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徹底解説みかさふみ講座 第55回 [2023.5.26]

みかさふみ アワ歌の文〈神代和字〉 (3)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 あわうたのあや (その3)
 年内になす事の文 https://gejirin.com/mikasa10.html
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 そのときに にしにさむらふ ひるこみや みことゑひすの
 つつしみて ねこえのういの みをしゑお きかまほしけの
 こひねかひ ときにあまてる みことのり

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 その時に 西に侍ふ ヒルコ宮 皇子とヱビスの
 謹みて 音声の初の 御教えを 聞かま欲しげの
 乞ひ願ひ 時に和照る 御言宣

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■西に侍ふ (にしにさむらふ)
“西” はここでは 「右」 と同じです。
サムラフ(侍ふ)は サムル(▽染むる・▽添むる)+アフ(合ふ) の
短縮で、「添い合わす・そばに付く・はべる」 などの意です。


■ヒルコ宮 (ひるこみや)
皇族としての ヒルコ の呼称です。

 
皇子・御子 (みこ)
アマテルの代嗣御子の オシホミミ を指します。


■ヱビス・ヱミス (恵比寿・笑みす)
いわゆる 「恵比寿さま」 のことですが、これはコトシロヌシのクシヒコを指します。
クシヒコは多くの称号を持ち、オオモノヌシヲコヌの尊ヲコの尊 とも呼ばれます。
このヱビスは 「にっこり笑むさま」 をいい、「蝦夷・夷・戎」 とは意味が別です。

 天の応えを 問ふ時に コトシロヌシが 笑みす顔 「我 すずかにて」 〈ホ10-4〉


■聞かま欲しげ (きかまほしげ)
キカマは キカム(聞かむ)の名詞形で、キカムは キク(聞く)+ン(意志) の変態です。
ホシゲは ホス(欲す)+ゲ(▽如) で、ゲは シク(如く)の名詞形 “シケ” の短縮です。
ですから 「聞かんことを欲す如くの」、つまり 「聞きたそうな」 という意です。


■和照る御言宣 (あまてるみことのり)
「和して照らす御言宣・ほどよく調えて恵む御言宣」 という意で、
アマテル大御神の御言宣を尊んでこのように表現します。
トヨミコトノリ(響御言宣)ともいいます。

 

【概意】
その時に、右に控えていたヒルコ宮と皇子とヱビスが、
謹んで音声の始まりの御教えを聞きたそうな乞い願い。
時に和照る御言宣。



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 ういのめくりは あのおして あめつちわかつ かたちなり
 ひとのういねも あにあきて くちふさきふく いきむれて
 はなにかよひの うぬのねは もとあかのほる おしてより
 みつにわかれて

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 初の巡りは ‘ア’ のオシテ 天地分かつ 形なり
 人の初音も ‘ア’ に開きて 口塞ぎ吹く 息蒸れて
 鼻に通ひの ‘ウヌ’ の音は 基 ‘ア’ が上る オシテより
 三つに分れて

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■初の巡り (ういのめぐり)
巡り” は ここでは 「回(かい)・順(じゅん)」 を意味します。
ですから 「初の回・最初の順番」 などの意です。


■‘ア’ のオシテ (あのおして) ■天地分かつ形 (あめつちわかつかたち)

外側の ‘○’ が 「天・天界」 を表し、
中心の ‘・’ が 「地・地球」 を表します。


■人の初音 (ひとのういね)
「人が発する最初の音」 の意です。


■‘ア’ に開く (あにあく)
ここでは 「ア音に開始する」  の意と、「ア音は口を開けて発する」 の意を
重ねているように思います。そして次の “口塞ぐ” に続きます。

 それゆえ男尊の歌は 「なにゑや」 で始まっているということでしょう。


■‘ウヌ’ の音 (うぬのね)
 
 これはさきの ‘ウン’ と同じと考えていいと思います。


 「あなにゑや」 次いで二つは 口塞ぎ 吹く息 蒸れて 燻む
‘ウン’
 ウンに次いでの 継ぎ歌は 「う(ん)まし乙女に」   〈ミ10-1〉


■基 ‘ア’ が上るオシテ (もとあがのぼるおして)
これはオシテの形状の変化をいい、基つ音の ア ‘○’ の形が上に突き出て、
ウ ‘△’ の形に変化することをいいます。

 

【概意】
最初の順番は ‘ア’ のオシテ。天と地を分かつ形なり。
人の初音も ‘ア’ に開けて、次の、口を塞いで吹く息が蒸れて
鼻にかかる ‘ウヌ’ の音は、もとの ‘ア’ のオシテが上に突き出す
形から3つに分れて、



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 きよきうと かろくちりんと なかのぬと
 みたもひおうむ あねとなり
 つきうむつちお むすふくさ うあのわおうむ

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 清き ‘ウ’ と 軽く散り ‘ン’ と 半の ‘ヌ’ と
 みたも火を生む 天音となり 
 継ぎ生む地を 結ぶ種 ‘ウア‘ の ‘ワ’ を生む

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■清き ‘ウ’ (きよきう)

清音の ‘ウ’」 という意です。


■軽く散り ‘ン’ (かろくちりん)

「軽く鼻に散って ‘ン’ 」 という意です。


■半の ‘ヌ’ (なかのぬ)

「その中間の ‘ヌ’」 という意です。


■みたも (共も)
ミタ(共)は ミツ(▽見つ)の名詞形で、「合うさま・似るさま・共通なさま」
を意味します。これは今に “まるで〜みたいだ” と言う場合の みた です。
ここでは 「どれも・いずれも・共に」 などの意となります。


■火を生む天音 (ひおうむあね)
「火を生む陽音」 という意です。

 ★5母音アイウエオ
 日本語の5つの母音は、それぞれ五元素の 「空・風・火・水・埴」 を表します。

 ア () =空  イ () =風  ウ (△) =火  エ (己) =水  オ (□) =埴
 ←……………… 陽属性 …………………→   ←……… 陰属性 ………→


■継ぎ生む地を結ぶ種 (つぎうむつちおむすぶくさ)
クニ(地)は ここでは 「地の音=陰音」 をいいます。
ですから 「継いで生む地の音を結ぶ・次に生む陰音を結ぶ素」 という意です。
これはすなわち 「ワ(地)の音」 をいいます。


■‘ウア‘ の ‘ワ’ を生む (うあのわおうむ)

「ウア の音が 縮まって ワ の音になる」 という意です。


【概意】
清音の ‘ウ’ と、軽く鼻に散って ‘ン’ と、その中間の ‘ヌ’ と
いずれも火を生む天音 (=陽音) となり、
次に生む地音 (=陰音) を結ぶ種、<すなわちワ(地)は>
‘ウア‘ が縮まって ‘ワ’ の音を生む。


 ゆえに 「あなにゑや ましおとめに いぬ」 と 歌う男尊に、
 女尊は 「なにやし うましをとこに あひき」 と 歌を返した
 ということでしょうか。



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 たまのをも あわとわかれて
 そとはあに なかはわとなる おしてより
 あはいとやふれ えとなかれ わうはおとなり

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 球の央も 天地と分れて
 外は天に 中は地となる オシテより
 ‘ア’ は ‘イ’ と破れ ‘エ’ と流れ ‘ワウ‘ は ‘オ‘ となり

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■球の央 (たまのを)

「球と その中心」 の意で、‘ア’ のオシテ の別称と考えられます。
とうぜん 魂と魄を結ぶ タマノヲ(霊の緒) にかけているのでしょう。
      〈魂と魄が結ばれて ア(我・吾)は生れる〉


■天地 (あわ)
天地(あめつち)と同じです。


■‘ア’ は ‘イ’ と破れ (あはいとやふれ)

「ア ‘○’ のオシテの下側が破れた形」 をいいます。



■‘エ’ と流れ (えとながれ)

 「ア ‘○’ のオシテが破れて流れ出る形」 をいいます。

 

■‘ワウ‘ は ‘オ‘ となり (わうはおとなり)

「ワとウが交わって オの形となる」 ということでしょう。


【概意】
球の央も天地と分れて、外は天に、中は地となるオシテより
はイと破れ、エと流れ、ワウはオとなり、

 

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 あはうつほ いはかせうはほ えのみつと おのはにゐつね
 ましわりて ひとのいきすと なりてより
 ゐつななわけて よそやすち つゐにねこゑの みちあきて
 なるあわくにお ゑなとして やまとやしまお うみたまふ

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 ‘ア’ は空 ‘イ’ は風 ‘ウ‘ は火 ‘エ’ の水と ‘オ’ の埴 五音
 交わりて 人の息すと なりてより
 五・七 分けて 四十八筋 ついに音声の 道 開きて
 なるアワ国を 胞衣として ヤマト八州を 生み給ふ

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■人の息すとなる (ひとのいきすとなる)
「人が地上で息をすることとなる・人が地に生きることになる」
という意に解してます。


■五・七 分けて四十八筋 (ゐつななわけてよそやすぢ)
「5音・7音に分けて48通り」 の意で、5+7+5+7+5+7+5+7=48 です。
これは 「地のアワ歌」 のことをいいます。


■音声の道開きてなるアワ国 (ねこゑのみちあきてなるあわくに)
二尊が国を巡って地のアワ歌を教え、民の言葉が調って治まった
中国(なかくに:中央政府国)を “アワ国” と名づけたことをいいます。

 “なる”(▽和る・▽平る)は 「和す・治まる・調う・直る」 などの意です。
 アワは アフ(合ふ・和ふ)の名詞形で、これも 「和し・調和・平和」 などの意です。

 二尊の オキツボに居て 国生めど 民の言葉の 悉曇り これ直さんと 考えて
 五音七字道の アワ歌を 上二十四声 イサナキと 下二十四声 イサナミと
 歌ひ連ねて 教ゆれば 歌に音声の 道 開け 民の言葉の 調えば
 中国の名も アワ国や 〈ホ5-1〉


胞衣 (ゑな)
ここでは 「基盤・母体」 の意です。

 和してアワを 胞衣として 〈ミ3-4〉


■ヤマト八州 (やまとやしま)
「和の道が通った八隅/八方」 という意味で、「日本全土」 をいいます。
ただし当時は、今の北海道は含まれていません。

 ★ヤマト (和・大和・倭)
 ヤマト(和)は ヤマツという動詞の名詞形で、ヤマツは ヤワス(和す)の変態です。
 「和合・調和」 を原意とし、「合・間・和・収・内・中」 などの意を表します。
 ヤマトは多くの意味に用いられるのですが、地名としてのヤマトは、元来は
 最初に和の道が通った ナカクニ(中国)=アワクニ(▽合国・▽和国) の別名でした。
 そして後に国家全域に和の道が通るに及んで、日本の国号となります。

和(まと)の教えに かかんして のんアワ国は てんヤマト 〈ホ5-4〉
和してアワを 胞衣として ヤマト秋津洲 淡路島  伊予阿波二名 隠岐三子
 
筑紫・吉備の児 佐渡・大島  生みて 〈ミ3-4〉


■生む (うむ)
この場合は、「八州の民を和して調えて治めること」 を意味し、
その具体策として 「民の言葉の乱れを調えて直す」 ことをいいます。

 

【概意】
‘ア’ は空、‘イ’ は風、‘ウ‘ は火、‘エ’ の水と、‘オ’ の埴の 5音が
交わって人が息することになったことから、二尊は5音と7音に綴る
48通りに音を分ければ、ついに音声の道が開いて民の言葉が調い、
そうして治まったアワ国を母体/基盤として、ヤマト八州を生み給う。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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