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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第87回 [2023.12.5]

第十六巻 孕み謹む帯の文 (8)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 はらみつつしむおびのあや (その8)
 孕み謹む帯の文 https://gejirin.com/hotuma16.html
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 あるひみとのに みあえして こもりおまねき ものかたり
 わかうまれつき みのたけも ひたけむたあり
 ちからわさ やたのひとらの よろひきの いわおもなけて
 うつろいも ひしけはたまふ ふたつるき

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 ある日 御殿に 御饗して コモリを招き 物語り
 「我が生れ付き 身の丈も 一丈六尺あり
 力業 八尺の人らの 万引きの 岩をも投げて
 ウツロイも 拉げば賜ふ 二剣」

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■御殿 (みとの)
ミ(御・▽上)トノ(殿) で、「殿」 の尊敬語です。
この場合は ヒタチの国を治める 「政庁殿・地方庁舎」 をいうものと思います。


御饗 (みあえ)

■一丈六尺 (ひたけむた)
1丈(タケ)=10尺 1尺(タ)=約22.5cm ですから、1丈6尺=16尺=約3m60cm です。
これはホツマの登場人物の中で第2位です。

 
■八尺の人 (やたのひと)
17アヤで説かれますが、8尺(タ)=180cm は古代の日本人男性の平均身長です。
ですから “八尺の人” は 「普通サイズの人」 という意で、「民」 の別称としても用いられます。


■万引きの岩 (よろびきのいわ)
普通の人が 「1万人がかりでやっと動かせるような巨大な岩」 という意です。
以前は チビキイワ(千引岩) と表現されていました。

 千引岩 捧げて 「誰か 我が国を 忍び忍びに 脅さんや」
 … … 取る手も岩の ミカツチが 捕へて投ぐる     〈ホ10ー5〉


■ウツロイ・ウツロヰ (▽空埋)
「ウツロ (空間・空気) を支配する自然神」 で、この神が 「雷・地震」 の原因です。

 ウツロ(空ろ)+イ/ヰ(▽埋) で、ウツロは 「空き」 が原義、
 “イ/ヰ” は イケル(埋ける)の母動詞 “イク” の名詞形で、「埋め」 が原義です。
 ですから 「空きを埋めるもの・穴埋め」 という意味です。


拉ぐ (ひしぐ)

■二剣 (ふたつるぎ)
ヰツナミチを退治した手柄と、国絵を写した功により、アマテルがタケミカツチに賜った
カフツチ(▽曲槌)
カナイシツチ(▽要石槌) の二剣です。

 タケミカツチは 鳴神に タケモノヌシの カフツチ
 さきの国絵に 搖り鎮む 
カナイシツチも 賜ふなり 〈ホ8-9〉

 

【概意】
ある日御殿に祝賀の宴を催し、コモリを招いて物語り。
「我が生れ付き、身の丈も1丈6尺あり。
力業なら普通の人の万引きの岩をも投げて、その名のとどろきは
ウツロイの雷鳴をも凌げば、賜わる二剣。



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 いまふしみれは をきなかみ さかるこもりと くらふれは
 われはあかこの みちうけて ひとなるかえの いしつつお
 すすめうやまふ

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 「今 付し見れば 翁守 盛るコモリと 比ぶれば
 我は赤子の 道 受けて 人成る返えの 石槌を
 進め礼ふ」

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■付し見る (ふしみる)
フス(付す)は ツク(付く)と同義ですので、フシミル(付し見る)は
「(あることに)ついて見る・〜について思う」 「つくづく考える」 などの意です。
フシテオモフ(付して思ふ)、フシテオモミル(付して思みる) などともいいます。


■翁守 (をきなかみ)
「老いた国守」 という意です。 ▶国守
ヲキナ(翁)は 「大きなる者」 が原義で、「上流にある者・老熟の者」 をいい、
必ずしも 「年老いた者」 を意味するものではありませんが、ここでは自虐的に
「おいぼれ」 の意を表しています。


比ぶ (くらぶ)
ナラブ(並ぶ)と同義で、「合う/合わす・匹敵する・釣り合う」 などが原義です。
この場合は 「コモリと釣り合うには・コモリと対等となるため」 などの意となります。


■赤子の道 (あかごのみち)
コモリがヒメやミカツチに教授した 「赤子の生まれるしくみ」 や
「妊婦のつつしみ」 「イキスや孕帯のこと」 などをいいます。


■人成る返え (ひとなるかえ)
「一人前となるお返し」 という意です。 ▶人成る


■石槌 (いしづつ)
アマテルがミカツチに賜った カナイシツチ(▽要石槌) を指します。
地震の揺れを鎮めるという槌です。


■進め礼ふ (すすめうやまふ)
「進上するを以って礼とする」 という意味です。

 

【概意】
「しかし今つくづく思えば 老いた国守である。
今が盛りのコモリと対等となるため、
我は 赤子の道を受けて一人前となるお返しとして
石槌を進上することを以って礼としたい。」



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 ときこもり おとろきわれは みちのおと こやねのをやも
 わかをやと かえものうけす みかつちは なおはちすすむ
 こもりみて つるきおおかみ いたたけは 
 みかつちえみて くらなして

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 時コモリ 驚き 「我は道の弟 コヤネの親も
 我が親」 と 返物受けず ミカツチは なお恥ぢ進む
 コモリ見て 剣を拝み 頂けば
 ミカツチ笑みて 座なして

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■道の弟 (みちのおと)
「その道の弟子」 という意です。 ▶弟(おと)
道とは、“赤子の道” とミカツチは言いますが、それは 「人の輪廻転生のしくみ」 であり、
往き来の道” とも “ココストの道” とも “還(こゑ)の道” とも呼ばれる道です。
そしてコモリは、それをコヤネから学んだと言ってます。

 御胤生む 機を乞えば 「コモリだも 御姫の愛背に 習ひき」  〈ホ16-2〉


■返物 (かえもの)
「返礼の物品」 の意で、ミカツチがコモリに差し出した カナイシツチ(▽要石槌) をいいます。


剣 (つるぎ)
ツチ(槌)の換言です。やはり カナイシツチ(▽要石槌) を指します。


■頂く・戴く (いただく)
「高く上げる・頭上に持ち上げる」 ことをいい、
何かを拝領する時に尊敬と感謝を表すための所作です。

 この場合コモリは カナイシツチを頭上に持ち上げて感謝と尊敬を表しただけで、
 実際には受け取ってないのだろうと思います。なぜなら “要石” は 今も鹿島神宮に
 あるわけですから。

 タケミカツチを祀る 鹿島神宮には 要石(かなめいし) があるといいますが、
 その起源はどうやら カナイシツチ(▽要石槌) にあるようです。
 ❝ 香取と鹿島の大神は地中に深く石の棒をさし込み、大鯰の頭と尾を刺し通す ❞
 との伝承があります。〈香取神宮小史〉


■座なす (くらなす)
クラ(座)は 「座席」、ナス(▽和す)は 「合わす・付く」 の意です。
ですから 「席に着く・すわる」 という意となります。

 

【概意】
時にコモリは驚いて、
「我はその道の弟子。兄弟子であるコヤネの親なら我が親も同じ」 と、
返礼の品を受けず。それでもなおミカツチは身を低めて促す。
その様子を見て、コモリは剣を拝んで頭上に頂けば、
ミカツチは笑みて自分の席に着き、



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 まつりたえんお ひめありて よつきみちきく こはたから
 いきすもしれは いきすみや こやねとひめと ここにおき
 われはのちやに ふつぬしと ひたちおひなし さつけんと
 かたりとことも ととのひて こもりはあめに かえりけり

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 「纏り絶えんを 一姫ありて 代嗣道 聞く 子は宝
 イキスも知れば イキス宮 コヤネとヒメと ここに置き
 我は後屋に フツヌシと ヒタチ帯成し 授けん」 と
 語り 門言も 調ひて コモリは陽陰に 帰りけり

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纏り (まつり)
マトイ(纏い)、マトメ(纏め) などの変態で、「結び・つなぎ・続き」 などが原義です。
ここでは 「家・家族・家系」 などをいいます。


■代嗣道 (よつぎみち)
赤子の道” の換言で、「子孫の生まれる道/しくみ」 です。


イキス (息子・息素・息数)

■イキス宮 (いきすみや・いきすのみや)
コヤネとヒメを主とする宮の名です。
しかしコヤネはこの時点ではイサワ宮のアマテルに仕えていますし、
その後には左の臣(=鏡の臣)として中央政府の中枢を担うことになるため、
この宮に帰ることは滅多になく、“ヒメ” が留守番をしていたようです。

 息栖神社 (いきすじんじゃ)
 茨城県神栖市息栖2882。
 現在の祭神:久那戸神 (岐神)


■後屋 (のちや)
皇宮/内裏における 「後宮」 に相当する殿舎と考えています。
つまり、コヤネの妻 “ヒメ” の住まいです。


■ヒタチ帯 (ひたちおび)
妊婦のイキス(=呼吸)を 「ヒタチ(=ぴったり)に調える帯」 という意です。
現在も “常陸帯” の名で残っていますが、本来の意味は失われています。

 経緯の臍布経緯の帯孕みの帯、孕帯陰陽羽二重身丈の帯 の別名です。
 妊娠5月目 (サ月サの頃) から着用するため、サツサ孕帯 とも呼ばれます。


門言 (とこと)

■陽陰に帰る (あめにかえる)
「アマテルのもとに帰る・イサワの宮に帰る」 という意です。 ▶陽陰(あめ)

 

【概意】
「家が絶えんとするところを、一姫のいたおかげで
こうして代嗣の道を聞くこととなり、子は宝と知る。
イキスも知れば “イキス宮” を造って、コヤネとヒメとここに置き、
我はフツヌシとヒタチ帯を織って後屋に授けよう」 と語った後、
門言も調い、コモリはアマテルのもとに帰るのであった。



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 のちにかとりの みやにゆき かたりてともに ひたかみに
 つくれはきみも よろこひて けふのほそぬの おらしむる

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 後にカトリの 宮に行き 語りて共に ヒタカミに
 告ぐれば君も 喜びて 経緯の臍布 織らしむる

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カトリの宮 (かとりのみや)

■君 (きみ)
ヒタカミ国のタカコノフを都とする、時の国家君主オシホミミを指します。


経緯の臍布 (けふのほそぬの)

 

【概意】
ミカツチはその後カトリの宮に行き、フツヌシと語り合い
共にヒタカミに向いて、ヒタチ帯のことを告げれば
オシホミミ君も喜び、経緯の臍布を織らせたのであった。



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 たかまのはらの かりみやに おひたまわれは もろかなも
 ひたちのみやと もののへか めててつくれる かしまみや

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 タカマの原の 仮宮に 帯 賜われば 諸が名も
 “ヒタチの宮” と モノノベが 愛でて造れる カシマ宮

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■タカマの原 (たかまのはら)
「国家君主の領地・朝廷の国・天領」 を意味します。

 タカマは ここでは 「都・国家首都」 を意味し、ヒタカミ国の タカコノフ を指します。
 (しかし中央政府は近江にあり、代の殿がそれを司るという複雑な政体となっています)
 ハラ(原)は 「広がり・縄張り・領域」 を表す言葉で、ここでは 「領地」 を意味します。
 カシマ宮やカトリ宮の所在地、つまりヒタチの国も “タカマの原” の一部と考えられます。


■仮宮 (かりみや)
おそらくこの時、カシマの宮は新築工事中、あるいは改修工事中だったのでしょう。
そのため一時的に政庁の機能を仮宮に移転していたものと考えられます。


諸が名 (もろがな)

■ヒタチの宮 (ひたちのみや)
オシホミミが織らせた 経緯の帯(=ヒタチ帯) を仮宮に賜ったため、
皆が工事中の 「カシマの宮」 に付けた別名です。

 したがって 国名の “ヒタチ” には 「日の立ち・日の出・東」 の意と、
 君より 「ヒタチ帯を賜る所」 の意と、2つの意味が重なっています。


愛づ (めづ)

モノノベ (▽守の侍)

■造れる (つくれる)
ツクル(造る) の 「終止形+エル」 の形の連体形です。


カシマ宮 (かしまみや・かしまのみや)

 

【概意】
天領内の仮宮にその帯(=ヒタチ帯)を賜われば、諸が “ヒタチの宮” と呼び、
モノノベが愛着を持って造るカシマ宮であった。



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 こやねとひめと いきすみや ひめはもろめの はらむとき
 いきすつつしみ をしゑます やめるはくすり これおうく
 かとりとかしま いきすみや たまふひたちの おひのなも
 ゐはたおひとそ

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 コヤネとヒメと イキス宮 ヒメは諸侍の 孕む時
 イキス・つつしみ 教えます 病めるは薬 これを受く
 カトリとカシマ イキス宮 賜ふ ヒタチの 帯の名も
 “斎端帯” とぞ

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■諸侍 (もろめ)
この場合は、イキス宮でコヤネとヒメに仕える 「侍女たち」 をいいます。


つつしみ (慎み・謹み)
ここでは特に 「妊婦の注意すべきこと」 です。

 
■斎端帯 (ゐはたおび)
ヰハタ(斎端)は 「尊い区画・おそれ多い領域」 の意で、“タカマの原” の換言です。
ですから “斎端帯” は 「君主領の帯・天領の帯・朝廷国の帯」 などの意となります。
これも 「ヒタチ帯」 の別名で、君主オシホミミがヒタチ帯を織って、
天領内のカトリ、カシマ、イキスの3宮に賜ったことに由来します。

 本来の意味は失われましたが、“岩田帯”  “斎肌帯” として現在にも伝わります。
 また ヰハタ(斎端)は ヰミハタ(斎端)の略ですが、イミハ・インハ(斎端) とも
 略されたと考えられます。それが今も地名として残る 印旛(いんぱ) でしょう。

 

【概意】
コヤネとヒメとイキス宮。
ヒメは侍女が孕む時、呼吸や注意点を教え、病める者には薬も与えます。
カトリ・カシマ・イキス宮に賜わるヒタチ帯の名も、“斎端帯” とぞ尊ばれ。



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 たけやたは やそよろをのこ なれたけそ
 はらみのうちの あそひには まめおひろえよ まめなるそ
 もしもそふこお うむははは つきのくらいそ

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 丈八尺は 八十万男の子 均れ丈ぞ
 孕みの内の 遊びには 豆を拾えよ まめ生るぞ
 もしも十二子を 生む母は 月の位ぞ

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■丈八尺 (たけやた)
「身の丈8尺・身長180cm」 という意です。


■八十万男の子 (やそよろをのこ)
ヤソヨロ(八十万)は 「80万」、また 「非常に多いさま」 を表す慣用表現です。
ヲノコ(男の子・陽の子)は ここでは 「陽の分け身」 の意で、 ▶子(こ)
「子供の男」 をいうものではありません。


■均れ丈・平れ丈 (なれたけ)
「平均身長」 です。


まめ (▽忠・忠実)

■月の位 (つきのくらい)
「月に相当する地位」 をいいます。 ▶位
1年は12の月で構成されるからです。

 

【概意】
身の丈8尺は、80万の男の平均身長ぞ。
妊娠中の遊びには豆を拾えよ。まめな子が生るぞ。
もし12人の子を生めば、母は月の位に並ぶぞ。



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 ひとはらみ みつこおうめは みひかりの さいわひありと
 あめにつく あまねくふれて ほつまくに をさまるのちに
 ふつぬしの かとりのみちお ことことく こやねにさつけ
 かくれます

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 「一孕み 三つ子を生めば 三光の 幸ひあり」 と
 上に継ぐ あまねく触れて ホツマ国 治まる後に
 フツヌシの カトリの道を 悉く コヤネに授け
 隠れます

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■三光の幸ひ (みひかりのさいわひ)
ミヒカリ(三光)は ‘タ’ のヲシテの形を表します。

 ‘タ’ のオシテ 三光 円の 内に入る 足り助く法 天と父 〈ホ17〉

このように説かれ、‘タ’ のヲシテは 「らしらしける」 の意味を持ち、
その属性は 「天と父」、つまり 「陽」 であると アマテルはいいます。
ですから “三光の幸ひ” とは 「天の恵み・陽の恵み・日の恵み」 をいいます。

 
■上に継ぐ (あめにつぐ・あにつぐ)
このアメ(▽上・天)は 「上流・先・前」 が原義で、「親・先代・先帝」 などを表します。
ですから 「先代に継ぐ」 という意です。

 この場合は特に、オシホミミの次男のニニキネが、
 三つ子の男子を生んで、「先帝の後を継ぐ」 ことを言ってるのですが、
 その物語の次第は もう少し先 (20〜24アヤ) で語られます。


■ホツマ国治まる後 (ほつまくにをさまるのち)
これもかなり先の話で、ニニキネが皇君となってハラミ山麓に都を置き、
ホツマ国をあまねく治めた後」 という意味です。
それまではフツヌシがホツマ国の治めを預かっていました。


■カトリの道 (かとりのみち)
カトリの家の道」 という意で、「フツヌシの家系/家督」 をいいます。
つまり 子のなかったフツヌシは、甥のアマノコヤネをカトリの家の代嗣にした
ということです。


■隠る (かくる)
これは 「隠れる」、つまり 「見えなくなる」 と解釈していいと思いますが、
天に 「返る・還る・戻る」 の意に解釈することも可能です。
まあしかし、どちらにしても 「神となる」 という意味です。

 カクルを カク(掻く・▽回く)+クル(▽転る) の短縮と考えれば、
 「回る」 の意味になりますが、一回りすれば元の位置にもどることから、
 「返る・還る・戻る・回帰する・帰還する」 の意味を持ちます。

 

【概意】
「一孕み 三つ子を生めば天の恵みあり」 と言う通り、
<ニニキネは> 先代の後を継ぐ。
その即位をあまねく世に触れ、ホツマ国が治まった後、
フツヌシはカトリの家督をことごとくコヤネに授けて隠れます。



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 かしまのみちの おくもみな こやねにさつく
 かすかとの たまかえしなす おくのりも こやねにさつく
 このゆえに よものまつりも おのつから ひとりにつけり

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 カシマの道の 奥もみな コヤネに授く
 カスガ殿 “霊還し” 成す 奥法も コヤネに授く
 このゆえに 四方の纏りも 自ずから 一人に着けり

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■カシマの道の奥 (かしまのみちのおく)
カシマの家に伝わる道の奥」 という意です。 ▶道奥(みちのく)
オク(奥)は 「奥にあるもの・奥義・精髄・真髄」 などを意味します。
タケミカツチは代嗣が欲しくて、コヤネをヒメの婿に迎えたわけですから、
カシマの家督をコヤネが受け継ぐのは当然です。


カスガ殿 (かすがどの)
アマノコヤネの実父です。

         ┌フツヌシ
        ??┤
         └アサカ姫┐
              ├─アマノコヤネ
 ツハヤムスビ─??─ヰチチ─┘
         (カスガ殿)


霊還し (たまかえし)
この方法論を開発したのが ヰチチ(カスガ殿) でした。


■奥法 (おくのり)
ミチノク(道奥)の換言で、「本質・精髄・肝要・奥義・極意」 などの意です。


■四方の纏り (よものまつり)
“四方” とは以下の4つで、マツリ(纏り)は 家や一族の 「まとめ・治め・統率」 を意味します。
1.伯父のフツヌシから譲られるカトリの家 (香取家)
2.舅のミカツチから譲られるカシマの家 (鹿島家)
3.実父のヰチチから譲られるカスガの家 (春日家)
4.コヤネとヒメから新たに始まるイキスの家 (息栖家)

春日大社や枚岡神社には4家の代表として次の4神が祀られます。
タケミカツチ (カシマ家代表)、フツヌシ (カトリ家代表)、
アマノコヤネ (カスガ家代表)、ヒメ (イキス家代表)

 春日大社 (かすがたいしゃ)
 奈良県奈良市春日野町160。
 現在の祭神:武甕槌命、経津主命、天児屋根命、比売神

 枚岡神社 (ひらおかじんじゃ)
 大阪府東大阪市出雲井町7番16号
 現在の祭神:天児屋根命、比売御神、経津主命、武甕槌命

 

【概意】
カシマの家の道奥もすべてコヤネに授け、
カスガ殿が霊還しを成した奥法もコヤネに授く。
このゆえに4家の治めも おのずとコヤネ1人に着くのであった。



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 かしまかみ ひめうむときに ははかなお こえとなつけす
 まれひとり ひめはひめなり またうまは まきれんために
 いみなせん まつひめかみと はかりいふ 
 ゆえにこやねも よよのりと はつはひめきみ

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 カシマ尊 “ヒメ” 生む時に 母が名を 乞えど名付けず
 「まれ一人 姫はヒメなり また生まば 紛れんために
 斎名せん」 まず姫尊と ばかり言ふ
 ゆえにコヤネも よよ宣詞 “初は姫君”

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カシマ尊 (かしまかみ)

まれ (稀・希)

よよ (弥々)


■宣詞・祝詞 (のりと)
ノリ(宣り)コト(言葉・詞) の短縮と思います。
「鳴り響かす言葉・となえる言葉」 をいい、ノト、ノトコト、ノコト などともいいます。
辞書は “祝詞” と当てますが、本講座では “宣詞” と当てています。


■初は姫君 (はつはひめぎみ)
コヤネは後に 祭祀・神事を主要任務とする “鏡の臣” となりますので、数々の宣詞を編んで、
唱えているはずですが、その多くには 「初は姫君」 というフレーズが含まれていたのでしょう。
“一姫二太郎” などは、それが形を変えた表現かもしれません。

 

【概意】
カシマ尊は “ヒメ” が生まれた時、母が頼んでも名を付けなかった。
「わずか一人。姫はヒメなり。また生まれたら紛れるだろうから斎名を付けよう。」
カシマ尊が 「まず姫尊」 とばかり言うため、コヤネもいつも宣詞で 「初は姫君」 と。



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 つきのなも たえのおくのり
 つつしみの ひたちおひこそ いともかしこし

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 月の名も たえの奥法
 つつしみの ヒタチ帯こそ いとも畏し

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■月の名 (つきのな)
このアヤで説明されていた各月の名の由来をいいます。

一月  むつき    睦む月。因み合う月。
二月  きさらぎ   刻みをさらに切る月。
三月  やよい    やよ(いよいよ)勇む月。
四月  うつき    潤う月。
六月  みなつき   水(羊水)が乾く月。
七月  あふみつき  あふみ(腎臓)が備わる月。
八月  はつき    十三端成生が完成する月。


■たえの奥法 (たえのおくのり:妙の奥法/栲の奥法)
2つの意味に使われています。
(1) の奥法。 月の名も言葉の “巧妙の極意である”
(2) の奥法。 “栲(=帯)の極意である”

 ★妙 (たえ・たゑ)

 ★栲 (たえ)
 タバ(束)の変態で、「結び・締め・編み・連ね・つなぎ」 などを原義し、
 帯(おび・タイ・tie)、綱(つな)、縄(なわ)、織(おり) などの同義語です。


つつしみ (慎み・謹み)

いとも

■畏し (かしこし)
カシコ(畏)シ(=如し) です。

 

【概意】
月の名も言葉の妙の極意。
栲(=帯)の極意なる、つつしみのヒタチ帯こそ いとも尊し。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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