⇦前の講座          目次           次の講座⇨ 

 

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

徹底解説ほつまつたえ講座 改訂版第99回 [2023.12.23]

第十八巻 オノコロと呪ふの文 (2)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 おのころとまじなふのあや (その2)
 オノコロと呪ふの文 https://gejirin.com/hotuma18.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

―――――――――――――――――――――――――――――
 うんのての うつろゐおむま いにのての しなとはくつは
 ひかりむち おてにくにたま のりめくる おとはほおこほ

―――――――――――――――――――――――――――――
 ウンの手の ウツロヰを馬 イニの手の シナトは轡
 光 鞭 オ手に地球 のりめぐる 音は “ホオコホ”

―――――――――――――――――――――――――――――

■ウンの手のウツロヰを馬 (うんのてのうつろゐおむま)
「“ウン” のタミメを結ぶことでウツロヰを生み、それを馬 (乗り物) とした」 という意です。
ウンは ウロ(空・虚・洞)の変態と考えています。ウロは ウツロと同義です。
ウツロヰの誕生は、陽から 「空」 が派生したことを示すものでしょう。

 ★ウツロヰ (▽空埋)

 ★馬 (むま)
 ウマ(馬)の変態で、ウマ(馬)は ウムの名詞形、ウムは オフ(負ふ・帯ぶ)、“おんぶ
 などの変態です。「(人や荷を) 負うもの」 を意味し、 オマ・マ・バ とも呼ばれます。
 ホツマは 単独では ムマ と呼び、複合語では ヲバ・マ と呼んでいます。
 ウ音とム音の入れ替えは、ウメ/ムメ(梅)、ウベ/ムベ(宜) など非常に多いです。


■イニの手のシナトは轡 (いにのてのしなとはくつは)
「“イニ” のタミメを結ぶことでシナトを生み、それを轡 (制御具) とした」 という意です。
イニは イヌ(往ぬ・去ぬ)の名詞形で、「いなさ=風」 と同じです。
シナトの誕生は、陽から 「風」 が派生したことを示すものでしょう。


 ★シナト (科戸・級長戸)・シナトベ (級長戸辺)
 シナ(▽凌)+ト(▽留) で、シナは 「勢いづけ・煽ぎ」 などが原義、この場合は 「風」 の換言です。
 ト(留)は トメ(留め)の略で、「まとめるもの・束ねるもの・統べるもの」 を意味します。
 ですから 「風を支配する自然神」 です。

 ★轡 (くつは・くつわ・くつばみ)
 馬の口に咬ませる器具で、これに手綱をつないで馬を制御します。 ▶画像


■光鞭 (ひかりむち)
「光を馬に活を入れる鞭とする」 の意で、光=火 と考えて良いと思います。
光の発生は 陽から 「火」 が派生したことを示すものでしょう。


■オ手 (おて)
「“オ” のタミメ」 です。
”オ” は オヌ(▽合ぬ・▽和ぬ) の略で、「和す・調える・治める」 などの意です。
オノコロの “オノ” は この オヌ から来ています。


■のりめぐる (乗り巡る/▽和り恵る)
これには2つの意味が重なります。
表の意味は 「乗り巡る」 で、ウツロヰを馬、シナトを轡、光を鞭として、
アメミヲヤが地球を乗り巡ることをいいます。

裏の意味は 「和り恵る」 で、こちらが重要です。
ノル(▽和る)は “乗る・載る” と同根で、「合わす・和す」 が原義です。
メグル(▽恵る)は 「めぐらす・回す・配る・恵む」 などの意です。
ですからこれは “和して恵る” の換言で、「ほどよく調えて恵む」 ことをいいます。
オノコロ” もこれが原義でした。

表裏の意味を合せると、御幸巡幸 と同義となります。


■ホオコホ
後に説明されますが、馬として用いたウツロヰの雷鳴 “ホオロホオロ” と、
御者として用いたシナトの轡が風を切る音 “コオコオ” が 混合した音、
これを表した擬音であるようです。

 

【概意】
“ウン” の手を結んで生むウツロヰを馬とし、
“イニ”の手を結んで生むシナトは轡、光を鞭として
“オ” の手に乗り巡って地球を調え恵む。その音は “ホオコホ”。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 うひこにゑ にあかるやまそ のてむすひ のかせにかわく
 くこはにに ひつめのあとは のらとみち

―――――――――――――――――――――――――――――
 泥塊煮え 煮上がる山ぞ ノ手結び 野風に乾く
 堅埴に 蹄の跡は 野良と道

―――――――――――――――――――――――――――――

■泥塊煮ゆ (うびこにゆ)
ウビ(泥)+コ(凝・固・塊) は 「泥が凝り固まったもの」 の意ですが、
ここでは 「岩石」 をいうのでしょう。岩石が煮えて 「溶岩・マグマ」 の状態と
なってるわけです。

 ★凝・梱・固・塊・地・国 (こ)
 コリ(凝り)の略で、「凝り固まったもの」 が原義です。
 クニ(地・国)の換言としても使われます。


■ノ手 (のて)
「‘ノ’ のタミメ」 です。
この 'ノ' は 「退く」 と 「平る」 の2つの意を表すものと思われます。


■野風・退かせ (のかせ)
辞書は 「野風」 と当てていますが、ノカス(退かす)の名詞形で、
物を吹き払う 「風」 の換言と考えます。イナサ(▽去なさ)とも呼ばれます。


■堅埴 (くこはに)
クコは ククル(括る)の母動詞 “クク” の名詞形で、「凝り固まるさま」 を意味します。
この場合は 「溶岩が冷えて固まった土」 をいうものと思います。
クコ には “堅” を当て字しています。クコハニは コワ(▽堅地)とも呼ばれます。


■野良 (のら)
ノルの名詞形で、ノルは ナラス(均す平す)の母動詞 “ナル” の変態。
また ノルの他動詞形が ノス(伸す)です。
山や丘に対して比較的平坦な 「のっぺりした土地」 をいい、「野・野原」 と同じです。

 

【概意】
すると岩石は煮えはじめ、溶岩が煮上がって山となる。 
ノ手を結び、野風に乾いた堅土を踏む <ウツロヰの> 蹄の跡は野良と道となる。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 しのたまやまに したたりか なかれうみなる
 かのみたま こわによろこひ
 うはのてお わとあにわけて あいうえお

―――――――――――――――――――――――――――――
 シの霊 山に 滴りが 流れ 海生る
 カの神霊 堅地に喜び
 ウハの手を 'ワ' と 'ア' に分けて アイウエオ

―――――――――――――――――――――――――――――

■シの霊 (しのたま)
シ手” を結んで生まれた 「月の大神霊」 をいいます。  ▶霊(たま)
‘シ’ は 「垂(づ)・下(た)・痴(る)・白(ろ)」 などの意を表し、
下に降る 「陰」 を意味します。陰の極みが 月(太陰) に凝ります。


滴り (したたり)
この場合は 「陰が結ぶもの」 の意で、「水の粒」 すなわち 「雨滴」 です。

 月の水 下せる露は 川の水 〈ホ15-2〉


■カの神霊 (かのみたま)
カ手” を結んで生まれた 「日の大神霊」 をいいます。  ▶神霊(みたま)
‘カ’ は 「上(み)・明/赤(あ)」 などの意を表し、上に昇る 「陽」 を意味します。
陽の極みが 日(太陽) となります。


■堅地 (こわ)
コワ(強)ワ(地) の短縮で、「凝り固まった地」 が原義です。
ですから クコハニ(▽堅埴) の換言です。そのため “堅地” と当て字しています。

 コワ(強)は コル(凝る・梱る)の変態 “コフ” の名詞形で、「凝り固まるさま」 が原義です。
 強(ごう・きょう/けふ) は “コフ” の変態です。

さてこれにより 人の生存のための水と陸地が現れ、
いよいよ地上に神を降ろす(=人を生む) 準備が整いました。


■ウハの手をワとアに分く (うはのておわとあにわく)
これはよくわかりませんが、“ウハ/ウア/ウワ” は詰めて発声すると “ワ” の音となり、
“ワ” の音は そのまま伸ばすと “ア” の母音のみが残ることから、
それによって “ワ” と “ア” に分けた、というようなことを言ってるかと考えてます。

 ‘ウヌ’ の音は 基 ‘ア’ が上る オシテより 三つに分れて
 清き ‘ウ’ と 軽く散り ‘ン’ と 半の ‘ヌ’ と みたも火を生む 天音となり 
 
継ぎ生む地を 結ぶ種 ‘ウア‘ の ‘ワ’ を生む  <ミ10-3>


■アイウエオ
この日本語の5母音は それぞれ 5元素の 「空・風・火・水・埴」 を表します。

 ア () =空  イ () =風  ウ (△) =火  エ (己) =水  オ (□) =埴
 ←……………… 陽属性 …………………→   ←……… 陰属性 ………→


“アワ歌のアヤ” によれば、イ・ウ・エ のヲシテは アのヲシテが変化発展したもの、
オのヲシテは “ワ+ウ” のヲシテが変化したものとあります。

・基 ‘ア’ が上る オシテより 三つに分れて 清き ‘ウ’ と  <ミ10-3>
・‘ア’ は ‘イ’ と破れ ‘エ’ と流れ ‘ワウ‘ は ‘オ‘ となり  <ミ10-3>

 

【概意】
月の神霊の滴りが 山に流れて海が生り、日の神霊は 凝り固まる陸地に満足し、
“ウハ” のタミメを ワ(地・陰) と ア(天・陽) に分けて、”アイウエオ” を結ぶ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 うつほかせほと みつはにの ましわりなれる みなかぬし
 やおもにうめる ひとはほし ほしはたねなす みをやかみ

―――――――――――――――――――――――――――――
 空・風・火と 水・埴の 交わり生れる ミナカヌシ
 八面に生める 人は星 星は胤なす 御祖神

―――――――――――――――――――――――――――――

ミナカヌシ (真中主・御中主)

 空・風・火と 水・埴の 五つ交わりて 人と生る アメナカヌシの 尊はこれ 〈ホ14-2〉


■八面に生める人は星 (やおもにうめるひとはほし)
ヤオモ(八面)は ヤモ(八方)と同じで、ウメル(生める)は ウム(生む)の連体形です。
ミナカヌシは地上に人間として生まれ、おびただしい数の子孫を生みますが、
その子孫の内、地上での仕事を終えて帰天したクニトコタチの49神を、
アメミヲヤ
は星となして夜空に輝かせます。これが “星” の意味するところです。

・天に還れば ミナカヌシ およびヱヒタメ トホカミも 天に配りて となす〈ミ6-4〉
・キ・ツ・ヲ・サ・ネ ア・ミ・ヤ・シ・ナ・ウも 天に還り サコクシロにて 御言宣
 みな
となす … … クニトコタチの 七代の尊 みなサコクシロ よりの 〈ミ6-4〉


■星は胤なす御祖神 (ほしたねなすみをやかみ)
ゆえに 「星は人類の子孫を生んだ先祖の神霊ぞ」 という意です。 ▶胤 ▶御祖

 往んし和尊 星となる これは範成す 〈ホ13-6〉

 

【概意】
空・風・火・水・埴 が交わって生れるミナカヌシ。
八方に生んだ子孫は、天に還れば星となる。
ゆえに星は人類の子孫を生んだ先祖の神霊ぞ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 ひとにうまれて うくめくに
 とこよのみちお をしゆかみ くにとこたちも のりめくり
 くこわにやもお なにかたと うむくにすへて おのころそ

―――――――――――――――――――――――――――――
 人に生れて 蠢くに
 トコヨの道を 教ゆ尊 クニトコタチも 和り恵り
 堅埴八方を 何方と 生む国すべて オノコロぞ

―――――――――――――――――――――――――――――

■人 (ひと)
この場合は、ミナカヌシの子孫の内の、「クニトコタチ49神以外の一般人」 をいいます。
ミカサ『埴まつりのアヤ』は、その頃は まだ “人” とは言えなかったと記します。

 これより先は 天地の 成りて生れます ミナカヌシ
 二十代に生める 民草の 穴に住まえば 人ならず 〈ミ8-1〉


蠢く (うぐめく)

トコヨの道 (とこよのみち)

クニトコタチ

和り恵る (のりめぐる)

■堅埴八方 (くこわにやも・くこはにやも)
クコワニは おそらく クコハニ(▽堅埴) の誤写です。
ですから “堅埴八方” は 「陸地の八方」 という意となります。

 「陸」 をクガとも読みますが、おそらくクガは クコの変態でしょう。


■何方・何県 (なにがた)
カタ(方・▽県)は 「分割・区分・区画」 が原義で、アガタ(県)と同義です。
ですから “何方” は 「◯◯地区・◯◯地方」 などの意です。


■生む国 (うむくに)
この場合は 「地方の国」 をいい、後世で言えば、越国、相模国、常陸国 などです。
ですから、“何方・何県” の換言です。


オノコロ
「中心が和し恵む範囲全体」 を表し、この場合は 「クニトコタチが調えて恵む国々」 を意味します。
これがすなわち 「国家」 の意味です。

 

【概意】
人に生れて蠢く者らにトコヨの道を教える尊(=クニトコタチ)も 和し恵み、
陸地の八方を “○○地方” と名づけて国を生む。それらの国々を統合して “オノコロ” ぞ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 くにとこたちの やくたりこ なにくにさつち
 やもぬしと なりてとほかみ ゑひための くににうむこは
 みくたりの きみとみたみそ

―――――――――――――――――――――――――――――
 クニトコタチの 八くだり子 何クニサツチ
 八方主と なりてトホカミ ヱヒタメの 国に生む子は
 三くだりの 君・臣・民ぞ

―――――――――――――――――――――――――――――

■クニトコタチの八くだり子 (くにとこたちのやくだりこ)
クニトコタチの代嗣子として、八方の国の主となった 「クニサツチ」 を指します。 ▶八くだり子


クニサツチ
クニトコタチの後を継いで、八方の国の君となった8人です。
それぞれが生む5人の子から、君・臣・民の3つの身分に分れます。


トホカミヱヒタメの国 (とほかみゑひためのくに)

三くだり (みくだり)

 

【概意】
クニトコタチの八くだり子、◯◯クニサツチが八方の主となり、
トホカミヱヒタメの国に生む子は、君・臣・民の3種ぞ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 とよくんぬ ももあまるこも あめにゆき
 あなみのやかみ みそふかみ

―――――――――――――――――――――――――――――
 トヨクンヌ 百余る子も 天に逝き
 天並の八神 三十二神

―――――――――――――――――――――――――――――

トヨクンヌ
クニサツチの子の、君・臣・民に分れた5人のうち、
八方の国の治めを継いで 君となった子をいいます。
それぞれが120人の子を生んだといいます。

 君・臣・民の 三くだりの 尊は 百二十の 御子ありて 〈ホ2-1〉


天に逝く (あめにゆく)

■天並の八神 (あなみのやかみ)
天並神」 と同じです。


三十二神 (みそふかみ)

 

【概意】
トヨクンヌの百余る子も 天に還れば、“天並の八神” となる。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 みこうひちには ももひなに さいあひなして
 まさかきお うゑてかそふる むそとしの
 すはゑもむもに そゑたおえ むよとしちゑに つきかるる

―――――――――――――――――――――――――――――
 皇子ウビチニは モモヒナに 最愛なして
 真榊を 植えて数ふる 六十年の
 末枝も六百に 十枝生え 六万年千枝に 尽き枯るる

―――――――――――――――――――――――――――――

ウビチニ

■モモヒナ (百雛)
モモヒナミ(百雛実)の略でしょう。


最愛 (さいあひ)

真榊 (まさかき)

末枝・楚・楉・杪 (すはゑ)
スヱ(末)+ハヱ(生え) の短縮で、「新たに生えた若い枝」 をいいます。
“末枝” は筆者の当て字です。シモト(楉)、ワカバヱ(若生え)、などとも呼ばれます。

 

【概意】
トヨクンヌの皇子ウビチニはモモヒナと結ばれて、
真榊を植えて数える60年の若枝も、600年には10枝生え、
6万年の1000枝にて尽き枯れる。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 うえつきゐもの のちのはつ
 ゐもつきあまの まさかきお きみのみわさと もろともに
 まさかきふその あまるころ わいためあらす

―――――――――――――――――――――――――――――
 植継ぎ五百の 後の初
 五百継ぎ天の 真榊を 君の御業と もろともに
 真榊二十の 余る頃 わいためあらず

―――――――――――――――――――――――――――――

■植継ぎ五百の後の初 (うえつぎゐもののちのはつ)
ウビチニ&スヒヂの結婚と即位の直前に、真榊の植え継ぎが五百に満ちたと考えられ、
その時点で、真榊の暦のカウンターが  “1”  にリセットされています。

・真榊の 植え継ぎ五百に 満つる頃 代嗣の男尊 ウビチニの スヒヂを入るる〈ホ2-2〉
・陽陰和る道の 備わりて 類成るより 年数え 五百継ぎ天の 真榊や 〈ホ2-2〉


■五百継ぎ天の真榊 (ゐもつぎあまのまさかき)
この場合は 五百継ぎ天の真榊の 「植え継ぎ」 をいいます。


■君の御業 (きみのみわざ)
「君の尊き業」 の意で、「君主の専有行為」 をいいます。
これは 「君主以外の者は (君主の委任無しには) 代行することが許されない行為」 です。

 ★御業 (みわざ)
 ミ(▽上・御)ワザ(業) で、ワザ(業)の尊敬語です。


■真榊二十の余る頃 (まさかきふそのあまるころ)
ウビチニ&スヒヂの時にリセットされた真榊ですが、それをその後の国君が
連綿と植え継いで 「20本目を越えた頃」、つまり 「20鈴を過ぎた頃」 です。
それは オモタル&カシコネ の夫婦君の時代でありました。

 オモタル&カシコネの後を継ぐ イザナギ&イザナミの結婚が 21鈴100枝〈ホ28〉です。
 さらにその1500年くらい後の 21鈴125枝31穂 にアマテルが誕生しています。


■わいためあらず
オモタル/カシコネの夫婦君には代嗣の子が生まれず、
クニトコタチ以来の中央政府の皇統がここに途絶えます。
それに伴って国家の統治システムは崩壊し、
秩序と調和が社会から失われたことをいいます。 ▶わいため

 百万穂 嗣子なく 道 衰ひて わいため無 〈ホ2-3〉

 

【概意】
真榊の植え継ぎが500回に達した後の初年に、
五百継ぎ天の真榊 <の植え継ぎ> を君の専有行為と定める。
<以後 歴代の国君が> 諸共に <植え継ぐも>、
その20本目を越えた頃、世に秩序のあらず。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 ふたかみの つきてあまねく のりめくり
 たみのをしゑは すきくわや

―――――――――――――――――――――――――――――
 二尊の 継ぎてあまねく のりめぐり
 民の教えは スキ・クワや

―――――――――――――――――――――――――――――

二尊 (ふたかみ)

のりめぐる (乗り巡る/▽和り恵る)

■スキ (▽直・鋤) ■クワ (▽還・鍬)
スキは スグ(直ぐ)の名詞形で、「曲りの直し・調え」 が原義です。
クワは クユ(▽還ゆ・越ゆ)の名詞形で、「めぐり・回転・改め・改善」 が原義です。
「土を調えて改善するための道具」 が “鋤”  “鍬” ですが、ここでは田畑のことではなく、
民の心の 「調えと改め」 をいいます。これは換言すれば “ト(調)の教え” です。

 

【概意】
<時に皇統を> 二尊が継ぎ、あまねく巡りて和し恵む。
民への教えは 心の “調えと改め” であった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 つのあるなきの けたものお のりむまけれは むまとなし
 のりうしけれは うしとして たのあらすきや にもつもの

―――――――――――――――――――――――――――――
 角 有る無きの ケダモノを 乗り美ければ 馬となし
 乗り憂しければ 牛として 田の粗鋤きや 荷持つ者

―――――――――――――――――――――――――――――

■角 (つの)
「突出・突起」 が原義で、カド(角・才)と同じです。「才能・才覚」 をいいます。


■ケダモノ (▽欠物・獣)
ゲテモノ(下手物)の変態で、「逸れる物・外れる物」 を意味し、ケモノ(獣)と同義です。
ここでは 「人間に足らざる動物」 に、 「人(=君・臣)に足らざる青人草」 を喩えています。
特に 二尊の時代の民は野蛮化が進み、“人” とは言えない状態まで退化していたのでしょう。

 ★ケダ
 ケダは ケツ(消つ)の名詞形で、ケツ() や ゲテ(下手) などの変態。
 「離れ・逸れ・曲り・外れ・欠け・異常」 などが原義です。


■乗り美ければ馬となす (のりむまければむまとなす) ▶美し(むまし) ▶馬(むま)
■乗り憂しければ牛とす (のりうしければうしとす)  ▶憂し(うし)
もしある民が 「乗りやすければ馬となし、乗りにくければ牛とする」 という意で、
「その才の違いによって適材を適所に用いる」 ことの喩えです。(ダジャレを絡めながら)

 このあたりは17アヤの記と 基本的に同じことを言ってます。

二尊受けて 親となり 民を我が子と 育つるに篤く教えて 人となす 〈ホ17-2〉
二尊の 経矛に治む 年経れば 鈍・均・鋭の 民あるも 喩えば数の 器物
 屑を捨てなで 鈍・鋭を 均し用いん 和の心ぞ
 〈ホ17-3〉

 余談になりますが、“角(才)のある獣を馬となす” は、
 将棋の 「角」 が成って 「馬」 に転じることを思い出します。

 

【概意】
角(才)の有る無きのケダモノ(=青人草)を、
例えば、乗りやすければ馬となし、乗りにくければ牛として、
田の粗鋤きや荷を運ぶ者に育てた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 かくそみこころ つくしもて たみもゐやすく なすくにお
 おのころしまと なつくなり

―――――――――――――――――――――――――――――
 かくぞ実心 尽し 以て 民も気安く 和す国を
 オノコロ州と 名付くなり

―――――――――――――――――――――――――――――

実心・真心・御心 (みこころ)

気安く (ゐやすく)

和す (なす)
この場合は 「調える・直す・調和する」 などの意です。
ヤワス(和す)
と同義であるため “和す” と当て字しています。


■オノコロ州 (おのころじま)
オノコロは 「中心にあるものが周囲を和し恵むこと」 をいいます。
シマ(▽締・州・島)は 「締め・区分・区画」 などが原義です。
ここでは 「二尊が “主導的な存在” となって和し恵んだ国々」 を意味します。

 “主導的な存在” とは、太陽系における 「太陽」 また 「太陽と月」、
 あるいは 家庭における 「親・父母」 などをいいます。

・天が下 和して恵る 日月こそ 晴れて明るき 民の父母なり 〈ホ7-4〉
二尊受けて 親となり 民を我が子と 育つるに篤く教えて 人となす 〈ホ17-2〉

 

【概意】
二尊がこのように真心を尽すを以って、
民の心も直く調えた国々を “オノコロ州” と名づけたのである。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

⇦前の講座          目次           次の講座⇨