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徹底解説ほつまつたえ講座 改訂版第22回 [2023.8.4]

第六巻 日の神十二后の文 (1)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 ひのかみそふきさきのあや (その1)
 日の神十二后の文 https://gejirin.com/hotuma06.html
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 ひのかみそふきさきのあや
 ふそひすす ももふそむゑた としさなと
 やよいついたち ひのやまと にいみやつくり
 あめみこは ひたかみよりそ うつります
―――――――――――――――――――――――――――――
 日の神十二后の文
 二十一鈴 百二十六枝 年サナト
 三月一日 日の山下 新宮造り 
 陽陰御子は ヒタカミよりぞ 移ります
―――――――――――――――――――――――――――――

日の神 (ひのかみ)

■二十一鈴百二十六枝 (ふそひすずももふそむゑだ) ▶数詞
真榊(=鈴木)による暦法で、1鈴=6万年、1枝=60年、1穂=1年 です。
ウビチニ&スヒヂの時代に植え継ぎが500回の限界に達し、累計年数が
一旦リセットされていますので、この暦の起点はその頃と考えられます。
“21鈴126枝” は 「126万7560年」 に相当します。


■サナト
我が国本来の干支の表し方で、今風には 辛酉 (かのと・とり) と言います。
60年/日で一巡する58番目ですので、“年サナト” は 「58穂」 の換言です。
アマテルは 21鈴125枝31穂の1月1日生れですから、この時 満87歳です。


■日の山 (ひのやま)
日=太陽 ですから、太陽山(おおひやま) の換言です。


■新宮 (にいみや)
富士山の麓には太古の昔からホツマ国の都が置かれおり、二尊も一時期ここを
国家首都とし、その時にアマテルが生れています。その時代に応じて宮の名は
変わりますが、この度アマテルがヒタカミから帰り、即位して国家首都とする
この新宮は “ヤスクニ宮” と名づけられます。


陽陰神子 (あめみこ)

ヒタカミ (日高み)
アマテルは少年時代(16歳)からヒタカミに滞在して、
祖父であるトヨケ(斎名タマキネ)から陽陰の道を学んでいました。

 クニトコタチ─クニサツチ┐
   (I)     (II)  │
 ┌───────────┘
 ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル
 │ (III)    (IV) │  (V)   (VI)    ┌クラキネ
 │          │           ├ココリ姫
 │          └アメヨロツ┬アワナキ─┴イサナキ┐
 │          (養子)↑  └サクナキ   (VII) ├ヒルコ
 │             └─────┐       ├アマテル
 ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ    ├ツキヨミ
 │      (初代)  │               ├ソサノヲ
 └ウケモチ       └タカミムスビ─トヨケ┬イサナミ┘
               (2〜4代)   (5代)├ヤソキネ─タカキネ┬オモヒカネ
                        │ (6代)   (7代) ├ヨロマロ
                        ├カンサヒ     ├フトタマ
                        └ツハモノヌシ   ├タクハタチチ姫
                                  └ミホツ姫

 

【概意】
日の神の12后の文
21鈴126枝58穂 サナトの3月1日、
日の山の麓に新宮を造り、陽陰神子はヒタカミよりぞ移ります。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 ふたかみゐめお みことのり かんみむすひの やそきねか
 もろとはかりて くらきねか ますひめもちこ ねのすけと
 そのとめはやこ こますひめ ねのうちきさき
―――――――――――――――――――――――――――――
 二尊 斎侍を 御言宣 カンミムスビの ヤソキネが
 諸と諮りて クラキネが マス姫モチコ 北の典侍と
 その妹姫ハヤコ コマス姫 北の内后
―――――――――――――――――――――――――――――

■斎侍 (ゐめ)
ヰム(斎む)+メ(▽侍) の短縮で、ヰムは イツク(斎く・傅く)と同義です。
メは ハベ/ハメ(▽侍)が詰まったもので、「侍る者・仕える者」 をいいますが、
多くの場合、男は (▽侍・部・兵・兵衛)、女は (▽侍・女)と呼びます。
ゆえに ヰメ(斎侍)は 「かしずく女・侍女斎(いつき)」 を意味します。
斎侍は キサキ(后・妃)とも呼ばれますが、「正妃」 ではなく、むしろ 「側室」 です。
正妃はウチミヤ(内宮)と呼ばれ、12人の斎侍の中から一人が選ばれます。

 “ヰメ” は 写本によっては “ミメ” あるいは “ヱメ” と記されています。
 “ヰメ” と記すのが4写本、“ミメ” “ヱメ” と記すのが各1写本です。
 筆者も ヰメ が本命だろうと思います。ただ ミメ(御妻・妃)という
 言葉も確かに存在しますし、意味するところも非常に近いです。
 ヱメ は 「衛女」 (守りの女・世話する女) をいう言葉かもしれません。
 されば どれを真とは言いがたしです。


■カンミムスビ ■ヤソキネ
タカミムスビ6代、斎名ヤソキネの、子のタカキネに譲位した後の通称です。
カン(上)+ミムスビ で、「太上のタカミムスビ」 という意味です。
記紀では 神産巣日神/神皇産霊尊 と記されます。タカミムスビはヒタカミ国の
統治者を表す役名ですが、カンミムスビはヤソキネ個人を指す名です。

 ミカサ4アヤの同文部分は “タカミムスビとヤソキネが” と記しています。

 クニトコタチ─クニサツチ┐
   (I)     (II)  │
 ┌───────────┘
 ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル
 │ (III)    (IV) │  (V)   (VI)    ┌クラキネ
 │          │           ├ココリ姫
 │          └アメヨロツ┬アワナキ─┴イサナキ┐
 │          (養子)↑  └サクナキ   (VII) ├ヒルコ
 │             └─────┐       ├アマテル
 ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ    ├ツキヨミ
 │      (初代)  │               ├ソサノヲ
 └ウケモチ       └タカミムスビ─トヨケ┬イサナミ┘
               (2〜4代)   (5代)├ヤソキネ─タカキネ┬オモヒカネ
                        │ (6代)   (7代) ├ヨロマロ
                        ├カンサヒ     ├フトタマ
                        └ツハモノヌシ   ├タクハタチチ姫
                                  └ミホツ姫


■クラキネ
アワナギの子で、イサナキ・ココリ姫の兄弟です。
アワナギの後を受けて 根の国サホコチタル国を治めます。


■マス姫モチコ (ますひめ・もちこ)
クラキネの娘で、“マス姫” は通称、“モチコ” は斎名です。


■北の典侍 (ねのすけ)
「北の局(つぼね)の典侍」 という意です。
スケ(助・典侍・次官)
は、スク(直ぐ/挿ぐ・結く)の名詞形で、
「君の直近に付いて補佐する者」 を意味します。
 
 ★典侍 (すけ) ★内侍 (うちめ) ★乙下侍 (おしもめ)
 アマテルの斎侍(=后)は、合計12人備えられましたが、北・東・南・西の
 4局に3人ずつ配置されます。3人のうち、最上位の斎侍が典侍(すけ)で、
 次席は内侍(うちめ)、最下位は乙下侍(おしもめ)と呼ばれます。
 これも1年が四季に分かれ、四季は各々3ヶ月に分れることがモデルです。
 アマテルに始まるこの局の制は、以降の皇君にも引き継がれます。

 ★つぼね (局・▽窄ね)
 ツボヌ(局ぬ・搾ぬ)の名詞形で、「仕切り・区分・区画・部屋・室」 などの意です。
 ここに住む 斎侍(后・側室・侍女) もまた “つぼね” と呼ばれます。


■妹姫 (とめ)
ト(▽乙・▽弟・▽下)+メ(女) の意で、妹(いもと) の同義語です。


■ハヤコ・コマス姫 (はやこ・こますひめ)
モチコの妹です。“コマス姫” は通称、“ハヤコ” は斎名です。


■北の内侍 (ねのうちめ)
「北の局の内侍」 です。
ウチ(内)=ナカ(中) で、“内侍” は 「中位の侍女」 という意味です。

 

【概意】
二尊は斎侍の選定を御言宣。
カンミムスビのヤソキネが諸と諮って、
クラキネのマス姫モチコを北の典侍と。
その妹のハヤコ、コマス姫は北の内后に。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 やそきねの おおみやみちこ きのすけに
 たなはたこたゑ きのうちめ
―――――――――――――――――――――――――――――
 ヤソキネの オオミヤミチコ 東の典侍に
 タナハタコタヱ 東の内侍
―――――――――――――――――――――――――――――

■オオミヤ・ミチコ
ヤソキネの娘で、通称 “オオミヤ姫”、斎名が “ミチコ” です。
“トヨハタ姫” とも呼ばれたようです。


■タナハタ・コタヱ
同じくヤソキネの娘で、通称 “タナハタ姫”、斎名が “コタヱ” です。

 

【概意】
ヤソキネのオオミヤ姫ミチコを東の典侍に。
タナハタ姫コタヱを東の内侍に。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 さくらうちかめ さくなたり せおりつほのこ さのすけに
 わかひめはなこ さのうちめ
―――――――――――――――――――――――――――――
 サクラウチが姫 サクナダリ セオリツホノコ 南の典侍に
 ワカ姫ハナコ 南の内侍
―――――――――――――――――――――――――――――

■サクラウチ
初代のオオヤマズミで、“大老翁のヤマズミ” とはこの人物です。

 大老翁の ヤマズミが 寿ぎ歌ふ 「むべなるや 往きの宜しも 御代嗣も
 よよの幸ひ 開けり」 と おぼよすがらに 寿くも 三度に及ぶ 往き宜し〈ホ4-3〉


■サクナダリ ■セオリツ・ホノコ
サクラウチの娘で、通称 “セオリツ姫”、斎名が “ホノコ” です。
サクナタリは サク(咲く・▽栄く)+ナダル(傾る) の名詞形で、
「勢いよく滑り落ちること」 を表し、‘セ’ にかかりますが、その理由は後で述べます。
大祓詞には “佐久那太理”、“瀬織津比賣” と記されます。

 【大祓詞 より一部を抜粋】
 高山の末 短山の末より 佐久那太理に落ちたぎつ 速川の瀬に坐す
 瀬織津比賣と云ふ~ 大海原に持ち出でなむ


■ワカ姫ハナコ (わかひめ・はなこ)
やはりサクラウチの娘で、セオリツ姫の妹です。
通称 “ワカ姫”、斎名が “ハナコ” ですが、ワカ姫は “若サクラ姫” の略です。

  サクラウチ─┬─カグツミ─┬カグヤマ──カゴヤマ
 [初代ヤマズミ]│  [2代]   ├カンタマ
        │      └マウラ [3代]
        ├─ホノコ
        │  ├──オシホミミ┬クシタマホノアカリ(斎名テルヒコ)
        │ アマテル     │
        │  │       └ニニキネ(斎名キヨヒト)
        └─ハナコ

 

【概意】
サクラウチの姫、サクナタリのセオリツ姫ホノコを南の典侍に。
ワカ姫ハナコを南の内侍と。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 かなさきかめの はやあきつ あきこは
 しほのやもあひこ つのすけ
 うちはむなかたか おりはたおさこ
 おしもめは とよひめあやこ
―――――――――――――――――――――――――――――
 カナサキが姫の ハヤアキツ アキコは
  “潮の八百会子” 西の典侍
 内はムナカタが オリハタオサコ
 乙下侍は トヨ姫アヤコ
―――――――――――――――――――――――――――――
  
ここは五七調が少々いびつなため 言葉の区切りを調整しています

カナサキ


■ハヤアキツ・アキコ
カナサキの娘で、通称 “ハヤアキツ姫”、斎名が “アキコ” です。
大祓詞に 速開都比売 と記されます。

 荒塩(あらしほ)の塩の八百道(やおぢ)の八塩道(やしほぢ)の
 
塩の八百会(やほあひ)に坐す速開都比売(はやあきつひめ)と云ふ神、
 持ち可可呑(かかの)みてむ。 〈大祓詞〉


■潮の八百会子 (しほのやもあひこ)
ハヤアキツ姫の別名と考えられますが、その由来は不明です。
“潮の八百会” は 「海の潮が際限なく岩などを洗うこと」 をいうようです。

 弥々あら潮の 八百会に 浸せど錆びぬ 神鏡 いま永らえり 〈ホ8-10〉


■内 (うち)
ウチメ(内侍) の略です。


ムナカタ
カナサキやアヅミの同族です。
九州の地守 (底ワタツミ・中ワタツミ・上ワタツミ) を取りまとめます。

 またアツ川に 底と中 上ワタツミの 三守生む これムナカタに 纏らしむ〈ホ5-3〉
  
 ★地守 (くにかみ・くにもり)・地つ守 (くにつかみ)
 中央政府の任命により 「地方の行政区を治める司」 をいいます。


■オリハタ・オサコ
ムナカタの娘で、通称 “オリハタ姫”、斎名が “オサコ” です。


■乙下侍 (おしもめ)
オツ(乙・落つ)+シモ(下)+メ(▽侍) の短縮で、オツとシモは同義語です。
「下位の侍女」 の意で、“オシモ” また “シモメ” と簡略して呼ばれます。

 皇室以外の家でも、使用人の女を シモメ(下侍・下女) と呼ぶので、
 差別化のために オシモ・オシモメ と呼んでいるように思います。
 辞書は “御下” と宛字しています。


■トヨ姫・アヤコ (とよひめ・あやこ)
やはりムナカタの娘で、通称 “トヨ姫”、斎名が “アヤコ” です。

 高良大社 (こうらたいしゃ)
 福岡県久留米市御井町1。 
 現在の祭神:高良玉垂命、八幡大神、住吉大神  合祀:豊比淘蜷_

 

【概意】
カナサキの姫の ハヤアキツ姫アキコは “潮の八百会子” 西の典侍に。
西の内侍はムナカタのオリハタ姫オサコ、乙下侍はトヨ姫アヤコ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 かすやかめ いろのゑあさこ さのおしも
 かたかあちこは ねのおしも
 つくははやまか そかひめは きのおしもそと つきによせ
―――――――――――――――――――――――――――――
 カスヤが姫 イロノヱアサコ 南の乙下
 カダがアチコは 北の乙下
 ツクバハヤマが ソガ姫は 東の乙下ぞと 月に寄せ
―――――――――――――――――――――――――――――

■カスヤ (粕谷・粕屋・糟屋)
筑紫の 「粕屋」 の地を治める地守で、“シガの守” とも呼ばれます。
カスヤは現在も 福岡県糟屋粕屋町 に名が残ります。


■イロノヱ・アサコ
カスヤの娘で、通称 “イロノヱ姫”、斎名が “アサコ” です。


■カダ (荷田・▽葛)
ヤマシロの “花山の野” を治める地守です。
花山の野(はなやまのの)は、葛野(かどの)とも呼ばれ、
おおよそ現在の、賀茂地区を除く京都市を指すようです。

 ★▽葛・▽活 (かつ・かだ・くず・かど)
 カツ(▽上つ・▽活つ・勝つ)の名詞形で、「上がるさま・勢うさま・繁栄するさま」 などが原義。
 カテ(糧)は この変態です。またカツラ(葛・桂・鬘)は同義語です。

  花山稲荷神社 (かざんいなりじんじゃ)
  京都府京都市山科区西野山欠ノ上65。
  現在の祭神:宇迦之御魂大神、神大市比売大神、大土之御祖大神

  伏見稲荷大社 (ふしみいなりたいしゃ)
  京都府京都市伏見区深草藪ノ内町68。 
  現在の祭神:宇迦之御魂大神、佐田彦大神、大宮能賣大神、田中大神、四大神
  ・社内に間の峰・荷田社あり。また稲荷山全体の地主神を荷田の神という。


■アチコ
カダの娘で、アチコは斎名です。通称は不明です。


■ツクバハヤマ
筑波山の麓の地を治める地守と考えられますが、名前しか現れず、詳細は不明です。


■ソガ姫 (そがひめ)
ツクバハヤマの娘です。斎名は不明です。


■月に寄す (つきによす)
12人の斎侍(=后)を 「12の月になぞらえる」 という意です。

 

【概意】
カスヤの姫、イロノヱ姫アサコは南の乙下。
カダの姫のアチコは北の乙下。
ツクバハヤマのソガ姫は東の乙下ぞと、月になぞらえ、

 

 【内宮選定前のアマテルの12后】             出身地

 北の局 典侍:マス姫モチコ    (クラキネの娘)   根の国
     内侍:コマス姫ハヤコ   (  〃   )   根の国
     乙下:アチコ       (カダの娘)     ヤマシロ

 東の局 典侍:オオミヤ姫ミチコ  (ヤソキネの娘)   ヒタカミ
     内侍:タナハタ姫コタヱ  (  〃   )   ヒタカミ
     乙下:ソガ姫       (ツクバハヤマの娘) ツクバ

 南の局 典侍:セオリツ姫ホノコ  (サクラウチの娘)  ホツマ
     内侍:ワカ姫ハナコ    (   〃   )  ホツマ
     乙下:イロノヱ姫アサコ  (カスヤの娘)    ツクシ

 西の局 典侍:ハヤアキツ姫アキコ (カナサキの娘)   ツクシ
     内侍:オリハタ姫オサコ  (ムナカタの娘)   ツクシ
     乙下:トヨ姫アヤコ    (  〃   )   ツクシ

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 みこはあまひの くらゐのる ひのやまのなも おおやまそ
 かれおおやまと ひたかみの やすくにのみや
―――――――――――――――――――――――――――――
 神子は太陽の 位 乗る 日の山の名も “太山” ぞ
 故  “太山下 日高みの 和す国の宮”
―――――――――――――――――――――――――――――

■神子 (みこ)
アメミコ(陽陰神子)、すなわちアマテルを指します。


■太陽・天日 (あまひ・あめひ)
オオヒ(太陽)の別称で、「陽の核・陽の極み・陽の源・ムナモト」 を意味します。
アヒ(太陽)、ウホヒ/オオヒ/ウヒ(太陽)、アヲ(太陽)、ヒノワ(陽の環) などとも
呼ばれ、これらを略してまた ヒ(日) と呼んでいます。
したがって 陽=日 ではなく、太陽=日 です。

 背のムナモト 日と丸め 妹のミナモト 月と凝り 〈ホ14〉

アマは アム(▽上む)の名詞形、また ウホ/オホ/オオ/ヲ/ウ(大・太・央)などは
ウエ(上)の変態で、いずれも 「上・頂き・中心・核・極み」 などの意を表します。
ヒ(陽)は ヒル(▽秀る)の名詞形で、天地創造の過程で上昇した 「陽」 を表します。

 語義の誤解を招きやすいので “天日” の宛字は使いたくないのですが、
 歴史的にこちらが一般的ですし、タイヨウを意味する点では同じです。


■位乗る (くらゐのる)
クラヰ/クラヒは クラヘ(比べ)の変態で、「相応する位置」 が原義です。
ノル(▽和る・乗る・載る)は 「合う/合わす」 が原義です。

 太陽/日の位に着くということは、すなわち 「皇位に着くこと」 を意味します。
 ここにトヨケや二尊の念願が達成されます。


■日の山 (ひのやま)
太陽=日 ですから、太陽山(おおひやま) の換言です。


■太山・皇山 (おおやま)
アマテルが太陽(あまひ)の位に着いたことで、またハラミ山の新名が生れます。
オオ(央・皇・王・太)+ヤマ(山) で、「中心の山・中核の山」 の意と考えます。
太陽山/日の山が 「太陽の神霊が下った山」 という意味であるに対し、
太山は 「国家の中軸の山・国家の都の山」 などの意ではないかと思います。


■太山下日高みの和す国の宮 (おおやまとひたかみのやすくにのみや)
アマテルの即位を記念して付けられた ハラミの宮 の新名です。

 “太山下” は 「太山の麓」 という意です。“日高み” は “日の出” と同義ですが、
 日の出=還
なので、ここでは 「太陽の巡回」 を意味します。
 そしてこの太陽は 「太陽(あまひ)の位に着いたアマテル」 を指します。
 ヤスクニ(和す国) は 「和(やわ)す国家・調和の国家」 の意です。
 よって 「太山の麓の、太陽(アマテル神)が巡り恵んで和す国家の都」
 というような意味になります。

ここの記述に基づくものだと思いますが、大祓詞の中には次の文言があります。

 … … 四方の國中と 大倭日高見國(おほやまとひだかみのくに)
 
安國(やすくに)と定め奉りて … …

 

【概意】
御子は太陽の位に就く。日の山の名も “太山” ぞ。
しかれば <ハラミの宮も> “太山下日高みの和す国の宮” と名づく。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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