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徹底解説ほつまつたえ講座 改訂版第68回 [2023.10.26]

第十四巻 代嗣祈る宣詞の文 (1)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 よつぎのるのとことのあや (その1)
 代嗣祈る宣詞の文 https://gejirin.com/hotuma14.html
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 よつきのるのとことのあや
 あめつちも うちともすかに とほるとき
 やもよろみちの みことひこ みうちにはへり みちおきく
 もろよろたみも をしらすに むれきくときに

―――――――――――――――――――――――――――――
 代嗣祈る宣詞の文
 天地も 内外も清に 通る時
 八百万充ちの 尊・彦 御内に侍り 道を聞く
 諸万民も 御領州に 群れ聞く時に

―――――――――――――――――――――――――――――

代嗣 (よつぎ)
ここでは一般的な 「跡取り息子・跡継ぎの男子」 をいいます。


祈る (のる)

■宣詞 (のとこと)
「鳴り響かす言葉・となえる言葉」 などの意で、ノリコチと同じです。
ノリト、ノコト、ノト などともいいます。

 ★宣 (のと)
 ノトは ノツの名詞形で、ノツは ナツ(撫づ)の変態です。
 「往き来する/させる・回る/回す」 が原義で、「鳴り響かせること/もの」 をいいます。

 ★言・詞 (こと)
 コツの名詞形で、コツは コス(越す・遣す)の変態です。
 これも 「往き来する/させる・回る/回す」 が原義です。
 ですから 「往き来させるもの・やり取りするもの・回し伝えるもの」 をいいます。


■天地も内外も清に通る時 (あめつちもうちともすがにとほるとき)
「陽陰の調和がすこやかに達成される時」 という意です。

 ★天地 (あめつち)
 この場合は 「陽陰」、またその 「和合/調和」 を意味します。

 ★内外 (うちと)
 中節を巡る 「」 と、を巡る 「」 を表し、“天地” の言い換えです。
 
 ★清・▽直・▽健 (すか・すが)
 スグ(直ぐ)の名詞形で、「まっすぐ・曲り/偏りのないさま・調和するさま」 を表します。
 “スカッと爽やか” のスカもこれで、また スギ(杉)、“スコヤカ(健やか)” の スコは変態です。

 ★通る・徹る (とほる・とふる)
 「行き来する・通じる・巡る」 などが原義で、
 ここでは 「行き届く・達する・達成される」 などの意です。

ホツマにおいては 「陽と陰の不調和」 が、あらゆる汚穢・災厄の発生の根源と
考えられていますが、「その不調和がどこにも無い」 というわけです。
そしてそれは 「日・月(太陽・太陰)の神霊が融和して世に顕現する神」 の恵みであると、
賛美と感謝をアマテル神に捧げる前書きなのです。

こうした賛美感謝の前書きは、アマテルの重要な教えが、アマテル自身に
よって語られるアヤの冒頭に置かれます。この14アヤをはじめとして、

 15アヤ 天地も和けし時 (あめつちものどけしとき)
 17アヤ 天地も内外も清く成る時 (あめつちもうちともきよくなるとき)
 18アヤ 陽陰晴れてのどかに (あめはれてのどかに)
 23アヤ 天地も内外も清く通る時 (あめつちもうちともきよくとほるとき)


■八百万充ち (やもよろみち)
ヤモヨロ(八百万)は 「極めて多数・ほぼすべて」 を表す慣用的な表現です。
ミチ(充ち)は ミツ(▽見つ・充つ)の名詞形で、「合い・集い」 などの意です。
ですから 「極めて多数に集うさま」 という意となります。

 
■尊 (みこと) ■彦 (ひこ)
ミコト(尊)は 「貴き者」 の意で、「皇族」、あるいは 君から尊名を賜った
「有功の臣」 をいい、カミ(尊)とも呼ばれます。
ヒコ(彦)は ヒク(引く・▽率く・▽導く)の名詞形で、「民を導く者」 という意です。
これは 「モノノベ・臣・守」 の別名で、「役人・公務員」 をいいます。

 ★ミコト【尊・命】
 イカツ(厳つ・怒つ)の変態の  “ミカツ・ミコツ” の名詞形です。
 〈ミ・ヒ・イ・ヰ は互いによく入れ替わる〉
 「上がるさま・高まるさま・上/高にあるさま」 が原義で、ミゴト(見事)の変態です。


■御内 (みうち)
ミ(御)は カミ(上・神)の略、ウチ(内)は 「内部・内輪・近間」 を意味し、
この場合は 「アマテル神の皇宮=イサワの皇居宮殿」 をいいます。


■諸万民 (もろよろたみ)
「寄り集まった万の民」 という意です。 ▶諸(もろ)


■御領州 (をしらす)
ヲ(御) はアマテル大御神に対する尊敬を表します。
シラス(領州)は 「纏り(=政)を執る場所・政の庭・朝廷」 を意味しますが、
ここでは特に 「アマテルの皇居宮殿の庭」 をいうように思います。

 なお このモノザネとして、宮殿の庭には 「白砂・白石」 を敷いたものと考えています。
 江戸時代、奉行所の法廷をお白洲(おしらす)と呼びましたが、これがその起源でしょう。

 ★領州 (しらす)
 シラ(▽領)+ス(州) の、シラは シル(領る)の名詞形で、「纏り・治め・知行」 をいいます。
 ス(州)は 「区分・区画・場所」 を意味します。

 

【概意】
代嗣祈る宣詞の文
陽陰の調和がすこやかに達成される時、
八百万に集う尊と彦が 宮殿内に侍って教えを聞く。
寄り集まる万の民も 宮殿の庭に群れ聞く時に、

 

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 くしまとは ひのしまおもる いわまとは つきのしまもる
 いくしまと たるしまよもの みかきもり
 いかすりうちの をにやらひ かかんのんてん そろふとき

―――――――――――――――――――――――――――――
 クシマドは 日の締を守る イワマドは 月の締守る
 イクシマと タルシマ四方の 御垣守り
 イカスリ内の 鬼遣らひ かかん・のん・てん 揃ふ時

―――――――――――――――――――――――――――――

■クシマド/イワマド
クシイワマド(奇磐間戸神・櫛石窓神)、トヨイワマド(豊磐間戸神・豊石窓神) の略で、
「宮の門を守る神」 です。

 イワ(▽結)+マド(窓) の イワは ユヒ(結)の変態で、「結わえ・締め」 を表します。
 マドは 「出入り口・開閉口」 を意味し、カド(門)の同義語です。
 ですから 「門の締め・戸締まり・門番」 などの意です。
 クシとトヨは不詳ですが、「日」 と 「月」 の意を表すものと推測してます。


■日の締 (ひのしま)/月の締 (つきのしま)
門の締と同じです。これには ヒノシマ(日の締)と ツキノシマ(月の締)があり、
“日の締” にクシマド、“日の締” にトヨマドが入って、門から汚穢が侵入するのを防ぎます。

 今でも神社の正門にはよく見られ、門の両脇のブースに弓矢を持った神像が
 座っていますが (随神門)、門の両脇のブースが “日の締” と “月の締” で、
 その中に座す神像がクシイワマドとトヨイワマドです。 ▶画像

クシイワマド・トヨイワマドは宮の門を守る神霊であるため、現在も宮中に纏られています。

 御門巫祭神 (みかどのみかんなぎのまつるかみ) 八座
 東京都千代田区千代田1-1。
 祭神:櫛石窓神(くしいわまどのかみ) 四面門各一座
    豊石窓神(とよいわまどのかみ) 四面門各一座


■イクシマ/タルシマ
この2神は 「宮を囲む垣を守る神」 です。

 まだ思案中ですが、イク(▽結く)+シマ(▽締)、タル(足る)+シマ(▽締) で、
 それぞれ 「締を結ぶ神」 「締を足らす神」 の意ではないかと考えてます。

この2神は 「宮を囲む垣を守る神」 なので、やはり宮中に纏られています。

 生嶋巫祭神 (いくしまのみかんなぎのまつるかみ) 二座
 東京都千代田区千代田1-1。
 現在の祭神:生嶋神(いくしまかみ)、足嶋神(たるしまかみ)


御垣 (みかき)
宮 (平城京平安京のような都) 全体を囲む垣、また 「宮・都・京」 そのものを意味します。
ミ(御)は カミ(上・神)の略で、「高み・中心・宮・都・上方」 を表します。 ▶上方
カキ(垣・▽画・▽郭)は 「囲み・限り・仕切り」、またそれに囲まれる 「区画」 を意味します。

 ★垣・▽画・▽郭 (かき)
 カギル(限る)の母動詞 カク(▽画く) の名詞形で、「内と外を限るもの・囲むもの」 をいい、
 カゴ(籠・篭)、カイ(界) などの変態です。


■イカスリ
「回帰する所・中心」 が原義で、「御内=皇居宮殿」 をいうものと思います。

 イカスルという動詞の名詞形です。イカスルは イク(往く)+スル(擦る) の連結で、
 両語とも 「往き来する・回る・一周りしてもとに還る・回帰する」 の意を表します。


■鬼 (おに)
オニ(鬼)は オヱ(汚穢)の変態で、「曲り・逸れ・外れ・異常」 を意味します。
ここでは 鬼モノ鬼神 の略で、「邪霊・悪霊」 をいいます。


遣らふ (やらふ)

かかん・のん・てん

■揃ふ (そろふ)
ここでは他動詞で、「そろえる・調える・備える」 などの意です。

 

【概意】
クシマドは日の締を守る。イワマドは月の締を守る。
イクシマとタルシマは四方の御垣を守り、
皇宮内の邪霊を追いやって、“かかん・のん・てん” を調える時、

 

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 ひたりはたにの さくらうち みよのさくらの ならしうた
 みきはををやま かくつみの ときしくかくの いわひうた

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 左は谷の サクラウチ 和の桜の 鳴らし歌
 右はヲヲヤマ カグツミの “研ぎ優ぐ芳ぐ” の 祝歌

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左 (ひだり) ■右 (みぎ)
ヒダリは ヒ(日)+タリ で、タリは タルの名詞形、タルは デル(出る)の変態です。
ミギは ミギリ(右)の略で、ミ(‘回る’の名詞形)+キリ(限)、「(日の)周回の締め」 の意です。

 左=東=日出、右=西=日没 です。日の出が先に発生するため、
 左は 「先・はじめ・第一」、右は 「後・つぎ・第ニ」 の意味があります。


■谷 (たに)
タニ(谷)は 「挟まる部分・間(はざま)・境・谷間」 を意味し、
この場合は、伊豆半島と三浦半島の谷間にある 「相模国」 の別名です。

 大山の麓に広がる相模国の領主を オオヤマズミ/ヤマズミ と呼びます。


■サクラウチ・サクラウシ (▽刳大人/桜打ち)
初代のオオヤマズミで、アマテルの内宮のホノコ、南局の内侍ハナコ
またヲヲヤマカグツミの父です。
古くはハラミの宮大老翁として二尊に仕え、その後はアマテルの右の臣を努めます。

  サクラウチ─┬─ヲヲヤマカグツミ─┬カグヤマ──カゴヤマ
 [初代ヤマズミ]│    [2代]     ├カンタマ
        │          └マウラ [3代]
        ├─ホノコ
        │  ├──オシホミミ┬クシタマホノアカリ(斎名テルヒコ)
        │ アマテル     │
        │  │       └ニニキネ(斎名キヨヒト)
        └─ハナコ

 サクラウチの名には2つの意味があります。
 一つは、サクラ(▽刳)+ウチ(大人・氏) です。サクラは サクル(決る・刳る)の名詞形で、
 エグリ(抉り・刳り)と同義です。つまり 「えぐられた場所」 を意味しますが、
 これはタニ(谷)と同じです。ですからサクラも 「相模国」 の換言の一つです。
 もう一つは、サクラ(桜)+ウチ(打ち) で、これは この人物がイサワの大内宮
 桜を植えたことによります。


■和の桜の鳴らし歌 (みよのさくらのならしうた)
ミヨ(▽和)は ミユ(見ゆ)の名詞形で、「合わせ・和(やわ)し・調和」 を意味します。
サクラ(桜)は ここでは サカリ(盛り)・サカエ(栄え)の変態です。
ですから “和の桜” は 「陽陰和合の栄え・調和による繁栄」 などの意となります。
ナラス(鳴らす)は 「伝わらす・伝える」 が原義です。
したがって 「和合/調和による繁栄を伝える歌」 という意となります。

 陽陰和合による繁栄も 「太陽と太陰の神霊が和合して顕現した神人の賜物」
 という アマテル神への賛美と感謝が根底にあります。
 またもちろん サクラウチの “サクラ” に語呂を合せています。


■ヲヲヤマカグツミ・オオヤマカグツミ (大山香統み)・カグツミ (香統み)
サクラウチの子で2代オオヤマズミです。ヲヲヤマはオオヤマズミを意味しますが、
ヲヲと尊敬度を増して表記するのは、臨席するアマテルの威光を浴びて、他の者も
その輝きを増すことを表現しているものと考えます。
カグツミは 「香ぐ集み・香ぐ統み」 で、「香ぐ山の国を束ねる者」 という意です。
香山(=ハラミ山)の国とは 「ハラミの国=ホツマ国」 です。

 ハラミはアマテルが最初に都とした国ですが、後にイサワに遷都したのを受けて、
 隣国を知行するオオヤマズミが、ハラミの国の治めも預かったことを推測させる
 “カグツミ” の名です。なお ズミ(▽統み)とツミ(集み) は同じです。


■研ぎ優ぐ芳ぐの祝歌 (とぎしぐかぐのいわひうた)
アマテルの光により、国家が 「磨かれ優れて芳しくなるのを喜ぶ歌」 という意です。
そしてもちろん ヲヲヤマカグツミの “カグ” に語呂を合せています。

 シグ(▽優ぐ)は シゲ(繁・茂)の母動詞、カグは カグワシ(香し・芳し)の母動詞で、
 トグ・シグ・カグ は どれも 「上がる・勢いづく・栄える・優れる」 などが原義です。
 また “トギシグカグ” は慣用句と思います。ホツマには “トギシグカグツ” という
 果物が登場しますが、これは 「橘の実・みかん」 のことです。▶非時香菓

 

【概意】
まずはじめに相模国のサクラウチが “和の栄えを伝える歌” を歌い、
次はヲヲヤマカグツミの “研ぎ優ぐ芳ぐの祝歌”。

 

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 こことむすひか かかんなす かすかわかひこ みはしらお
 よつきみくらに みてむすひ あめのみをやお まねきこふ

―――――――――――――――――――――――――――――
 ココトムスビが “かかん” なす カスガワカヒコ 実柱を
 節継ぎ神座に 'ミ手' 結び アメノミヲヤを 招き交ふ

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ココトムスビ
大和国カスガ県の主、ヰチチの尊名です。“カスガ殿” とも呼ばれます。
霊還しの方法論を完成した功により、アマテルからこの名とカスガ県主を賜り、
フツヌシの妹アサカ姫を娶ってアマノコヤネを生みます。
「興台産霊神・興澄魂霊神・居々登魂命」 などと記されます。

            ┌フツヌシ
         ??──┤
            └アサカ姫┐
                 ├─アマノコヤネ(斎名ワカヒコ)
 ツハヤムスビ──??───ヰチチ─┘
           (ココトムスビ)
            (カスガ殿)


■かかん
“かかん・のん・てん” のカカンで、「とっかかり・始まり・手始め・春」 などを表します。
それを具現する行動は、子のカスガワカヒコが担うようです。


■カスガワカヒコ
アマノコヤネを指します。幼名がカスガマロ、斎名がワカヒコです。


■実柱・真柱 (みはしら)
ミは ここではサネ(実・核)の意で、「中心」 を意味します。
ですから実柱とは 「中軸・背骨」 を表し、ナカハシラ(中柱)の別名です。
ここでは 「皇宮の中心に立つ柱」 をいい、今風に言えば 「大黒柱」 です。


■節継ぎ神座 (よつぎみくら)
ヨ(節)は 「一つのまとまり」 を原義とし、「節・治・代・家・系」 などを表します。
そしてヨツギ(節継ぎ)は 「別個のまとまり同士を結ぶこと」 を意味しますが、
この場合は 「この世の系とあの世の系を結ぶこと」 をいうと考えます。
つまり 「天と地の結び・神霊界と人間界の結び」 です。
ミクラ(神座・御座)は 「神の座所・依り代」 をいいます。
ですから 「神霊界と人間界を結んで神を招く依り代」 という意となります。


■ミ手結ぶ (みてむすぶ)
「‘ミ’ を表すタミメを造形する」 という意です。
ミ(見)は 「合わせ・結び」 を意味するものと考えます。


アメノミヲヤ (陽陰の上祖)

■招き交ふ (まねきこふ)
「招いて交わる」、つまり 「アメノミヲヤを招いてその意識と交わる」 ということです。
コフは カフ(交ふ)の変態です。

 

【概意】
ココトムスビが “かかん” (とっかかり)を務める。
子のカスガワカヒコが皇宮の中柱を、天地を結んで神を招く依代となし、
‘ミ’ のタミメを結んで、アメノミヲヤを招き交わる。

 

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 ををものぬしか のんなして 
 よろきみほひこ ゆふはなに やいろにきての かみすすむ 
 ひとことぬしか てんなして かたきやすひこ ぬさくして

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 ヲヲモノヌシが “のん” なして
 ヨロギミホヒコ 斎餞に 八色和幣の 紙 進む
 ヒトコトヌシが “てん” なして 葛城ヤスヒコ 幣串垂

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■ヲヲモノヌシ
普通はオオモノヌシと表記しますが、ヲヲと尊敬度を増して表記するのは、臨席する
アマテルの威光を浴びて、他の者もその輝きを増すことを表しているものと考えます。
この場合は2代オオモノヌシのクシヒコです。

     イサナキ ┌ソサノヲ─オホナムチ (初代モノヌシ)
       ├──┤       ├───クシヒコ (2代)
    ┌イサナミ └アマテル──タケコ    │
    │                  ├──コモリ(斎名ミホヒコ) (3代)
    │                  │
 トヨケ┴ヤソキネ──タカキネ───────ミホツ姫


■のん
“かかん・のん・てん” のノンで、「伸び・盛り・成長・中継・夏」 などを表します。
それを具現する行動は、子のヨロギミホヒコが担うようです。


■ヨロギミホヒコ
クシヒコとミホツ姫の子で、幼名がヨロギマロ、斎名がミホヒコです。
後に父を継いで3代オオモノヌシとなります。尊名はコモリ(子守)です。


■斎餞 (ゆふはな・ゆな)
斎く(いつく)心を表す供え物」 をいいます。
ユフ(▽斎ふ)は イム(斎む)の変態で、「心を添える・大切にする・かしずく」 などの意、
ハナ(▽餞)は 「供え物・贈り物・捧げ物」 をいいます。


■八色和幣 (やいろにきて)
宇宙の八隅際に立つという 「八色の和幣」 をイメージした和幣かと思います。
たぶん 「多彩な色に染めた一式の織物や紙」 をいうのでしょう。

・天地の形は 巌山 日・月も地も 腹籠り 外は八重和幣〈ホ14〉
・名もトコシナエ 八隅際 八色の和幣 南 青  西は紅 北は黄に 東は白く 間も色〈ミ6〉


■進む・勧む・奨む (すすむ)
「上げる・捧げる・進上する・献上する・奉納する」 などの意です。


ヒトコトヌシ
ソサノヲとイナタ姫の5男です。葛城国の知行者で、ヤスヒコの父です。

 ソサノヲ┐┌オオヤヒコ
     ├┼オオヤヒメ
 イナタ姫┘├ツマツ姫
      ├コトヤソ
      ├オホナムチ
      ├ヒトコトヌシ
      ├オオトシクラムスビ
      └スセリ姫


■てん
“かかん・のん・てん” のテンで、「あがり・至り・極み・頂・天・秋」 などを表します。
それを具現する行動は、子の葛城ヤスヒコが担うようです。


葛城ヤスヒコ (かだきやすひこ)
ヒトコトヌシの子で、幼名がカツキマロ、斎名がヤスヒコです。
アマテルより カツテ(勝手) の尊名を賜ります。

 カダキ(葛城)は カツキ(葛城)の変態で、カツラキ(葛城)と同じです。
 クズ(葛・国栖)、コセ(巨勢・居勢・古瀬・御所)とも呼ばれます。

 ソサノヲ┬オホナムチ─クシヒコ─コモリ     ┌カンタチ
     │            ├──────┴ツミハ 他16男子
     │     スヱツミ┬イクタマヨリ姫
     │         │
     │         └ヤスタマ姫
     │            ├───────カツテ(斎名ヤスヒコ)
     └──────────ヒトコトヌシ


■幣串垂 (ぬさぐしで)
ヌサ(幣)+クシ(串)+シデ(垂・四手) の意と思います。玉串 のことでしょう。
「串 (榊の枝) に幣 (布や紙) を掛けて垂れ下げたもの」 です[画像]
ヌサとクシは 「人と神をつなぐ」 モノザネ、シデは 「神の降臨」 を願うモノザネと考えます。

 

【概意】
ヲヲモノヌシが “のん” (伸ばし) を務め、
子のヨロギミホヒコが お供えとして、八色和幣を模した紙を捧ぐ。
ヒトコトヌシが “てん” (あがり) を務め、
子の葛城ヤスヒコが幣串垂を奉る。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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