⇦前の講座          目次           次の講座⇨ 

 

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

一から学ぶ ほつまつたえ講座 第39回 [2023.9.8]

第八巻 霊還しハタレ打つ文 (6)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 たまかえしはたれうつあや (その6)
 霊還しハタレ打つ文 https://gejirin.com/hotuma08.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

―――――――――――――――――――――――――――――
 またはたれ ひすみひたかみ かくやまと ふたいわうらに
 つくつけの くしのはひけは もろかみは たかまにはかり
 みゆきとそ ねかゑはかみの みゆきなる

―――――――――――――――――――――――――――――
 またハタレ ヒスミ・ヒタカミ 香山下 フタ岩浦に
 継ぐ告げの 櫛の歯挽けば 諸守は タカマに諮り
 「御幸とぞ」 願えば神の 御幸なる

―――――――――――――――――――――――――――――

■ヒスミ (日済・日隅)
ヒ(日)+スミ(済み) で、「日が仕舞う所」 を原義とし、
「日が沈んでいる方角・太陽が隠れている方角」 をいいます。つまり 「北」 の換言です。

 本州最北端の地 (ヒタカミ国のさらに北:現在の青森県) を指す名の1つで、
 ツガル(津軽)、アソベ、アカル、ウモト、シマツ(島津) などとも呼ばれます。


ヒタカミ

■香山下 (かぐやまと)
「香山 の下/麓/裾」 の意で、ホツマ国 の換言です。 ▶香山(かぐやま)


■フタ岩浦 (ふたいわうら)
「フタミの岩がある海岸」 の意で、フタミ潟 とも呼ばれ、
三重県伊勢市二見町 にある 二見浦(ふたみがうら) を指します。
“フタミの岩” は 現在 夫婦岩 と呼ばれています。

 ハタレに関する伝令がここに継ぎ伝えられるということは、
 大本営である イサワの宮 は、フタ岩浦 の近くに所在することを意味します。


■告げの櫛の歯挽く (つげのくしのはひく)
「通す髪の毛が 櫛の歯を摩耗させるほどに、報告の往来が頻繁である」 という意です。
また ツゲノクシ(告げの櫛) は 黄楊の櫛 にシャレています。 

 くしのはをひく【櫛の歯を挽く】〈広辞苑〉
 物事の頻繁に引き続いて絶えぬさまのたとえ。


タカマ

■神 (かみ)
アマテル神 を指します。


御幸 (みゆき)

 

【概意】
またしてもハタレが現れ、ヒスミからヒタカミと香山下を経由して
フタ岩浦に継ぐ伝令の、櫛の歯を削るほどに頻繁なれば、
諸守はタカマに諮り、「御幸とぞ」 と願えば、神の御幸が叶う。



―――――――――――――――――――――――――――――
 てくるまのうち せおりつめ あめのみかけに
 あきつめは ひのみかけさす いふきぬし くまのくすひと
 まてにあり しろくろこまに もろそひて
―――――――――――――――――――――――――――――
 出車の内 セオリツ姫 陽陰の身蔭に 
 アキツ姫は 日の御影射す イブキヌシ クマノクスヒと
 左右にあり 白・黒駒に 諸 添ひて
―――――――――――――――――――――――――――――

出車 (てぐるま)

セオリツ姫 (せおりつめ・せおりつひめ)
アマテルの 内宮 で、別名 ムカツ姫 です。 ▶アマテルの后と御子


■陽陰の身蔭 (あめのみかげ)
アメ(陽陰) は 日月の神霊の顕現であるアマテルを指します。
ミカゲは 「身の蔭・身の傍ら」 という意です。


■アキツ姫 (あきつめ・あきつひめ)
ハヤアキツ姫 の略です。 ▶アマテルの后と御子
4局の 典侍 の筆頭で、これを 大典侍(おおすけ) といいます。


■日の御影射す (ひのみかげさす)
「太陽の神霊の投影が差し入る」 の意で、つまり 「日の光が射す」 ということです。

 ★御影・神影・霊影 (みかげ)
 ミ(神・霊)カゲ(影) で、「神霊の投影・神霊のエネルギー放射」 を意味します。


イブキヌシ

クマノクスヒ
ナチの若御子” の異名を持ちます。

 

【概意】
出車の内、セオリツ姫は君の身の蔭にあり。
アキツ姫には日の御影が射す。
イフキヌシとクマノクスヒも左右にあり。
諸は白・黒駒に乗り添いて、



―――――――――――――――――――――――――――――
 やまたにいたり きしとへは
 はるなははみち のもやまも かゑてむらくも
 ほのほふき とけやのあられ なるかみに みかたかえれは

―――――――――――――――――――――――――――――
 ヤマダに到り キジ飛べば
 ハルナハハミチ 野も山も 変えてむら雲 
 炎吹き 棘矢の霰 鳴神に 御方帰れば

―――――――――――――――――――――――――――――

■ヤマタ・ヤマダ (山手)
ヤマタ は ヤマテ(山手) の変態で、ヤマノテ(山の手) を意味する普通名詞ですが、
この場合は 宇治の山田 と考えています。現在の 豊受大神宮(=外宮) が所在する地です。
ですから イサワの宮の中心 (二見浦付近) からは数kmしか離れていません。 ▶二見浦

 ★手・▽方 (た・て)
 カツ(▽割つ) の名詞形 カタ(方) の略で、「分割・方向・区分・区画」 などの意を表します。


■キジ飛べば (きじとべば)
「キジを飛ばして偵察させれば」 という意です。 ▶キジ


ハルナハハミチ

むら雲 (むらくも) ■棘矢 (とげや) ■鳴神 (なるかみ)

■御方帰る (みかたかえる)
この場合は、都に帰るということではなく、アマテル自らも駐屯する
本陣 (ベースキャンプ) に帰るということだと思います。 ▶御方

 

【概意】
ヤマダに到り、キジを飛ばして偵察させれば、
ハルナハハミチがその幻術で野山の景色を変じ、むら雲を起して炎を吹き、
棘矢のあられや雷に妨げられ、御方はひとまず本陣に帰ると、



―――――――――――――――――――――――――――――
 ををんかみ かねてさつさに うたみつけ
 なくれはたしむ はたれまお さつさつつうた

―――――――――――――――――――――――――――――
 大御神 予てサツサに 歌見付け
 投ぐれば嗜む ハタレマを “サツサつつ歌”

―――――――――――――――――――――――――――――

予て・兼ねて (かねて)
カヌ(兼ぬ)+テ(接続助詞) で、「(前から) 重ねて・幾度も」 などが原義です。
そこから 「以前より・前もって・あらかじめ」 の意が派生します。


■サツサ
“サツサ” には多くの意味が重なりますが、ここでは “サツサ餅飯” の略です。

 ★サツサ餅飯 (さつさもちゐ)
 「“サツキ(五月)のの頃” に食べる 笹(ササ)に包んだ餅」 という意で、
 チマキ(茅巻・粽)
の別名です。

 ★サ月サの頃 (さつきさのころ)
 日々の 干支 の サシヱ・サシト・サヤヱ・サヤト・サミヱ・
 サミト・サアヱ・サアト・サウヱ・サウト・サナヱ・サナト の内、
 サツキ(皐月・五月) に 最初に回って来る日をいい、端午 と同じです。
 年によって異なりますが、8日おきに巡って来るので、5月1日から5月9日の間
 ということになります。


歌見 (うたみ)

嗜む (たしむ)
タス(足す)+シム(染む) の同義語短縮で、タシナム(嗜む) と同じ。
「合い染まる・寄り付く・親しむ・馴染む」 などが原義です。


ハタレマ

■サツサつつ歌 (さつさつつうた/つづうた)
幾つかの意味が重なっています。
サツサ には サッサツ(颯々)サッササツサ餅飯(=粽) の意が掛けられ、
ツツ には ツツ(伝つ)ツツ(▽治)、ツヅク(続く)、ツヅル(綴る)、ツツシム(謹む)
などの意が掛けられます。

1.さっさと (ハタレマの曲りを) 直し治める歌。
2.サツサ餅飯 に付けて伝える歌。
3.初めに 、真ん中に 、最後に 綴る歌。

 たぶんこの他にもあると思います。

 

【概意】
大御神はあらかじめサツサ餅飯に歌見を付け、
投げれば寄り付くハタレマを “さっさと直す歌”。


 
―――――――――――――――――――――――――――――
 さすらても はたれもはなけ みつたらす
 かかんなすかも てたてつき かれのんてんも あにきかす
 ひつきとわれは あわもてらすさ
 もろうたふ

―――――――――――――――――――――――――――――
 『さすら手も ハタレもハナケ 充つ足らず
 カカンなすかも 手立て尽き 故ノンテンも あに効かず
 日月と我は 天下照らすさ』
 諸 歌ふ

―――――――――――――――――――――――――――――

■さすら手 (さすらて)
サスラ は 「反る・曲る・逸れる・外れるさま」 を意味し、
テ(手) は “歌い手・担い手” などのそれです。ですから 「曲り外れた者」 という意味になります。


ハタレ
「反り・曲り・外れ」 などの意で、「反り曲って外れたさま」 を表し、
ここでは 邪霊に干渉を受けて 「曲り外れた人」 をいいます。ですから “さすら手” の換言です。


■ハナケ (▽返気)
ハヌ(▽返ぬ・撥ぬ)+ケ(気) で、ハヌ は “はね返る” の ハネ の母動詞で、
「往き来する・回る・返る・反復する」 などが原義。ケ(気)キ(気) の変態です。
したがってこれは 「息・呼吸」 の換言です。


■充つ足らず (みつたらず)
呼吸が 「充ち足りない・不足である」 の意です。
心が曲った人の呼吸数は、普通より少ないことが、16アヤで説かれます。

 妬むその息 一万三千 群れて鱗の 折霊 生す  〈ホ16-6〉


■カカンなす
カカン は “かかり” の音便で、「とっかかり・始まり」 を意味します。
“カカンなす” は 「始まりとなる・始める・着手する」 などの意です。


かもがも
もがも の短縮で、「求めるさま・望むさま・WANTED!」 の意を表します。
もがなもがかながな とも言います。


故 (かれ)

■ノンテン
ノン は ノブ(伸) の音便で、 「伸び栄え・成長発展」 を意味します。
テン は テフ(頂) の音便で、 「至り・極み・頂・天」 を意味します。


■あに効かず (あにきかず)
「効かない・通じない・叶わない」 などの意です。
キク(効く・聞く) は 「交わる・反応する・通じる・叶う」 などが原義です。

 ★アニ (豈)
 アエ(敢)ナニ(何) の変態で、「なんで?・どうして?」 の意を表します。
 打消の語を伴うと、「なにも〜しない・どうしても〜できない」 の意を表します。

 
■天下 (あわも・あまも)
アワ は アメ(天) の変態で、モ は シモ(下) の略です。
よって アメガシタ(天が下) の換言です。

 天が下 和して恵る 日月こそ 晴れて明るき 民の父母なり 〈ホ7-4〉

 

【概意】
さすら手もハタレも 息が充ち足りぬゆえ
何か始めようにも 手立ては尽きており
されば進展成就も叶わず 日月と我は 天下を照らすさ

と皆で歌う。


  歌頭の “さすらても” の並びを逆にして、“もてらすさ” と結んでいます。



―――――――――――――――――――――――――――――
 はたれいかりて やのあられ かみのたみめに やもたたす
 いやたけいかり ほはなふく かみみつはめお まねくとき
 ほのほきゆれは むなさわき

―――――――――――――――――――――――――――――
 ハタレ怒りて 矢のあられ 神のタミメに 矢も立たず
 いや猛怒り 火花吹く 神 ミヅハメを 招く時
 炎 消ゆれば 胸騒ぎ

―――――――――――――――――――――――――――――

あられ (霰)

■神 (かみ)
アマテル神 を指します。


■タミメ (手見目)
「手を組み合せて造る形」 をいい、これで アワ歌の48神 を表現します。
仏教伝来後は 手印印相 などと呼ばれます。
タミメ を平面上に当て写したものが オシテ(押手) です。


■いや猛怒る (いやたけいかる)
イヤ(弥) は 「いよいよ・ますます」 の意。
タケイカル(猛怒る) は 「高ぶり怒る・激しく怒る・猛り狂う」 などの意です。


ミヅハメ

胸騒ぎ (むなさわぎ)

 

【概意】
ハタレは怒って矢の霰を降らすが、
アマテル神がタミメを結ぶと、矢も立たず。
ますます猛り怒って火花を吹くが、
神がミヅハメを招くと炎は消えて、ハタレの胸騒ぎ。



―――――――――――――――――――――――――――――
 にけんとするお たちからを はたれはるなに とひかかり
 ちからあらそひ おししはる はたれまもみな とりしはり
 まえにひきすゑ たれあくる
―――――――――――――――――――――――――――――
 逃げんとするを タチカラヲ ハタレハルナに 跳びかかり
 力争ひ 押し縛る ハタレマも皆 捕り縛り
 前に引き据え 垂上ぐる

―――――――――――――――――――――――――――――

タチカラヲ
アマテルが イワムロ(結室) に籠もった時、その イワト(結戸) を放り投げた人物です。

 君笑み 細く うかがえば 結戸を投ぐる タチカラヲ 御手取り出し 奉る 〈ホ7-5〉


■ハタレハルナ
ハタレ は ハタレ頭 の略で、ハルナ は 「治める者・長・おやぶん」 を意味します。
ですから 「ハタレ頭のおやぶん」 という意です。以後この人物は “ハルナ” と通称されます。


ハタレマ

■前 (まえ)
ここでは 「アマテルの前・神の前・御前」 をいいます。


■垂 (たれ)
アマテルの座所の前に垂れ下がる 御簾 です。 ▶画像

 

【概意】
逃げんとするを、タチカラヲはハタレのおやぶんに跳びかかり、
力争った末に押えて縛る。配下のハタレマも みな召し捕って縛り上げ、
神の御前に引き据えて、御簾を上げる。

 

本日は以上です。それではまた!

 

⇦前の講座          目次           次の講座⇨