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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第23回 [2023.8.5]

第六巻 日の神十二后の文 (2)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 ひのかみそふきさきのあや (その2)
 日の神十二后の文 https://gejirin.com/hotuma06.html
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 きつさねの つほねはかわり みやつかゑ
 そのなかひとり すなおなる せおりつひめの みやひには
 きみもきさはし ふみおりて あまさかるひに むかつひめ
 つひにいれます うちみやに
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 東西南北の 局は替り 宮仕え
 その中一人 素直なる セオリツ姫の ミヤビには
 君もきざはし 踏み降りて “あまさかるひに 向つ姫”
 つひに入れます 内宮に
―――――――――――――――――――――――――――――

■東西南北の局 (きつさねのつぼね)
▶きつさね ▶つぼね


■宮仕え (みやつかゑ・みやつかえ)
「主人に付いてお世話すること」 をいいます。
ミヤ(宮) は 「中心・主」 を意味し、この場合は 「アマテル君」 です。


素直 (すなお)
ス(素)ナオ(直) の同義語連結です。
「反り曲りのないさま・片寄りのないさま・中庸なさま」 をいいます。 ▶中庸
言葉を換えれば 「和らぐさま・調和するさま」 です。


■セオリツ姫 (せおりつひめ)
この名前の由来がここで説明されています。

セ(背)+オリ(下り・降り)+ツ(=の)+ヒメ(姫) で、
セ() は 「男・夫」 を意味し、この場合は アマテル君 を指します。
オリツ(下りつ・降りつ) は 「降りたる」 という意です。
ですから 「アマテル君が階段を踏み降りたる姫」 という意味です。

セオリツ姫は さきに サクナダリ・セオリツ・ホノコ と紹介されてますが、
サクナダリは 「勢いよく滑り落ちること」 を意味し、セ(背/瀬) にかかる枕言葉。
これはアマテルが速川の瀬で禊していた時、滝から滑り落ちたことに由来します。
ですから “サクナダリ・セオリツ・ホノコ” は
「滝から滑り落ちる如くの勢いで、君が階段を降り下ったホノコ姫」 という意味です。

 昔 ハタレを 敗らんと 禊なす時 神の裳の 岩に懸かりて
 ひた引けば 
滝落ち下る “さくなだり” 
〈ホ28-8


■ミヤビ
ミユ(見ゆ)+ヤフ(▽和ふ・▽結ふ) の同義語短縮 “ミヤフ” の名詞形で、
「合わせ・結び・調和・同調・協調・協和」 などが原義です。多くの意味に使われますが、
この場合は、セオリツ姫の 「心に持つもの・気立て」 をいいます。

 辞書にある 雅(みやび) も、語源は同じと考えますが、
 後世、大きく意味が変わってしまったようです。


きざはし (階段・▽刻橋)
「きざみのある橋・ギザギザの橋」 の意で、「階段」 をいいます。
君の玉座である 高御座(たかみくら) の階段をいうのでしょう。 ▶画像

 ハシ(橋) は ハスの名詞形で、ハス は ハサム(挟む挿む) の母動詞です。
 ですから 「間にはさむもの」 を意味します。それゆえ ハシ(箸) も同源です。


■踏み降る (ふみおる)
この フム は フル(振る) の変態で、「勢いよく」 の意を続く動詞に添えます。
フミは フン(奮・墳) にも訛ります。 例:ふみはる → ふんばる ふみきる → ふんぎる
ここでは 「勢いよく降りる・跳び降りる」 という意です。


■あまさかるひに向つ姫 (あまさかるひにむかつひめ)
“アマサカルヒ” はアマテルを指しますが、3つの意味が重なります。
 (1) 天下がる日   上 (=高御座) から降りる日の神。     ▶アマ(天)
 (2) 陽陰下がる霊  太陽と太陰 (=日と月) が世に下った神霊。 ▶アマ(陽陰)
 (3) 和栄る日    やわして照らす (=あまてらす) 日の神。  ▶アマ(和)

ムカツヒメ(向つ姫) は、その神に「向かう姫・相対する姫」という意で、
アマテル君の内宮となった セオリツ姫 の別名です。
日に向つ姫 (ひにむかつひめ)、日の前向つ姫 (ひのまえむかつひめ) とも呼ばれます。

 廣田神社 (ひろたじんじゃ)
 摂津国武庫(むこ)郡。兵庫県西宮市大社町7-7。
 現在の祭神:撞賢木厳之御魂天疎向津媛命
       (つきさかきいつのみたまあまさかるむかいつひめのみこと)
 
・かつて 「むかつ峰」 と呼ばれた六甲山全山は、廣田神社の社領であったという。
 <筆者注> ムカツ姫が廣田宮に祀られる由緒は 28アヤで語られます。

 日前国懸神宮 (ひのくまくにかかすじんぐう)
 紀伊国名草郡。和歌山県和歌山市秋月365。 
 現在の祭神:日前大神、国懸大神 他
 <筆者注> ホツマでは “太陽の前宮・日の前宮” と呼ばれ、
      これを紀州の 国懸 となしたと記されます。

  
■内宮・内つ宮・内つの宮 (うちみや・うちつみや・うちつのみや)
「宮の中心部 (内奥部)」 の意で、国君の 「住居区」 をいいます。
また 君と共にそこに居住する 「正妃・皇后」 を “内宮” と呼びます。

 他の12人の后は 斎侍/側室 の扱いですが、内宮は 「皇后・正妃・中宮」 の身分です。
 “内宮に入れる” というのは、「皇后に選出する」 ことを意味します。

 

【概意】
東・西・南・北の4局は交替で宮仕え。
その中一人、素直なるセオリツ姫の気立てには、
君も階段をふみ降りて、ゆえに “あまさかる日に向つ姫”、
ついに入れます内宮に。



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 かなやまひこか うりふひめ なかこおすけに そなえしむ
 これおこよみの うりふつき 
 みなはたおりて みさほたつ
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 カナヤマヒコが ウリフ姫 ナカコを典侍に 備えしむ
 これを暦の “ウリフ月”
 皆 機織りて 操立つ
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■カナヤマヒコ (▽要山彦)
美濃国を知行する地守で、中山道を開きました。 ▶地守
カナ(▽要) は カヌ(兼ぬ) の名詞形で、「まん中にあるさま」 を意味します。
ゆえに “要山” は “中山” の換言で 「木曾山脈」 をいい、またその国である 「美濃」 を表します。
ヒコ(彦)
は 「臣・守」 の換言です。記紀には 金山毘古神/金山彦神 と記されます。

 南宮大社 (なんぐうたいしゃ)
 美濃国不破郡。岐阜県不破郡垂井町宮代字峯1734-1。  
 現在の祭神:金山彦大神、彦火火出見命、見野命
 ・旧名は 仲山金山彦神社。


■ウリフ姫 ■ナカコ (斎名)
カナヤマヒコ の娘で、“ウリフ姫” は通称、“ナカコ” は斎名です。
内宮に昇格したセオリツ姫の空きを埋めるため、南の局の典侍に入ります。
ウリフは “瓜生” の意で、「真桑瓜 の生える国=美濃」 を表すと考えます。


■暦のウリフ月 (こよみのうりふつき)
局の人員の調整にウリフ姫を入れましたが、12后は月になぞらえるため、
暦の調整のために加える月も、“ウリフ月” と呼ぶことにしたのでしょう。
これが後に 閏月(うるふづき) と呼ばれるようになったと考えられます。

 ★暦 (こよみ)
 コユ(越ゆ)ヨム(読む) の短縮 “コヨム” の名詞形で、
 両語とも 「行き来する・回る・巡る・進む・還る・繰り返す」 などが原義です。
 ですからコヨミ(暦) は 「回転・巡回・進展・帰還」 などが原義で、
 60年/60日で一巡する ヱト(干支) の換言です。


■機織りて操立つ (はたおりてみさほたつ)
ミサホ(操) は 「他にそれないさま・一筋・一途」 などが原義です。
タツ(立つ・▽達つ) は ここでは 「達する・つらぬく・通す」 などの意です。
ですから 「機を織って一筋を通す」 という意味になります。

 “機を織る” ことは、まっすぐな経糸に緯糸を隙間なくぴったり添わせて通す
 ということですが、キミ(木実) と同じ理由で、男は経に、女は緯に喩えます。
 そのため機織りは、妻が夫にぴったりと添って一筋を通すこと、つまり
 操を立てることを象徴する行為となるわけです。

 ★操 (みさほ)
 ミス(見す)+サフ(障ふ・支ふ) の短縮の名詞形で、
 サフは ソフ(添ふ・沿ふ) の変態、また サワル(触る・障る) の母動詞です。
 両語とも 「合わす・添う/沿う・離れず・それず」 などが原義です。
 マメ(忠) と同義ですが、マメ(忠)は主従関係に、ミサホ(操)は男女関係に用います。

 

【概意】
カナヤマヒコのウリフ姫ナカコを典侍に配備すれば、
これが暦の “ウリフ月” の名の起り。
后らは皆、機を織って君に一筋を通す。



 【内宮選定後のアマテルの13后】             出身地

 内宮    :セオリツ姫ホノコ  (サクラウチの娘)  ホツマ国

 北の局 典侍:マス姫モチコ    (クラキネの娘)   根の国
     内侍:コマス姫ハヤコ   (  〃   )   根の国
     乙下:アチコ       (カダの娘)     ヤマシロ

 東の局 典侍:オオミヤ姫ミチコ  (ヤソキネの娘)   ヒタカミ
     内侍:タナハタ姫コタヱ  (  〃   )   ヒタカミ
     乙下:ソガ姫       (ツクバハヤマの娘) ツクバ

 南の局 典侍:ウリフ姫ナカコ   (カナヤマヒコの娘) 美濃
     内侍:ワカ姫ハナコ    (   〃   )  ホツマ
     乙下:イロノヱ姫アサコ  (カスヤの娘)    ツクシ

 西の局 典侍:ハヤアキツ姫アキコ (カナサキの娘)   ツクシ
     内侍:オリハタ姫オサコ  (ムナカタの娘)   ツクシ
     乙下:トヨ姫アヤコ    (  〃   )   ツクシ



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 おとつきよみは ひにつきて たみのまつりお たすけしむ
 いよのふたなの をさまらて つきよみやれは
 いふきあけ とのみやにたす
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 弟ツキヨミは 日に次ぎて 民の纏りを 助けしむ
 イヨの二名の 治まらで ツキヨミ遣れば
 息吹上げ 凸の宮に治す
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ツキヨミ

■日に次ぐ/継ぐ (ひにつぐ)
“日” は 「日の神」、すなわち アマテル君を指します。
ツキヨミは、ここを含めた3か所で “日に次ぐ/継ぐ” ことを言われています。

・ツキヨミの尊 日に次げと アメに上げます   〈ホ3-3〉
・弟ツキヨミは 日に次ぎて 民の纏りを 助けしむ 
〈ここ〉
・昔 二尊 日の神を君 月は次ぐ 次ぐは臣 
〈ホ28-5〉


纏り・政 (まつり)
ここでは 「まとめ・束ね・治め」 の意です。


■イヨの二名 (いよのふたな)
イヨアワフタナ(伊予阿波二名) の略形です。


息吹・気吹 (いぶき)
イブク(息吹く・気吹く) の名詞形で、この場合は 「高まり・勢い・栄え・奮起・活躍」
などの意を表し、イサオシ(功) と同義です。イブ は ユフ(勇) の変態と考えられます。

 いさおし【勲・功】〈広辞苑〉
 事をうまくなしとげた名誉。手柄。勲功。いさお。


■凸の宮 (とのみや)・凸宮 (とつみや)
“イブキトの宮” の短縮で、四国を治める役所の名です。これは 「イブキを上げた宮」 の
意と思われるので、‘ト’  は タチ(立) と同義でしょう。それゆえ仮に “凸” と当てています。
このことにより四国は トツクニ(▽凸国) とも呼ばれるようになります。

 これ以前は、四国は イヨツヒコ (またの名アワツヒコ) が治めていました。
 ツキヨミは イヨツヒコの娘のイヨツ姫を娶って四国の治めを引き継いだようです。
 ツキヨミとイヨツ姫の間に生まれる子が イブトキヌシ/イブキヌシ です。

 ツキヨミの妻 イヨツ姫 生むモチタカは イブキヌシ 〈ホ6-5〉


治す (たす)

 

【概意】
弟ツキヨミは  “日に次ぐ” とて、民の纏りを助けさせる。
四国が治まらぬため、ツキヨミを派遣すれば、手柄を上げて 凸の宮に治す。



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 ちたるくに ますひとこくみ おこたれは たまきねつけて
 ひたかみは やそきねにたす たかきねお きみのたすけと
 たまきねは ゆきてさほこの くにおたす みやつのみやそ
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 チタル国 マスヒト・コクミ 怠れば タマキネ付けて
 ヒタカミは ヤソキネに治す タカキネを 君の助けと
 タマキネは 行きてサホコの 国を治す ミヤツの宮ぞ
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■チタル国 (ちたるくに)
ホソホコチタル国/サホコチタル国 の略です。

 
■マスヒト (益人・▽将人) ■天のマスヒト (あめのますひと)
「天 (=中央) から任命されて地方の国を纏る統治者」 をいい、地守 のトップです。
副マスヒトが2人添えられます。アマテルが君になってからは ツウヂ(通ぢ) とか
クニツコ(国造) と呼ばれることが多くなります。

 マス は マス(増す) の名詞形で、「合わせ・まとめ・統べ」 などの意です。
 ヒト(人) は ヒトクサ(人草) と言う場合のヒトで、「臣・守・司」 の換言です。
 大祓詞に 天之益人(あまのますひと) として登場します。

 安国と 平らけく 知し食さむ国中に 成出(なりい)でむ
 
天之益人等が 過ち犯しけむ 雑雑の罪事は 
大祓詞


■コクミ
サホコチタル国のマスヒトの名です。大祓詞に “胡久美” と記されます。

 白人(しろひと) 胡久美(こくみ) 己が母犯せる罪 己が子犯せる罪
 母と子と犯せる罪 子と母と犯せる罪 
大祓詞


■タマキネ ■トヨケ・トヨウケ
タマキネは、5代タカミムスビで、オモタル&カシコネ の後を受けて
暫定的に国家を統べた トヨケ/トヨウケ(響受け) の斎名です。 ▶タカミムスビ

 クニトコタチ の皇統を受け継ぐ本来の中央政府が、オモタル&カシコネ を
 最後に断絶した後、その国家危機を支えたのはヒタカミ国主のトヨケでした。
 トヨケは、根の国主の息子 タカヒト と、自分の娘の イサコ を婚姻で結び、
 この夫婦を国家君主として新たな中央政府(皇統)を打ち立てるのです。

 二尊の代嗣として貴い神霊が顕現することを願うトヨケは、出羽国の鳥海山
 8千回の モノ忌み を行って根源神アメノミヲヤに祈ります。その祈りが通じ、
 日月の神霊の顕現として誕生するのが アマテル (斎名ワカヒト) です。
 ワカヒトは若い頃、ヒタカミに滞在して祖父のトヨケから 陽陰の道 を学んでいます。


 クニトコタチ─クニサツチ┐
   (I)     (II)  │
 ┌───────────┘
 ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル
 │ (III)    (IV) │  (V)   (VI)    ┌クラキネ
 │          │           ├ココリ姫
 │          └アメヨロツ┬アワナキ─┴イサナキ┐
 │          (養子)↑  └サクナキ   (VII) ├ヒルコ
 │             └─────┐       ├アマテル
 ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ    ├ツキヨミ
 │      (初代)  │               ├ソサノヲ
 └ウケモチ       └タカミムスビ─トヨケ┬イサナミ┘
               (2〜4代)   (5代)├ヤソキネタカキネ┬オモヒカネ
                        │ (6代)   (7代) ├ヨロマロ
                        ├カンサヒ     ├フトタマ
                        └ツハモノヌシ   ├タクハタチチ姫
                                  └ミホツ姫

 
 大物忌神社 (おおものいみじんじゃ)
 出羽国飽海郡。山形県飽海郡遊佐町。  
 現在の祭神:大物忌大神
 <筆者注> 大物忌大神は 8千回のモノ忌みを行ったトヨケを指します。

 真名井神社 (まないじんじゃ)
 丹後国与謝郡。京都府宮津市江尻、籠神社奥宮。
 現在の祭神:豊受大神

 豊受大神宮 (とようけだいじんぐう)
 伊勢国度会郡。三重県伊勢市豊川町279番地。
 現在の祭神:豊受大御神


ヒタカミ
 
■ヤソキネ ■カンミムスビ
タマキネ(=トヨケ) の代嗣子で、イサナミの兄弟です。
トヨケを継いでタカミムスビ6代目となります。ヤソキネは斎名です。
子のタカキネにその位を譲って以降は、カンミムスビ とも呼ばれます。


■タカキネ・タカギ
ヤソキネ の代嗣子で、7代のタカミムスビです。幼名を フリマロ といい、
若きアマテルがヒタカミに滞在している間、常にそばに侍っていました。
オモイカネらの父です。タカキネは斎名で、タカギ とも呼ばれます。

 高天彦神社 (たかまひこじんじゃ)
 大和国葛上郡。奈良県御所市北窪158。 
 現在の祭神:高皇産霊神


■サホコの国 (さほこのくに)
これも ホソホコチタル国/サホコチタル国 の略称です。


■ミヤヅ (宮津)
天橋立 で有名な、今の 京都府宮津市 です。 ▶宮 ▶ツ(津/都)
サホコチタル国は ここを都としていました。マナヰ、ヨサ、カサヌヒ とも呼ばれます。

 

【概意】
チタル国は マスヒトのコクミが怠るため、タマキネを付けて、
ヒタカミはヤソキネに治めさせる。
タカキネをアマテル君の補佐となして、
タマキネは現地に行ってサホコの国を治す。ミヤツの宮ぞ。



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 つきすみは しまつひこより ななよすむ いまかなさきの
 ゑたかはね むなかたあつみ たすけしむ
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 ツキスミは シマツヒコより 七代統む 今カナサキの
 枝姓 ムナカタ・アヅミ 助けしむ
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ツキスミ


■シマツヒコ
太古 アワ国安曇川 で、朽木に乗って羽を乾かす鵜を見て、イカダを発明した人です。
子も孫も船の開発者でしたが、この一族は船を得て海に乗り出し、
九州北部の地に新天地を見出して開拓 したようです。

 シマツヒコ─オキツヒコ─シガ─?─?─?─カナサキ

 船はいにしえ シマツヒコ 朽木に乗れる 鵜の鳥の アヅミ川行く
 イカダ乗り 棹差し覚え 船となす 子のオキツヒコ 鴨を見て 櫂を造れば
 孫のシガ 帆ワニ成す 七代カナサキは オカメを造る 
〈ホ27-3〉


■統む (すむ)
スブ(統ぶ) の変態で、「結う・まとめる・束ねる・治める」 などの意です。


カナサキ
シマツヒコの7代の孫が カナサキ です。

 底ツツヲ 次 中ツツヲ 上ツツヲ これカナサキに 纏らしむ 〈ホ5-3〉


ムナカタ ■アヅミ
どちらもシマツヒコを先祖とする造船一族の末裔で、カナサキと同族です。

 底と中 上ワタツミの 三守生む これムナカタに 纏らしむ 〈ホ5-3〉
 シマツヒコ 次 オキツヒコ シガの守 これは
アヅミに 纏らしむ 
〈ホ5-3〉

 

【概意】
九州は、シマツヒコより7代に渡り統べてきた氏族の、
当代のカナサキに委ね、枝姓のムナカタとアヅミに補佐させる。


 つまりアマテル君は、イサナキが敷いた九州経営の基盤を、そのまま踏襲したわけです。

 

本日は以上です。それではまた!

 

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