの尊 と の尊 の兄弟に由来するものです。
 干支表記の末尾に付く ’ヱ’ と ’ト’ は 年/日ごとに入れ替わるのですが、
 これは ’ヱの尊’ と ’トの尊’ の兄弟が かわりばんこで中央政府の君を努めたことに
 起源があると考えられます。

  ミナカヌシ 地球八方に 万子生み 果つに ヲウミの 兄弟の子の
  
兄御子(=ヱの尊) 上に継ぎ ヲウミ治す 弟御子の統む トシタ国 … …
  百ハカリ後 
弟の尊(=トの尊) 兄に受け治む
  それよりぞ 
かわるがわりに 代を継ぎて 〈ミ6-3〜4〉


キアヱ
60年/日で一巡する 「干支の最初の年/日」 です。


■陽陰守 (あまもり)
これは ヱトモリ(干支守) の別名で、干支を構成する
11神の総称です。アマ(陽陰)は この場合は 「上下」 を意味し、ヱト(▽上下・▽兄弟)の換言です。
他にも 年宣り神、ウマシアシカイヒコチ神 など非常に多くの別名があります。


暦 (こよみ)

 

【概意】
さればヱの尊とトの尊の二兄弟は、キアヱより枝と穂と数え、
一枝は六十年、十枝は六百年、百枝は六千年、千枝に六万年と、
干支守の巡りを繰り返すことにより暦が成る。

 

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 かれちゑのとし たねうゑて あくれははゆる まさかきお
 はこくにみやに とこたちの うゑてくになも ひたかみの
 たかみむすひの うゑつきの ふそひのすすの ももゑのち

―――――――――――――――――――――――――――――
 故 千枝の年 種植えて 明くれば生ゆる 真榊を
 ハコクニ宮に トコタチの 植えて国名も ヒタカミの
 タカミムスビの 植え継ぎの 二十一の鈴の 百枝後

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■千枝の年 (ちゑのとし)
「熟枝が1000本となる年」 のことで、「999枝60穂の年」 をいいます。 ▶熟枝


明くる (あくる)
この “明くる” は 「改まる・新たなサイクルに入る」 の意で、
「年が明ける・年が改まる・新年になる」 ということです。


■ハコ国宮 (はこくにみや)
ハコ国は 「分けた国・分国」 の意で、これは 「ヒタカミ国」 の別名です。 ▶ハコ国
ですから “ハコ国宮" は 「ヒタカミの都・ヒタカミのタカマ」 の換言です。 ▶タカマ

 トコヨ尊 木の実 東に 植えて生む ハコ国の尊
 
ヒタカミの タカマに纏る ミナカヌシ 〈ホ2ー3〉


■トコタチ (▽疾立ち)
これは “ハコ国の尊” の子で、ヒタカミを統一して初代のタカミムスビとなった、
東のトコタチ” をいいます。「東方の先達」 という意です。

 タチバナ植えて 生む御子の タカミムスビを 諸 称ゆ 「東のトコタチや」 〈ホ2ー4〉

 東のトコタチはハコ国宮(=ヒタカミの宮)に真榊を植えます。これはおそらく
 中央政府の皇が真榊を植え継ぐ時に、平定統一が成った兄弟国のヒタカミに種を分け与え、
 それを植えたものと推測します。ですからこれ以後は、中央政府の宮とヒタカミの宮で、
 並行して真榊を植え継いでいたわけです。

 タカミムスビと 国統べて … … 五百継ぎの 真榊も植え 代々受けて 〈ホ4-1〉

 しかし中央政府の皇統がオモタル&カシコネで断絶すると、その真榊の植え継ぎも
 途絶えてしまいます。なぜなら真榊の植え継ぎは “君の御業” と定められているため、
 御言宣を受けずに他の者が代行することはできないからです。
 このため以後 真榊の植え継ぎは ヒタカミのタカミムスビのみが続けることになります。

 植継ぎ五百の 後の初 五百継ぎ天の 真榊を 君の御業と 〈ホ18ー2〉

 

【概意】
しかれば千枝となる年に種を植え、年が明ければ生える真榊を
東のトコタチがハコクニ宮に植えて、国名もヒタカミとなし、
代々のタカミムスビが植え継いで、21鈴の100枝の後、

 

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 ゐよたまきねの いさこひめ ななよのかみの たかひとと
 たかひのつさの つくはやま いさかわはなる みやにゐて
 うなつきあみて きみあひて なもいさなきと いさなみの

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 五代タマキネの イサコ姫 七代の尊の タカヒトと
 タカヒの西南の ツクバ山 イサ川端なる 宮に居て
 頷き編みて 木実合ひて 名もイサナキと イサナミの

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タマキネ

■イサコ姫 (いさこひめ)
タマキネの娘で、イサコは イサナミの斎名です。 ▶イサ

 クニトコタチ─クニサツチ┐
   (I)     (II)  │
 ┌───────────┘
 ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル
 │ (III)    (IV) │  (V)   (VI)    ┌クラキネ
 │          │           ├ココリ姫
 │          └アメヨロツ┬アワナキ─┴イサナキ┐
 │          (養子)↑  └サクナキ   (VII) ├ヒルコ
 │             └─────┐       ├アマテル
 ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ    ├ツキヨミ
 │      (初代)  │               ├ソサノヲ
 └ウケモチ       └タカミムスビ─トヨケ┬イサナミ┘
               (2〜4代)   (5代)├ヤソキネ─タカキネ┬オモヒカネ
                        │ (6代)   (7代) ├ヨロマロ
                        ├カンサヒ     ├フトタマ
                        └ツハモノヌシ   ├タクハタチチ姫
                                  └ミホツ姫


■七代の尊のタカヒト (ななよのかみのたかひと)
「クニトコタチから数えて 7代目の国君のタカヒト」 という意です。 ▶タカヒト
タカヒトはイサナキの斎名で、根の国を平定して治めたアワナキの子です。 ▶アワナキ

 ミナカヌシ─天の八尊─地の十一尊─クニサツチ─トヨクンヌ┐
 ←……… クニトコタチ(I) ………→   (II)    (III)  │
                             │
       ┌―――――――――――――――――――――┘
       │
       └ウビチニ
       (IV) ├――――ツノクヰ
         スヒヂ  (V) ├――――オモタル
               イククイ  (VI)├ … (断絶) … イサナキ
                     カシコネ    (VII)│
                               イサナミ


■タカヒ (高日)
ヒタカミ(日高み) の換言です。


■イサ川端なる宮 (いさかわはなるみや)
「イサ川のほとりにある宮」 という意で、“ツクバのイサ宮” とも呼ばれます。
イサ川は 後には 伊佐々川(いさざがわ) と呼ばれ、現在は 桜川(さくらがわ) と呼ばれています。


■頷き編む (うなづきあむ)
“頷く” は ここでは 「合う/合わす」 の表示で、“編む” は 「交わる」 と同じです。
ですから 「合い交わる・交じり合う・交ぐ合ひをなす」 という意です。 ▶みとの交ぐ合ひ
つまり イサコとタカヒトが交合して一つに融合することをいいます。

 さらに “頷き編む” には奥なる意味があり、
 “編む” は 「陽の能動性」 を、“頷く” は 「陰の受動性」 を表します。
 これは 「陽の突進を和(やわ)す/かわすように陰が対応する」 ことを意味し、
 “合ふ失す” “編むと和し”  “付離(つくば)” など、多くの換言があります。

 基つ音の アムとヤワシの 付離根を 結びまします アメミヲヤ
 いま二尊も なぞらえて “
付離の神” と 称え給ひき 〈ミ10-2〉


■木実合ふ (きみあふ)
キミ(木実)は 「陽陰・日月・男女・夫婦」 を意味します。
ですから 「木と実(陽と陰)が一つに融合する」 という意です。 ▶葵桂の妹背/結

・“付く離る” 三生き悟りて 君となる 〈ホ26-3〉
葵桂の 妹背を得ば “人生き” 悟る 三つ知れば 竜君如く 神となる 〈ホ26-3〉


イサナキとイサナミ

 

【概意】
タカミムスビ5代タマキネのイサコ姫は、7代の尊のタカヒトと、
ヒタカミ西南のツクバ山麓を流れる イサ川の辺の宮に居て、
合い交わりて陽陰を結い和し、名もイサナキとイサナミの、

 

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 あめふたかみの みこなきお かれたまきねの かつらきの
 やまにいのれは あめみをや ひのわのみたま わけくたし
 あまてるかみお うみたまふ

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 陽陰二尊の 御子なきを 故 タマキネの 桂来の
 山に祈れば アメミヲヤ 日輪の神霊 分け下し
 アマテル神を 生み給ふ

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■陽陰二尊 (あめふたかみ)
「イサナキ&イサナミの二尊」 を指します。
この二尊には 付離の神(つくばのかみ) という別名があり、アメ(陽陰)は “付離” の換言です。
天のアワ歌 (付きの歌と離れの歌) によって陽と陰の本質を現した二尊」 という意味です。


■御子なき (みこなき)
“御子” は 「代嗣御子」 のことで、すでに長女のヒルコはイサ宮で生れています。 ▶ヒルコ


■桂来の山・桂木山 (かつらきのやま・かつらきやま)
尽き桂来の霊鳥山 の略で、出国の鳥海山をいいます。
鳥海山は古くは、鳥見(とりみ)山、大物忌(おおものいみ)山、比山/日山(ひのやま)、羽山、鳳山、
などと呼ばれています。


■日輪の神霊分け下す (ひのわのみたまわけくだす)
アメノミヲヤ(=アウワ)の、ア(陽・日)ワ(陰・月) が漏れ出ることをいいます。 ▶日輪
アマテル神は “日輪分身” とも呼ばれます。 ▶日輪分身

 アメノミヲヤの 眼より 漏るる日月
 天元神 三十二の神の 守るゆえ 子種生ること 覚えます 〈ホ4ー2〉

時に天より丹霊鳥の羽が1枚落ちてきて、タマキネは祈りが叶うことを確信します。 ▶丹霊鳥

 桂来の 代嗣社に 御胤祈る 時に天より 丹霊鳥の 一羽落つれば 天つ宣
 これは気吹の 成る紅葉 化けて
桂来 霊鳥山 〈ホ16-7〉

 

【概意】
陽陰二尊の御子なきを、タマキネが桂来の山に祈れば、
アメミヲヤは日輪の神霊を分け下してアマテル神を生み給う。



―――――――――――――――――――――――――――――
 ときふそひすす もふそゐゑ みそひきしゑの はつひのて
 わかひとともに あれませは いみなわかひと
 うふみやは はらみさかおり

―――――――――――――――――――――――――――――
 時 二十一鈴 百二十五枝 三十一 キシヱの 初日の出
 若日と共に 生れませば 斎名ワカヒト
 産宮は ハラミサカオリ

―――――――――――――――――――――――――――――

■二十一鈴百二十五枝三十一 (ふそひすずもふそゐゑみそひ)
二尊の結婚が “21鈴の百枝後” ですから、それから1500年ほども後です。


■キシヱ
干支の31番目です。よってキシヱは “三十一” の換言です。 ▶干支


若日 (わかひ)

ワカヒト

■ハラミサカオリ (孕み栄下り)
「ハラミ山の麓のサカオリの宮」 という意です。 ▶ハラミ山 ▶サカオリの宮

 

【概意】
時、21鈴125枝31穂 キシヱの初日の出。
若日と共に生れませば 斎名ワカヒト。産宮はハラミ山麓のサカオリ宮。



―――――――――――――――――――――――――――――
 をのゑなお ねにおさむれは よくまもり わさはひあるも
 しなかゑて ふせきはらえは やわらきて たまのをなかく
 これにより おおやますみか めくりみて
 よめちゆくねの をにおさむ ゑなかたけなる しなのくに

―――――――――――――――――――――――――――――
 緒の胞衣を 北に納むれば よく守り 災ひあるも
 品 替えて 防ぎ祓えば 和らぎて 霊の緒 永く
 これにより オオヤマズミが 巡り回て
 ヨメ路行く北の 尾に納む “胞衣が岳” 生る シナの国

―――――――――――――――――――――――――――――

■緒の胞衣 (をのゑな)
「結びの胞衣」 という意で、つまり 臍の緒 です。 ▶緒 ▶胞衣


災ひ・禍 (わざはひ)
この場合は 「ハハやイソラの災い」、つまり 「邪霊の障り」 をいいます。 ▶ハハ ▶イソラ


品・科 (しな)

和らぐ (やわらぐ)
「和して平らになる・調和する・治まる・調う・直る」 などが原義です。


■霊の緒永く (たまのをながく)
「霊の緒を永く保つ」 という意です。 ▶霊の緒
霊の緒は 「魂と魄の結合」 をいい、この結合が人の命を保っています。
つまり 魂と魄の結合が切れれば 人は死にます。
したがって “霊の緒を永く保つ” は、「寿命を永く保つ」 の換言です。


オオヤマズミ
ハラミの宮で 大老翁(うをやをきな) として二尊に仕えていた、
初代オオヤマズミの 「サクラウチ」 です。 ▶ハラミの宮 ▶サクラウチ

 大老翁の ヤマズミが 寿ぎ歌ふ
 「むべなるや 往きの宜しも 御代嗣も よよの幸ひ 開けり」 と 〈ホ4-3〉


  サクラウチ─┬─カグツミ─┬カグヤマ──カゴヤマ
 [初代ヤマズミ]│  [2代]   ├カンタマ
        │      └マウラ──┬イワナガ
        │       [3代]   └アシツ姫
        │
        ├─ホノコ(セオリツ姫)
        │  ├──オシホミミ─┬クシタマホノアカリ(斎名テルヒコ)
        │ アマテル      │
        │  │        └ニニキネ(斎名キヨヒト)
        └─ハナコ(若サクラ姫)


■ヨメ路 (よめぢ:▽酔路・▽病路・▽黄泉路)
木曾路 の別名で、クモヂ(雲路・▽隈路) とも呼ばれます。

 ヨメは ヨヒ(酔い)・ヤミ(病み)・ヨミ(黄泉) などの変態で、「衰弱」 を意味します。
 ですから 「衰える道・弱らせる道」 という意です。
 実際かつての木曾路は、鹿の邪息によって通行人が病気になることが多かったようです。

 先に木曾路の 瘁え臥すも 祓ひ免る
 「鹿の道は 蒜を噛み塗り 邪息に あたらじもの」 と 語り給ひき 〈ホ39〉


■尾 (を)
ウホ(▽上)の短縮音で、「上・突出・凸」 を原義とし、「穂・峰」 と同じです。 ▶ホ(穂)


■胞衣が岳 (ゑながたけ)
「胞衣の峰」 という意で、「アマテルの胞衣を納めた峰」 の名です。
現在は 恵那山 (2191m) と呼ばれ、山頂には恵那神社があります。

 恵那神社・惠奈神社 (えなじんじゃ)
 美濃国高島郡。岐阜県中津川市中津川字正ヶ根3786。 
 現在の祭神:伊弉諾命、伊弉册命
 ・神代の昔 天照大神御隆誕ありし時、血洗地にて産穢を洗い胞衣を
  恵奈嶽(えなだけ)に納む。胞山(えなさん)の名の起こりし故なり。
 ・昔は恵那山山頂が本宮、麓が前宮であったが、1620年に本宮が奥宮、前宮が本宮に変更。


■シナの国 (しなのくに:▽凌の国)
後の 「信濃国・信州」、今の 「長野県」 です。 ▶シナ

 

【概意】
緒の胞衣(=臍の緒)を、北に納めればよく守り、邪霊の障りがあっても
品を替えて防ぎ祓うため、ほどよく調い、霊の緒を永く保つ。
これによりオオヤマスミが巡回して、木曾路を行く途中の北の尾に納める。
こうしてシナの国に “胞衣が岳” が生る。

 “緒の胞衣を北の尾に納める” その理由は語呂合せであるようです。
 ヲ(緒)は 「結び」 ですから ネ(和)と同義で、これをネ(北)に語呂合せ。
 ネ(和)は 「やわし・やわらぎ」 が原義です。
 また ナガ(長・永)は ナグ(和ぐ)の名詞形で、「和して伸びるさま」 です。
 そしてまた ヲ(緒)を ヲ(尾)に結びつけます。

 つまり、ヲ(緒)を ネ(北/和)の ヲ(尾・峰)に納めれば、和らいで(調って)
 霊の緒を永く保つ(和して伸ばす)、ということでしょう。

 

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 いたるわかひと ひたかみの あめのみやにて みちまなふ
 みそほにしろし みやつくり おおひやまとに まつりとる
 あめふたかみの ゆつりうけ あまひのみこと

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 至るワカヒト ヒタカミの “陽陰の宮” にて 道学ぶ
 三十穂に知ろし 宮造り 太陽山下に 纏り執る
 陽陰二尊の 譲り受け “和日” の尊

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■至るワカヒト (いたるわかひと)
「成人したワカヒト」 という意味です。男子の場合は15歳前後で成人とみなされたようです。
ワカヒトは16歳までサカオリ宮で育ち、その後ヒタカミへ遊学します。

 二尊の 実心つくす アマノハラ 十六穂居ますも 一日とぞ 思すは恵み  篤きなり 〈ホ4ー5〉


■陽陰の宮 (あめのみや)
「陽陰(=日月・妹背)の宮・陽陰和合の宮」 の意で、
つまり日月の大神霊が和合して顕現した 「アマテル神の宮」 という意です。
この場合は ヒタカミに留学していた時のワカヒトの宿舎をいい、
ヤマテ宮(和宮)
アマツ宮(陽陰つ宮・和つ宮)日の君の宮 の換言です。

・召す出車を ヒタカミへ 御幸の君は 八房輿 … … みなケタツボの ヤマテ宮 〈ホ4-5〉
・陽陰神子 学ぶ 陽陰の道 … … タカミムスビの 五代君 日毎に上る 
アマツ宮 〈ホ4-5〉


■道 (みち)
陽陰の道陽陰和る道」 です。


太陽山・大日山 (おおひやま)

■知ろす・領ろす (しろす)
シル(知る・領る)ス(尊敬) で、シルの尊敬語です。
シルは 「我が身に合わす・自分のものとする」 が原義です。


■纏り執る (まつりとる)
ここでは 「万の纏りを執る」 という意です。

 ★万の纏り (よろのまつり)
 万の機の纏り事(よろのみはたのまつりごと) の略です。


■和日の尊 (あまひのみこと)
二尊より 和つ日月 を譲り受けた 「の尊=男の尊」 という意です。
対となる 「の尊=女の尊」 については次で示されます。

 

【概意】
成人となったワカヒトは ヒタカミの “陽陰の宮” にて道を学ぶ。
30年で我がものとされ、宮を造って太陽山の麓に万の纏りを執る。
陽陰二尊より和つ日月を譲り受け、“和日” の尊となる。

 

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 みうちには そふのつほねに おくきさき
 よたりのすけに ようちめと よおしもそゑて
 つきのみや せおりつひめお みきさきと あめにおさめて
 おおやまと ひたかみやすの まつりこと
 きこせはたみも おたやかに ふそゐよろとし

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 御内には 十二の局に 置く后
 四人の典侍に 四内侍と 四乙下添えて
 月の宮 セオリツ姫を 御后と 陽陰に収めて
 オオヤマト ヒタカミ・ヤスの 纏り事 
 聞せば民も 穏やかに 二十五万年

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御内 (みうち)
ミ(御)は カミ(上・神)の略、ウチ(内)は 「内部・内輪・近間」 を意味し、
この場合は アマテル神の皇居であるイサワの大内宮 をいいます。 ▶大内宮


局 (つぼね)

后・妃 (きさき)

典侍 (すけ) ■内侍 (うちめ) ■乙下 (おしも)

■月の宮 (つきのみや)
“月” は 和つ日月を受け継いで 「和つ日」 となったワカヒトと対になる 「和つ月」 です。
“宮” はここでは 「座・位」 などを意味します。よって “月の宮” は 「内宮御后」 の換言です。
なお その他のツボネ(=側室)は “星” になぞらえます。


セオリツ姫 (せおりつひめ)
オオヤマズミ初代サクラウチの娘で、通称セオリツ姫、斎名がホノコです。
ムカツ姫(向つ姫)とも呼ばれます。

  サクラウチ─┬─カグツミ─┬カグヤマ──カゴヤマ
 [初代ヤマズミ]│  [2代]   ├カンタマ
        │      └マウラ [3代]
        ├─ホノコ
        │  ├──オシホミミ┬クシタマホノアカリ(斎名テルヒコ)
        │ アマテル     │
        │  │       └ニニキネ(斎名キヨヒト)
        └─ハナコ


御后 (みきさき)

■陽陰に収む (あめにおさむ)
このアメ(陽陰)は 「大内宮」 の換言と考えています。 ▶大内宮
大内宮は “アメノミヲヤ(=アウワ)の宮“ を地上に写したものだからです。 ▶フトマニ図


■オオヤマト (太山下)
「太山の麓」 の意で、ホツマ国 の換言です。 ▶太山


ヒタカミ(日高み) ■ヤス(▽和)

纏り事・政 (まつりごと)

聞す (きこす)
キク(聞く)の尊敬語で、キクは 「(身に) 合わす」 が原義です。



【概意】
御内には12局に置く后。4人の典侍に、4内侍と、4乙下添えて、
月の宮セオリツ姫を御后と、大内に収めて、
太山麓のホツマ国、ヒタカミ国、アワ国の政をお執りになれば、
民も穏やかに25万年を経る。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

 

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