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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第11回 [2023.7.21]

第三巻 一姫三男生む殿の文 (2)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 ひひめみをうむとののあや (その2)
 一姫三男生む殿の文 https://gejirin.com/hotuma03.html
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 あるかたち あめにつくれは ふとまにお あちはえいわく
 ゐよのうた ことおむすはす ことあけも めはさきたてす
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 ある形 上に告ぐれば フトマニを 味わえ曰く
 「五・四の歌 言を結ばず 言挙げも 女は先立てず」
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ある形 (あるかたち)
アル(有る・在る・生る)+カタチ(形) で、
「現れたさま・ありさま・状況・結果」 などの意です。

 ★形 (かたち)
 カタチ(形)は カタツ(▽固つ)という動詞の名詞形で、
 「物質的な現れ・目に見えるさま」 を意味します。


■▽上・天 (あめ)
このアメは アム(▽上む)の名詞形で、「上・先・前」 などを原義とし、
ここでは 「先代・祖・親」 などを意味します。
この場合は 「先代の国君・上皇」、すなわち トヨウケ(斎名タマキネ) を指します。


■フトマニ (太兆)
「ことごとくを表すもの・万象の表し」 という原義で、フトマニ図 の48神をいい、
これはすなわち 「日本語の48音」 の別表現です。人は万象を言葉に変換して理解を得て、
言葉によって思考し、また言葉によって意思を伝達するわけですから、
言葉の元である48音は 「万物万象の源」 ということになります。

 フト(▽悉・太)は フツ(▽悉つ)の名詞形で、「すべて・悉く」 の意。
 マニ()は マヌ(真似)の名詞形で、「合わせ・写し/映し・表し・そのまま」
 などが原義です。

それゆえ万物を生まんとする二尊は、万物の源(=言葉)をこの世(現象世界)に放出し、
そのエネルギー(=言霊)が 具象する(形を結ぶ)ことを期して、“言挙げ” するわけです。

 
■五・四の歌 (ゐよのうた)
「五・四調に綴った歌」 の意で、すなわち
イサナミの『あなにえや ゑをとこ』と、
イサナキの『わなうれし ゑおとめ』の2歌を指します。

 
■言を結ばず (ことおむすばず)
「言葉を結んで形にしない」 という意で、つまり
「言葉を具象させない・言葉を実現しない」 ということです。
しかし何故に五四調の歌はそうなのか、という論理的根拠は不明です。

 
■女は先立てず (めはさきたてず)
「女は先に声を上げない」 という意です。

 

【概意】
そのありさまを先代に告げれば、歌の言葉を吟味して言うに、
「五音・四音に綴る歌は、言葉を結んで形にしない。」
「言挙げも 女は先に声を挙げない。」



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 とつきとは めのにわなふり をゆれなく をとりなきさる
 またあるひ をとりよそおふ めかしりて あひましわれは
 あめよりそ とりにつけしむ とつきのり
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 「とつぎとは 雌のニワナフリ 尾搖れ鳴く 雄鳥 鳴き去る
 またある日 雄鳥装ふ 雌が知りて 合ひ交われば
 天よりぞ 鳥に告げしむ とつぎ法」
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とつぎ

 ■ニワナフリ
セキレイ(鶺鴒)の古名です。
長い尾を上下に振る習性があり、またオスがメスに対して
“ディスプレイ” という求愛行動をとることで知られます。
辞書には ニワクナブリ の名で載ってます。


■鳥 (とり)
オドル(躍る・踊る)の母動詞 “トル” の名詞形で、
「飛んだり跳ねたりするもの・ばたばたするもの」 が原義です。


■装ふ (よそおふ・よそふ)
“ディスプレイ” のことを言うのでしょう。
「翼を広げてポーズをとってメスに見せる」 ことをいいます。

 ヨス(寄す)+オフ(負ふ・帯ぶ) の連結で、短縮形が ヨソフ(装ふ) です。


■天 (あめ)
このアメも アム(▽上む)の名詞形で、「上・高み・中心」 などを原義とし、
ここでは「天上界・神界・非物質界」をいいます。

 
■鳥に告げしむとつぎ法 (とりにつげしむとつぎのり)
「鳥に告げさせるとつぎの作法」 という意味です。
おそらく “とつぎ” に “鳥告ぎ” をかけているのでしょう。
辞書で セキレイ を調べると、“とつぎおしえどり” という別名が見つかります。

 せきれい【鶺鴒】 〈広辞苑〉
 スズメ目セキレイ科に属する小鳥の総称。長い尾を上下に振る習性がある。
 多く水辺にすみ、セグロセキレイ・ハクセキレイ・キセキレイなどがある。
 いしくなぎ。いしたたき。かわらすずめ。にわくなぶり。とつぎおしえどり
 つつなわせどり。〈[季]秋〉

 

【概意】
「とつぎとは、
雌のセキレイが尾を揺らして鳴くと、雄鳥は鳴き去る。
また別の日に雄鳥が翼を広げて装うと、
雌がこれを見て、雌雄は交尾するにいたれば、
天界より鳥に告げしめるとつぎの作法である。」



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 さらにかえりて ふたかみは あらたにめくり
 をはひたり めはみきめくり あひうたふ あめのあわうた
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 更に返りて 二尊は 新たに回り
 男は左 女は右回り 会ひ歌ふ “天のアワ歌”
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■更に返る・新に返る (さらにかえる)
「はじめに戻る・原点に帰る・最初からやり直す」 などの意です。
辞書には “更返る“ という言葉があります。

 ★更・新 (さら) 
 
サルの名詞形で、サルは スル(擦る)の変態です。
 「往き来・回転・回帰・改め」 などが原義で、
 “まっさら”
のサラです。また “ちゃら” の変態です。

 
■天のアワ歌 (あめのあわうた・あのあわうた)
二尊が国家を再統一して万物を再生しようと、オキツボの皇殿(=ヤヒロの殿)の
中央に立つ中柱を回り、二人が落ち合う時に詠った歌を “天のアワ歌” と呼んでます。

・二柱 うきはしに得る オノコロの ヤヒロの殿に 立つ柱 回り生まんと 〈ホ3ー1
・二尊は 新たに回り 男は左 女は右回り 会ひ歌ふ 
天のアワ歌 ホ3ー2

 イサナキ:『あなにゑや うまし女に 会いぬ(我結ぬ)』
 イサナミ:『わなにやし うまし男に 会ひき(我引き)』
ホ3ー2

二尊が皇宮の “中柱を回って会う” というのは、左右に離れた男女が渦に巻き込まれ、
渦の中心で一つに融合するという動きを表します。 ▶イメージ動画

これは渾沌から陽陰が分離するという 天地創造の過程 を逆に遡るもので、
分離した陽陰が再融合して陽陰合一の存在 (=アウワ・アメノミヲヤ) となり、
その後ふたたび渾沌から陽陰に分離して万物を創造することを象徴します。
つまり二尊はアメノミヲヤの万物創造を二人で再現しようとしたわけです。

アワ歌(▽陽陰歌/▽和歌)の アワ は、ア(陽・天・上) と ワ(陰・地・下) であり、
同時に アフ(合ふ・会ふ) の名詞形でもあります。
ですから 「陽陰和合の歌」、あるいはまた 「偏りを中和して調える歌」を意味します。
“天のアワ歌” は 「天の (神霊レベルの) 陽陰和合の歌」 の意と考えています。

 

【概意】
初めに返って、二尊は新たに柱を回る。
男は左(東)より、女は右(西)より回り、会う時に歌う “天のアワ歌”。



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 あなにゑや うましおとめに あいぬ
 ときめかみこたえて
 わなにやし うましをとこに あひきとそ
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 「あなにゑや うまし女に 会いぬ (我結ぬ)」
 時 女尊応えて
 「わなにやし うまし男に 会ひき (我引き)」とぞ
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ここは五七調が少々いびつなため 言葉の区切りを調整しています
 
■うまし女 (うましおとめ) ■うまし男 (うましをとこ)
ウマシは「心に合う如し・好む如し」という意です。
ですから前回の ヱオトメ(愛女)・ヱヲトコ(愛男) を言い換えてるだけです。


■わなにやし
「わあ なんと麗しい」 というような意です。
ワナは アナと同様の感嘆詞ですが、アは 「陽・天・男」 に、
ワは 「陰・地・女」 に対応することに留意する必要があります。

 “奈良” にかかる枕詞の “あをによし” は、これの変態と考えてます。

 ★にやし・によし
 ニユ(▽和ゆ・似ゆ/煮ゆ)の形容詞形で、「心に合う如し・好む如し」、
 また 「心が温まる如し・心が潤う如し・麗し」 などの意となります。
 ニヤは “にやける”  “にやにやする” のニヤです。


■会いぬ (あいぬ) ■会ひき (あひき)
それぞれ 「会うなり」、「会うごとし」という意味です。
そしてこれに 我結ぬ(あいぬ)、我引き(あひき) の意味を重ねています。
我結ぬは 「我は付く・結ぶ」 という意で、陽の能動性を表します。
我引きは 「我は引く・退く」 という意で、陰の受動性を表します。
これについてはミカサの アワ歌の文 で詳しく述べたいと思います。

 

【概意】
「ああ麗しや、いい女に会ったものよ (いい女に我は付くぞ)」
時に女神は応えて
「わあ素晴らしい、いい男に会ったみたい (いい男に我は引き)」とぞ。

 

 ところで前回と今回では何が違うのでしょうか?

 前回は尊が左から、尊は右から回って
 女尊:「あなにえや ゑをとこ」
 男尊:「わなうれし ゑおとめ」

 今回は尊が左から、尊は右から回って
 男尊:「あなにゑや うましおとめに あいぬ」
 女尊:「わなにやし うましをとこに あひき」

 1.まず今回は男尊が左(東)から、女尊は右(西)から回っています。〈前回は逆〉
   どちらも時計回り(右回り)に回りますが、両者は180度位相がずれています。
   これは日と月の動きと同じで、男(日)が西に沈む時、女(月)が東に上ります。
 2.男尊がに歌っています。〈前回は逆〉
 3.男尊の歌はア(陽・天)から、女尊の歌はワ(陰・地)から始まります。〈前回は逆〉
 4.歌の綴り方は五・七・三です。〈前回は五・四〉

 つまり今回はアメノミヲヤの 天地創造の過程 に沿っているのです。



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 やわしてあわお ゑなとして やまとあきつす あはちしま
 いよあわふたな おきみつこ つくしきひのこ さとうしま
 うみてうみかわ やまのさち
 きをやくくのち かやのひめ のつちもなりて
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 和してアワを 胞衣として ヤマト秋津洲 淡路島
 伊予阿波二名 隠岐三子 筑紫 吉備の児 佐渡 大島
 生みて海川 山の幸
 木祖ククノチ 茅の姫 野槌も生りて
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■和す (やわす)
ホツマ・ミカサを理解する上で非常に重要な言葉です。
原義は 「陽と陰を融合して一つにする」 です。これは両極端を和して
「中和・緩和・調和する・やわらげる」 ことを意味し、
例えば、酸とアルカリを和して中性にするということです。
このことから 「調えて直す」 という意味にも使います。

 アワス(合わす)とヤワス(和す)は似ていますが、少し違います。
 アワスは 「添える・くっつける・混ぜる・ぶつける」 という感じですが、
 ヤワスはもう少し深くて、「溶かす・融合させる・一つにする」 という感じです。


■和してアワを胞衣とす (やわしてあわおゑなとす)
陽陰の二尊が一つとなって(和して)、民を調え直して(和して)、
国に和の道を敷いて(和して)、と3段階の意味を “和して” に重ねます。

民の調えはアワ歌で言葉を直すことから始めましたが、都を置く中国 は、
アワ歌により 和の道 が通ったため、 アワ国 とも呼ばれるようになります。
このアワ国を 胞衣 (育成基盤) として、二尊は国家再生に力を尽すのです。

に音声の 道 開け 民の言葉の 調えば 中国の名も アワ国や 〈ホ5〉
・和(まと)の教えに かかんして のん
アワ国は てんヤマト 〈ホ5〉
・音声の道 開きて なる
アワ国を 胞衣として ヤマト八州を 生み給ふ 〈ミ10〉

 
■ヤマト秋津州 (やまとあきつす)
ヤマト” は ここでは 「中・内地・本州」 を意味すると考えます。
アキツ(秋津・蜻蛉)は 「トンボ」 のことですが、日本の本州の形は
「交尾中のトンボ」 の姿に似るため、秋津州(あきつす・あきつしま)と呼ばれます。

 あなにえや 得つは内結ふ まさき国 形 アキツの となめせる これアキツ州 〈ホ31〉


■伊予阿波二名 (いよあわふたな)
「伊予と阿波の二名を持つ州」 の意で、これも 「四国」 の別名です。
古くは ソアサ、イヨ と呼ばれていましたが、二尊の 地のアワ歌 によって
四国の民の言葉が直ったため、アワ(阿波) とも呼ばれるようになります。

 ソアサ国 サクナギの子の イヨツヒコ
 歌に言葉を 習わせて 
二名を求む アワツヒコ 〈ホ5〉


■隠岐三子 (おきみつご)
オキは 「大き」 の意で、この場合は 「親」 を表します。
オキミツゴは 隠岐諸島 にある 「親島と3つの分島」 を指します。


■吉備の児・吉備の孤 (きびのこ)
現在の岡山県南部の 児島半島 をいいます。昔は海に浮かぶ孤島でした。

 
■大島 (うしま)
いろんな説がありますが、筆者は 伊豆大島 と考えています。

 ★大・覆・央・皇・▽上 (おお・おほ・うほ・うを・うお・を・う …)
 今に言う オオ(大・多・央・太・覆) は、ウホ (uho) が原形で、
 そこから ウオ (uo)、ヲオ (woo)、オホ (oho)、オオ (oo)、
 ヲヲ (wowo)、ヲ (wo)、ウ (u) などの発音・表記が派生します。
 ウホは ウワ(上)・ウエ(上)の変態です。


■生みて (うみて)
この場合は 「再生して」 の意と思います。つまり和の道を敷いて秩序を回復し、
「統治システムを再生」 したということでしょう。


■海川山の幸 (うみかわやまのさち)
国に和の道が通って、民の心が和らぐにともない、
「自然の恵みをもたらす自然神も再び喜んで働き出した」 という意味だと思います。

 ★サチ (幸・▽鉤)
 サチは サツ(▽擦つ)の名詞形で、「往き来・やりとり・返り」 を原義とし、
 サチ(幸)は 「見返り・報い・対価・獲物」 などを意味します。
 シチ(質)は このサチの変態です。


■ククノチ (くくのち)
クク(▽木々)+の+チ(▽霊/▽治) で、「木々を守り治める自然神(精霊)」 です。
他文献では 句々廼馳・久久能智命 などと記されます。


■茅の姫・萱の姫 (かやのひめ)
「茅・萱(=草)を守り治める自然神(精霊)」 です。
他文献では 草野姫・鹿屋野比売 などと記されます。

 ★茅・萱 (かや)
 サカユ(栄ゆ)の母動詞 “カユ” の名詞形で、「栄えるさま・盛んなさま・繁茂」 などを意味します。
 “がやがや” のガヤと同じです。


■野槌 (のつち)
ノ(野)+ツ(=の)+チ(▽霊/▽治) で、
「野山に棲む生き物を守り治める自然神(精霊)」 と思います。
野椎・野つ霊
とも記されます。

 ★野 (の・ぬ)
 4つの意味に使われます。ニハ(庭)、バ(場)、ハラ(原) と互換性があります。
 (1) ノル(伸る)の名詞形の短縮で、山・丘に比べて 「比較的平坦な地の広がり」。
 (2) 人の群れる場所 (村・町・都市) から離れた場所。
 (3) ソノ(園) の短縮で、「農地・のら」。
 (4)  転じて、「範囲・場所・区切り・区分・区画」。

 

【概意】
陽陰の二尊が一つに和し、民を調え直し、国に和の道を敷き、
アワ歌に成るアワ国を基盤として、本州の秋津洲、また淡路島、
伊予阿波二名、隠岐三子、筑紫、吉備の孤島、佐渡、大島を再生。
それにともない 海川山の幸をもたらす自然神も、
木草や野の生き物を治める自然神も その守護を再開する。

 

本日は以上です。それではまた!

 

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