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徹底解説ほつまつたえ講座 改訂版第71回 [2023.11.2]

第十四巻 代嗣祈る宣詞の文 (4)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 よつぎのるのとことのあや (その4)
 代嗣祈る宣詞の文 https://gejirin.com/hotuma14.html
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 ちなみのあかは おのころの ゑなのかたちは かわくるま
 ほそのをとなる
 みはしらの ほとよくおもり めくりかけ
 ひにひとめくり おくれへり やよゐはみそこ はなおそふ

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 因みの明は オノコロの 胞衣の形は 川車
 臍の緒となる
 実柱の ほどよく重り 巡り欠け
 日に一巡り 遅れ減り 三月は三十九 端を添ふ

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■因みの明 (ちなみのあか)
チナミ(因み)は、「父の波が母の和霊と因み合うこと」 をいいます。
アカ(明)は 「1つのサイクルが明ける(完了する)こと」 をいい、“あがり” と同じです。
「終り・仕上がり・結果・収穫」 などを意味します。
ですから 「日の神霊と月神霊の因み合いの結果」 という意味です。


オノコロ (おのころ)
ここでは 「核・主体・本体・ご本尊」 などの意で、胞衣に包まれる 「胎児」 をいいます。
つまり シラホネ(精髄) が成長した 「充り子」 です。


胞衣 (ゑな)

■川車・河車 (かわぐるま)
「水車」 のことです。胞衣の形状を水車に喩えます。 ▶画像


臍の緒 (ほぞのを)
ホゾ(臍)は 「合わせ・結び・節」 を意味し、風船の結び目みたいなものをいいます。
ヲ(緒・▽結)も やはり 「合わせ・結び・接続」 を意味しますが、
ホゾ(臍)が ソケット側(♀)なのに対して、ヲ(緒)は コード・プラグ側(♂)です。


実柱 (みはしら)
ミハシラは ナカハシラ(中柱)と同じで、「中心の柱・中軸」 を意味します。
この場合は シラホネオノコロ の換言で、つまり 「胎児」 をいいます。


重る (おもる)

■三月は三十九 (やよゐはみそこ)
ここでの説明は1月1日に受精したと仮定されています。
64日目に64回転/日に達した日月の神霊の回転数は、その後は減少に転じ、
3月の末には 39回転/日 となることを言います。


■端を添ふ (はなおそふ)
ハナは ここでは 「末端・端末」 の意で、「末端の細かい構造が備わる」
という意に解釈しています。こうなるのが 39回転/日 となる3月末です。
このため ミソコ(三十九)は “ハナ” にかかる枕詞となっています。

・年を重ねて 練り熟れて 荒乗り三十九 ハナ技も 〈ホ19〉
・故 織留の ツズ “ハタチ” 織初のツズ “合要” 織詰のツズ 
三十九 “ハナ”  〈ホ39〉

 

【概意】
日月の神霊の因みのあがりは、胎児を包む水車形の胞衣と臍の緒となる。
胎児は程良く重くなり、日月の神霊の巡りは欠け始める。
日に1回転ずつ遅れ減り、3月末には日に39回転となり、末端の構造が備わる。

 

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 うつきみつれは みとりつす さつきさのころ ひとめくり
 さつさはらをひ ゐわたなす なかくたとほる
 あめのほと たらちねのほと めおまねき
 みつのちなみの つゆあふれ

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 四月満つれば 充りつす サ月サの頃 一巡り
 サツサ孕帯 五腑生す 中菅通る
 天の霊と タラチネの霊と 陰を招き
 三つの因みの つゆあふれ

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■充りつす (みとりつす)
ミトリ(充り)は 「充ち足りること・充足・充実」 などの意です。
ツスは タス(達す) の変態で、「行き着く・行き届く・至る」 などの意
ではないかと思案中です。


サ月サの頃 (さつきさのころ)
1月1日を受精日と仮定しているため、日月の神霊の巡りが1回転/日となるのは、
127日目の5月7日のことです。


■サツサ孕帯 (さつさはらをび)
妊婦が “サ月サの頃” に着用する妊婦帯のことで、五腑を固める帯といいます。
後世は ヒタチオビ(常陸帯)イワタ(岩田帯) などと呼ばれてます。
この妊婦帯の由来については16アヤで詳しく説かれます。


■五腑生す (ゐわたなす)
妊娠5か月目に入ったこの頃、「臓腑が形成され始める」 という意です。
“五腑” は ここでは 「主要な臓腑」 という意味で使われています。
臓腑の形成を支援するのが、“サツサ孕帯” です。  ▶ワタ

 ★五腑 (ゐわた)・五臓 (ゐくら)・六腑 (むわた)・六臓 (むくら)
 ナカゴ(心)、キモ(肝)、ヨコシ(脾)、フクシ(肺)、ムラト(腎) の5つです。
 “六腑”  “六臓” と言う場合は、ヨクラ(たぶん膵臓) が加わります。
 ホツマにおいては クラ(臓) と ワタ(腑) に明確な区別は見いだせず、
 五臓(ゐくら)とも、六腑(むわた)とも、六臓(むくら) とも呼ばれます。

 ★五臓六腑(ゐくらむわた)・五腑六臓(ゐわたむくら)
 そのため 五臓六腑、あるいは 五腑六臓 などと言う場合は、
 「主要臓腑とその他」 程度の意と考えて下さい。


■中菅 (なかくだ)
「体のまん中を通る管」 の意で、「口から肛門にいたる通路・消化管」 と考えます。


■天の霊・陽の霊 (あめのほ)
“アメ” は ここでは 「陽・日」 を意味し、“ホ” は ヒ(霊)の変態です。
ですからこれも 「日の神霊」 の換言で、父の波男背の潤波日の潤日の神霊 です。
アラミタマ(荒神霊)とも呼ばれます。


■タラチネの霊 (たらちねのほ)・タラの霊 (たらのほ)
「陽陰の因みの霊・魂魄の結びの霊」 という意で、霊の緒 の別名です。
ヒトホ(人霊)とも呼ばれます。 ▶タラチネ・タラ


■陰 (め)
これは “メノホ(陰の霊)“ の略です。
ですからこれも 「月神霊」 の換言で、母の和霊妹が霊月の潤月神霊 です。
ニコタマ(和霊)とも呼ばれます。


■三つの因み (みつのちなみ)
「天の霊(=魂)、タラチネの霊(=霊の緒)、陰の霊(=魄) の因み」 ということです。
チナミ(因み)は 「和合・交わり・結び・睦み」 などの意です。

 ホツマの原文は “ミツ” ではなく、“ムツ” となっていますが、
 ホツマ16アヤとミカサの アワ歌のアヤ の記述に鑑みて、“ムツ” は誤写と判断しています。

 ・荒神霊 月の和霊 タラの霊と 三つ交わりて  心・意気 生りて瑞 通ふ 〈ホ16〉
 ・留めの三音は 天・地と 人霊が招く 瑞の孔 〈ミ10-2〉


■つゆあふる (液溢る)
「羊水の増加」 を言うと思われます。  ▶つゆ(液・汁) ▶あふる(溢る)

 

【概意】
4月が満ちれば胎児の発育は行き届く。
サ月サの頃(5月7日頃)、日月の神霊の巡りは 1回転/日に戻る。
この頃 臓腑の芽が萌すためサツサ孕帯を着ける。また中菅が通る。
日の神霊(=魂) と タラチネの神霊(=霊の緒) と 月神霊(=魄) を招き、
三つの睦みのつゆ (羊水) が満ちあふれる。

 

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 みなつきかわき ほそのをえ ちしるとほれは みおひたす
 ちしるにられて ゐついろの はにもてつくる もりのかみ

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 六月 乾き 臍の緒へ 霊汁通れば 身を養す
 霊汁煮られて 五色の 埴もて付くる 守の神

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■六月乾く (みなつきかわく)
「6か月目に入ると羊水の量が減る」 ということだと思います。
これが ミナツキ(水無月) の語源の一つです。


霊汁・血汁 (ちしる)
これは 「血液」 をいいます。チ(霊)が液化したものがチ(血)で、
これが体内を巡ることで人を生かしていると考えられていたようです。


■煮る (にる)
「上げる・高める・熟成させる・昇華させる」 などが原義です。


■五色の埴 (ゐついろのはに・ゐいろはに)
ハニ(埴)は 「凝り固まったもの」 が原義で、これは天地創造の過程で、
重い陰が下降して沈殿したものを起源とします。
ここでは霊汁(=血液)が熟成して 「凝り固まったもの」 をいい、“五色の埴” とは
「5種の凝固物」 を意味します。これが発展して 「五臓六腑 (主要臓腑とその他)」 になります。


■守の神 (もりのかみ)
タエ守」 の別名です。

 

【概意】
6月には羊水は減り、臍の緒へ血液が通って身を養う。
血液が煮られて5種の凝固物(=五腑)となるを以て 守の神を付ける。

 

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 ふつきくらむら はつきわた
 なかつきはみめ しむそよへ こゑのよそやち あわのかみ
 すへこそむあや そなわりて そふにゑなぬき うまるなり

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 七月 臓・腎 八月 腑
 九月は見目 シム十四経 声の四十八道 アワの神
 総九十六経緯 備わりて 十二に胞衣脱ぎ 生まるなり

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■臓 (くら) ■腎 (むら) ■腑 (わた)
“五色の埴” は完成して 「五臓六腑 (主要臓腑とその他)」 となります。

 腎(むら)は “ムラト” また “アフミ” とも呼ばれ、「腎臓」 をいいますが、
 これだけ別個に名を挙げられる理由は不明です。


■見目 (みめ)
「見た目・外見・容姿」 で、特に 「顔だち」 をいいます。


■シム十四経 (しむそよへ)
これはよくわかりませんが、漢方に言う 「十二経」 に近いのではないかと思います。
シムは 「霊・精・気血」、ヘ(経)は 「経路」 の意でしょう。

 じゅうにけい【十二経】
 漢方で、六臓六腑を巡って気血の流れている12の経脈。肺経から始まり、
 大腸経・胃経・脾経(ひけい)・心経・小腸経・膀胱経(ぼうこうけい)・
 腎経・心包経・三焦経・胆経を経て肝経から再び肺経に戻り、全体が
 一つの流れになる。十二経絡。十二経脈。
 (筆者考:肺と腎臓は2つずつあるので、それを数えると十四経になる)


■声の四十八道 (こゑのよそやぢ) ■アワの神 (あわのかみ:陽陰の神・和の神)
日本語の 「48通りの発音」 をいいます。これを重複なく五七調に綴ったのがアワ歌です。
アワ歌の各音はそれぞれ神の名でもありました。それゆえ アワ歌の48音は “アワの神”
とも呼ばれます。


■九十六経緯 (こそむあや)
コソム(九十六)という数が何を表すかは不明です。
アヤは 経緯(いきさつ・けいい)の意に解して、“経緯” と当てています。


■十二 (そふ)
ここでは 「12か月」 の意です。妊娠期間はよく “十月十日” と言われますが、
ホツマにおいては、男児は12か月、女児は10か月が標準とされています。

 

【概意】
7月は臓と腎、8月には腑が完成する。
9月は容姿外見に加え、気血の14経路と、アワの神の48道の声が備わる。
すべて96の経緯が備わって、12月にて胞衣を脱いで生まれるなり。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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