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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第113回 [2024.2.7]

第二一巻 ニハリ宮法定む文 (5)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 にはりみやのりさだむあや (その5)
 ニハリ宮法定む文 https://gejirin.com/hotuma21.html
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 みやつくり ふきいらかまて みななりて
 みまこににきね つくはより うつりますひは
 をこぬしの ふそゐもののへ かしはなす 
 かすかもろとも のりそひて みまこのみゆき まもりゆく

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 宮造り 葺き甍まで みな成りて
 御孫ニニキネ ツクバより 移ります日は
 ヲコヌシの 二十五モノノベ 膳なす
 カスガ諸共 乗り添ひて 御孫の御幸 守り行く

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■葺き甍 (ふきいらか)
「覆った屋根・屋根の覆い」 という意です。  ▶葺く ▶甍


■ツクバ (筑波)
ニハリの宮が完成するまでは、ニニキネは “ツクバの宮” に居たようです。
ツクバの宮は 二尊がヒルコを生んだイサ宮と同一と考えられます。


■二十五モノノベ (ふそゐもののべ)
オオモノヌシのクシヒコが率いる 「25人のモノノベ」 です。
25人で一班のようで、20アヤでは “二十五のハト” と表現されています。

 二十五のハトを 五伴の 守るミヤツコ 〈ホ20-2〉


膳 (かしは)
この場合は 「門出の祝宴」 です。


カスガ
アマノコヤネ(斎名:ワカヒコ)が アマテルより賜った尊名です。
コヤネもクシヒコと同様、テルヒコの朝廷を離脱してニニキネのもとに来ていたわけです。


御幸 (みゆき)
ニニキネはこの時点ではまだ皇の第2子の身分に過ぎませんから、
その外出・移動を “御幸” と称えるのはやはり異例のことです。

 

【概意】
宮造りが葺き甍までことごとく完成し、
御孫ニニキネがツクバより移ります日は
ヲコヌシの25人のモノノベが門出の饗宴をなす。
カスガ諸共 馬に乗り添い 御孫の御幸を守り行く。



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 このひあすかの みやしろと ふとたまおして いわわしむ
 きみよおこめて とさときて にはりわたりは かきくもり
 はたたかみなり かきやふる

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 この日アスカの 宮代人 フトタマをして 祝わしむ
 君 夜を込めて 十里来て ニハリ渡りは 掻き曇り
 ハタタ神 鳴り 垣 破る

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■アスカの宮代人 (あすかのみやしろど)
「アスカ宮(=テルヒコ)の代理人」 です。 ▶代


 ★アスカの宮 (あすかのみや)・アスカ宮 (あすかみや)
 当初 イカルカの宮に入ったテルヒコが、1年もたたないうちに移転した新宮/新政府の名です。
 ここではその宮の主である “アスカの宮さま”、つまり テルヒコ を指します。 ▶アスカ


フトタマ
フトタマはアスカ宮への移転推進派の重臣でした。移転に納得できない
クシヒコとコヤネは、結局アスカ朝廷を離脱してニニキネのもとに参じたわけです。

 フトタマが言ふ 「かがなえて 君の思すを 止めんや」
 カグヤマも言ふ 「隈野なる 明す日移せば 良き試し すでに極まる」 〈ホ20-4〉


■夜を込む (よおこむ)
「夜を交える・夜間を含める」 という意と考えます。
辞書には “夜を籠む” で載りますが、その説明は少々理解に苦しみます。


■十里 (とさと)
サト(里)は ここでは距離/面積の単位で、後の 里(り) と同じでしょう。
1里=36町で、1里=約3.9km。よって10里=約39kmです。


■掻き曇る (かきくもる)
カク(掻く) は 「往き来する/させる・回転する/させる」 が原義です。
ですから 「一転して曇る・くるりと変って曇る」 という意です。


ハタタ神 (はたたがみ)

 

【概意】
この日アスカの宮は フトタマを代理として祝わしむ。
君は夜間も含めて10里進んだが、ニハリへ渡る頃 一転して曇り、
ハタタ神が鳴って <落雷が> 宮の垣を破る。



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 をこぬしいわく わたましお たみもいはふに なさけなと
 ははやおいれは しなとへに ふきはらふとき ちおむかひ
 ともにいります みあえすみ をこぬしかきの やれおつく

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 ヲコヌシ曰く 「渡座を 民も祝ふに 情けな」 と
 ハハ矢を射れば シナトベに 吹き払ふ時 道を向かひ
 共に入ります 御饗済み ヲコヌシ垣の 破れを告ぐ

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ヲコヌシ

渡座 (わたまし)

情けな (なさけな)
この場合は 「情けのないさま・心ないさま・無情であるさま」 をいいます。

 ★情け・情 (なさけ)
 ナス(▽和す)ケ(気) で、「心に合わす気・心持・気持・思い」 などです。


ハハ矢 (ははや)
カゴ弓とハハ矢には征夷大将軍の証としての意味があったようです。
そのためオオモノヌシであるヲコヌシは カゴ弓とハハ矢を携えて君を護衛しています。


■シナトベに吹き払ふ時 (しなとべにふきはらふとき)
シナトベは 「風を支配する自然神」 で、ヤマサの1神です。
ここでは 「ハタタ神がシナトベに風を吹かせて ハハ矢を払う隙に」 という意味です。


御饗 (みあえ)

■済む (すむ)
シム(締む)の変態で、「閉まる・仕舞う・終わる」 などの意です。


■破れ (やれ)
ヤル(破る)の名詞形で、「破損・衰弱」 を意味します。
“よれよれ” のヨレ、ワレ(割れ)、オレ(折れ) などの変態です。

 

【概意】
ヲコヌシ曰く、
「渡座を民も祝うというに無情なことよ」 と ハハ矢を射れば、
ハタタ神がシナトベに風を吹かせて矢を払う その隙に道を進み、
諸ともに宮に入ります。祝賀の宴が済んでヲコヌシは垣の破損を告げる。



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 みこのたまふは ゆみのこと あれとのちため すてられす
 かすかにのれは ふとまにの あこけはしわさ うつをかみ
 ときみことのり うつをかみ やしろとさして あめにつく

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 御子 宣給ふは 「ゆみの如 あれど後ため 棄てられず」
 カスガに宣れば 「フトマニの ‘アコケ’ は仕業 ウツヲ神」
 時 御言宣 ウツヲ神 社 閉ざして 陽陰に告ぐ

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■ゆみ (▽由)
ユヒ(結ひ・)の変態で、「結び付き・関わり・ゆかり・理由」 などを意味し、
ユウ(由)、ユエ(故)、ユエン(由縁)、ヨシ(由) などと同じです。
“ゆみの如あれど” は 「理由が如何なるものであれ」 という意になります。


フトマニ (太兆)

■アコケ
カスガ(=アマノコヤネ)が選んだフトマニの3音です。
ア(▽上・天)+コケ(転け・倒け) で、「天からの落ち・落雷」 を意味すると考えます。


■ウツヲ (空緒)
ウツ(空・虚)+ヲ(緒) で、「空を結い統べる者」 を意味し、ウツロヰの換言です。
ヤマサの1神で、カミナリと地震は この神が原因と考えられていました。

 ★空・虚 (うつ)
 ウス(失す)の変態 ウツ(棄つ)の名詞形で、
 「失せて何もないさま・空き・空(から)」 などが原義です。

 ★緒 (を)


社 (やしろ)
ここでは 「神霊を纏る所・神の地上における住処」 をいいます。


陽陰 (あめ)

 

【概意】
御子が宣うは、
「理由が如何なるものであれ、後のために棄てては置けない。」
カスガに命じて占わすと、「フトマニの ‘アコケ’ はウツヲ神の仕業。」
時に御言宣してウツヲ神の社を封鎖し、アマテル神に報告する。


 自然災害から人々を守るべきヤマサの1神が、多くの人々が生活する宮を
 雷撃したという事実は重大で、まして陽陰の御孫の御幸を妨げたとなれば、
 これはアメノミヲヤと同一視されるアマテル大御神に背いたも同然です。
 このため “理由の如何にかかわらず捨てて置けない” と、とりあえずは
 社を閉鎖してウツヲの地上での行動を封じ、アマテルに告げたわけです。



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 あのみことのり なさけなき やしろひしけと
 ときみまこ しるしささけて のちおこふ
 あめはたあしく ゆるされす

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 上の御言宣 「情けなき 社 拉げ」 と
 時 御孫 記 捧げて 後を乞ふ
 上はた悪しく 許されず

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■上の御言宣 (あのみことのり)
ア(▽上・天)は 「上・上位」 を意味し、ここでは 「上皇 (=アマテル) の御言宣」 をいいます。


■情けなき (なさけなき)
ナサケナシ(情け無し)の連体形です。この場合は先程の “情けな” とは意味が異なり、
「情け無用・同情の余地もない・どうしょうもない」 などの意となります。
心無し(うらなし)の同義語です。


拉ぐ (ひしぐ)

■記 (しるし)
シルス(記す)の名詞形です。この場合は 「請願書・嘆願書」 などをいうのでしょう。


■上・天 (あめ)
アム(▽上む)の名詞形で、「上・上位」 を意味し、この短縮形が ア(上・天) です。
ですからこれも 「上皇 (=アマテル)」 を意味します。


■はた
ハツ という動詞の名詞形で、“機” と原義は同じですが、適当な当て字がありません。
ハツは 「合わす」 が原義で、このハタは 「合わせ・反応・対応」 を意味します。
はたと思い当たる”  “はっとして” と言う場合の ハタ・ハッ と同じです。

 

【概意】
上皇の御言宣は 「同情の余地なし、社をつぶせ」 と。
時に御孫は書を奉ってウツヲ神の将来を乞うも、上皇の反応は芳しくなく許されず。



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 またねかわくは
 うつをかみ たとひひとたひ ことみたれ さらにあらんや
 おおなむち ひとたひおちて ひすみきみ
 そのこものぬし まめおなす
 これにはにすも うつをまた のちことたてん ゆるしたまえや

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 また願わくは
 「ウツヲ神 たとひ一度 事乱れ さらにあらんや
 オオナムチ 一度堕ちて ヒスミ君
 その子モノヌシ 忠をなす
 これには似ずも ウツヲまた 後 殊立てん 許し給えや」

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願わく (ねがわく)

■事乱る (ことみだる)
ヤマサ神としての所業が乱れる」 の意に解しています。


■ヒスミ君 (ひすみきみ)
知行地の出雲国を富強国に育てたオオナムチは、中央政府に拮抗しようと
しますが、“カシマタチ” によって夢破れ、ヒスミ(=津軽)に国替えされます。
ですから “ヒスミ君” とは オオナムチの津軽領主としての名です。カル君とも呼ばれます。


■モノヌシ
オオナムチの後継として 2代オオモノヌシになった クシヒコ(=ヲコヌシ) を指します。

     イサナギ ┌ソサノヲ─オホナムチ (初代モノヌシ)
       ├──-┤       ├───クシヒコ (2代モノヌシ)
    ┌イサナミ └アマテル──タケコ    │
    │                   ├──ミホヒコ (3代モノヌシ)
    │                   │
 トヨケ┴ヤソキネ──タカキネ───────ミホツ姫

 

【概意】
それでも再び嘆願して、
「ウツヲ神、たとえ一度は事が乱れたとしても、再度あるだろうか。
オオナムチも一度堕ちてヒスミ国の君。しかしその子のモノヌシは忠をなす。
これと同じとは言えずとも、ウツヲもまた後に殊勲を立てるでしょう。
どうか許し給えや。」



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 ををんかみ ゆるすみことは ゑとのすえ やなゐかくろひ
 うつろもり きねのひときお ゐやしろにせよ

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 大御神 許す御言は 「干支の末 柳隠ろひ
 空守り 東北の一木を 居代にせよ」

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■干支の末 (ゑとのすえ)
「干支守の末端・末席・端くれ・おまけ」 などの意で、
つまり 「干支守の臨時ヘルパー」 みたいなものです。

 ★干支守 (ゑともり)・干支守神 (ゑともりがみ)
 「干支を守る神」 の意で、“年宣り神” の別名です。


■柳隠ろひ (やなゐかくろひ)
アマテルがここでウツヲに授けている名で、 「柳の木にひそむ者」 という意です。

 ヤナヰは ヤナギ(柳)の音便で、「しなだれるさま」 をいいます。例:柳葉
 カクロヒ(隠ろひ)は カクロフ(隠ろふ)の名詞形で、「隠れる者」 を意味します。


■空守る (うつろもる)
「空 (空間・空気) を守り治める」 という意で、ウツロヰのヤマサ神としての
役割をいうわけですが、ここではもう一つ別の 「空を守れ」 と言ってます。
それは 「干支の空白を補う」 ということで、つまり “干支の末” としての役割です。

 どういうことかと言うと、干支は “キ・ツ・ヲ・サ・ネ ” と “ア・ミ・ヤ・シ・ナ・ウ” と
 “ヱ・ト” の組み合せが作る60パターンで構成され、この60パターンの6回転を以って
 1年としてきました。しかし正確には1年=365日ですから、5日の空白が生じます。
 そこで 「1年を5日増やすから、その5日の空白を補って守れ」 ということです。

 これにより現在のものとほぼ同じ暦となり、季節とのズレが遥かに小さくなります。
 ウツロヰの担当日は たぶん “ウツロ(空)の日” などと呼ばれ、その日は干支の進捗が
 止まります。ですから例えば 1月1日 は毎年同じ干支になります。ミカサによると、
 ウツロヰの担当日は 12月29日と30日(大晦日)、1月6日と14日、5月30日 の5日で、
 調整が必要なら “ウツロ(空)の日” を増減させれば良いだけです。


■東北の一木 (きねのひとき)
「東北の方向にある柳の一木」 です。 ▶キネ(東北)
これは鬼門対策としての意図があるように思います。 ▶鬼門

 
■居代 (ゐやしろ・やしろ)
ヰヤ(▽居)は ヰユの名詞形で、ヰユは ヰル(居る)の変態です。
シロ(代)は 「見合う所・区画・領域」 を意味します。
ですから 「居場所・すみか・依代」 などの意です。 ▶依代
ヰヤシロの発音が縮まって、ヤシロとも言います。

 

【概意】
大御神の許しの御言宣は、
「汝は 干支の末の “柳隠ろひ”。
干支の空白を補い、東北の一木を居代にせよ。」


 子供の頃、「雷が鳴ったら柳の下に隠れろ」 と言われたものですが、
 その訳がようやくわかりました。柳は雷の主であるウツロヰの住処だからです。
 “まさか自分の住処を落雷で攻撃しないだろう” ということですね。

 柳は 桃と共に “鬼門除け” として植えられてきました。
 例えば 太田道灌は江戸城の鬼門除けとして、多くの柳を神田付近に植えたといいます。



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 ををこぬし みまこにもふす
 わかをやの ひすみのきみは よろこはし
 うつをもかみの よろこひと こえはみことそ
 なるかみの ぬしきねまもり うつろゐの をまさきみとそ
 としのりに やしろたまわる

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 ヲヲコヌシ 御孫に申す
 「我が親の ヒスミの君は 喜ばし」
 ウツヲも 「神の喜び」 と 悔えば御言ぞ
 「鳴神の主 東北守 ウツロヰの大将君」 とぞ
 年宣りに 居代賜わる

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   ここは五七調が少々いびつなため言葉の区切りを調整しています

■ヲヲコヌシ
ヲコヌシ と同じです。


■悔ふ (こふ)
クユ(悔ゆ)の変態です。
「回る・返る」 が原義で、「(過去を)振り返る・改める」 などの意を表します。

  
■ウツロヰの大将君 (うつろゐのをまさきみ)
ニニキネからウツヲに賜った名で、「空き埋め大将・穴埋め大将」 みたいな意です。

 ウツロヰ(▽空埋)は 「空き埋め・穴埋め」 という意です。
 ヲ(大・央)マサ(将)キミ(君) は 「ヤマサの第一・筆頭」 を意味します。
 “大将君” が 八将神(はっしょうじん)の 「大将軍」 となったようです。


■年宣り (としのり)
「年告げ」 の意で、「1年各日の干支を告げること」 をいいます。

 

【概意】
ヲヲコヌシは御孫に申して 「我が親のヒスミの君は果報者なり。」 
ウツヲも 「(人の暮らしを守ることは) 神の喜び」 と、悔い改めれば御言宣。
「鳴神の主、東北の守、空き埋めの大将君」 とぞ名を賜い、
年宣りに居場所を賜わる。

 

本日は以上です。それではまた!

 

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