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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第138回 [2024.3.26]

第二五巻 ヒコ尊 ちを得るの文 (4)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 ひこみことちおゑるのあや (その4)
 ヒコ尊 ちを得るの文 https://gejirin.com/hotuma25.html
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―――――――――――――――――――――――――――――
 はてつみは きみにもふさく わかことて
 とよつみひこと とよたまめ たけつみひこと おとたまめ
 つれいてきみお おかましむ

―――――――――――――――――――――――――――――
 ハテツミは 君に申さく 「我が子」 とて
 トヨツミヒコと トヨタマ姫 タケツミヒコと オトタマ姫
 連れ率て君を 拝ましむ

―――――――――――――――――――――――――――――

ハテツミ (▽果て統み)

■君 (きみ)
ヒコホオデミ (=シノ宮・山サチ彦・斎名ウツキネ) を指します。

   
■トヨツミヒコ ■トヨタマ姫 ■タケツミヒコ ■オトタマ姫
ハテツミの子供たちの名です。生れた順番もこの通りだと思います。

 カナサキ─??─ハテツミ┬トヨツミヒコ
            ├トヨタマ姫
            ├タケツミヒコ
            └オトタマ姫


■連れ率る (つれいる)
「引き率る・率いる」 と同義です。 ▶率る(いる)

 

【概意】
ハテツミは君に申さく、「我が子」 とて、
トヨツミヒコとトヨタマ姫、タケツミヒコとオトタマ姫を 連れ従えて君を拝ましむ。



―――――――――――――――――――――――――――――
 きみはつくしの かみあつめ われつまいれん もろいかん
 ときにほたかみ もふさくは さきにこふとき きみのなも
 つくしのをきみ これここの あまつかみなり おまかせに

―――――――――――――――――――――――――――――
 君はツクシの 守集め 「我 妻入れん 諸 如何ん」
 時にホタカミ 申さくは 「先に乞ふ時 君の名も
 “ツクシの皇君“ これここの 和つ尊なり 御任せに」

―――――――――――――――――――――――――――――

■ツクシの守 (つくしのかみ)
「九州を知行する地守たち」 をいいます。
九州は32の県から成るため、三十二県の守(みそふあがたのかみ)、三十二守(みそふかみ)、
三十二の主(みそふのぬし)、また単に 三十二(みそふ) とも呼ばれます。


ホタカミ

ツクシの皇君 (つくしのをきみ・つくしをきみ)
さきに九州が治まらぬ時、ツクシの守らは中央政府に御子の下向を要請し、
ニニキネはウツキネを “ツクシ皇君” に任命して派遣しようとしますが、
結局 治まらぬ理由が食糧不足にあるとわかり、ウツキネの派遣を取りやめ、
ニニキネ自ら九州を巡幸して新田開発事業に取り組みました。
しかし “ツクシ皇君” の称号は取り消されてはいないため、九州の地守らは
ウツキネを九州の皇君として仰いでいるわけです。

 時にツクシの 治まらで 御子御下りを 乞ふ故に
 君 聞こし召し シノ宮を “
ツクシ皇君” と 御言宣 〈ホ25ー2〉


■ここの和つ尊 (ここのあまつかみ)
「九州を和し調える尊・九州の総統」 という意で、“ツクシ皇君” の換言です。 ▶皇君(をきみ)

 ★和つ尊 (あまつかみ)
 和つ君(あまつきみ) と語義はほぼ同じですが、和つ君は 「中央政府の君・国家君主」 をいいます。

 

【概意】
君はツクシの守を集めて、
「我は妻を入れようと思う。皆はどうだ?」
時にホタカミが申すには、
「さきに九州への下向を乞う時、君の名も “ツクシの皇君”。
これ九州の総統なり。それゆえ御随意に。」



―――――――――――――――――――――――――――――
 むかしははきみ あまきみに ひとよちきりて のちにめす
 きみまつはかる なおよしと かこしまみやに うつります

―――――――――――――――――――――――――――――
 「昔 母君 天君に 一夜契りて 後に召す
 君まず諮る なお好し」 と カゴシマ宮に 移ります

―――――――――――――――――――――――――――――

■母君 (ははぎみ) ■天君 (あまきみ)
“母君” はウツキネの母である 「アシツ姫」 を指します。
“天君” は 「ワケイカツチの天君」 の略で、父の 「ニニキネ」 を指します。

 アマテル─┐
      ├オシホミミ┐
 セオリツ姫┘     ├┬クシタマホノアカリ
            ││
 タカキネ──チチ姫──┘└ニニキネ  ┌ホノアカリ(斎名:ムメヒト)
                ├───┼ホノススミ(斎名:サクラギ)
 カグツミ───マウラ──┬アシツ姫  └ヒコホオデミ(斎名:ウツキネ)
             │
             └イワナガ


■一夜契る (ひとよちぎる)
ニニキネがハラミの8湖と8峰を完成して サカオリ宮に入った時、
御膳を捧げるアシツ姫を召して、一夜の契りを交わしたことをいいます。

 預かりの オオヤマズミが 御饗なす
 御膳捧ぐ アシツ姫 一夜召されて 契り籠む 〈ホ24ー4〉


■カゴシマ宮 (かごしまみや:鹿児島宮)
「曽於国の都」 で、ハテツミの本拠です。 ▶曽於
ウツキネ君はハテツミの姫を娶り、カゴシマ宮の新たな主人として宮に入ります。

 鹿児島神宮 (かごしまじんぐう)
 鹿児島県霧島市隼人町内2496。
 現在の祭神:天津日高彦穗穗出見尊、豊玉比賣命

 ★カゴシマ (籠州・鹿児島)
 カゴ(籠)シマ(州) で、「(鹿児島湾を囲む) “かご” のような区画」 の意と考えます。 ▶地図
 
この時代にあっては、カゴシマは ソヲ(曽於)の別名です。
 

 

【概意】
「むかし母君は天君と一夜を契り、後に内宮に召される。
君はあらかじめ相談なされば、なお好し」 と、<諸守の賛同を得て>
カゴシマ宮に移ります。



―――――――――――――――――――――――――――――
 とよたまひめお みきさきに すけうちしもめ ふたりつつ
 むつほねもなり ととのえは そのあすみかに とよつみか
 たまかさそろえ たままりも むたりにもたせ みつささく

―――――――――――――――――――――――――――――
 トヨタマ姫を 御后に 典侍・内・下侍 二人ずつ
 六局も成り 調えば その明す三日に トヨツミが
 玉笠揃え 玉椀 六人に持たせ 水捧ぐ

―――――――――――――――――――――――――――――

御后 (みきさき)

典侍(すけ) ■内 (うち) ■下侍 (しもめ) ■局 (つぼね)

■玉笠 (たまがさ)
「円形の笠」 をいいます。

 ★球・玉 (たま)
 タム(回む)の名詞形で、「回るさま・丸・円」 を意味します。


■玉椀 (たままりも)
「円形の容器・丸いおわん」 をいいます。

 ★椀 (まりも)
 マル+イム の短縮 ”マリム” の名詞形で、マルは モル(盛る)の変態、
 イムは ウム(埋む)の変態です。「盛って中を埋めるもの・入れ物・容器」 を意味します。
 これの略が マリ(椀) なので、“椀” と当て字しています。

 特に強調せずとも、笠や椀はだいたい丸い物と相場が決まっているのに、
 どうしてわざわざ “玉笠” と “玉椀” なのか?という疑問が湧きますが、
 それはおそらく 「欠けるところのない円形」 を 「日と月」 のモノザネとして
 いるものと思います。日月=陽陰=夫婦=木実 ですから。


■水捧ぐ (みづささぐ)
この儀式は現在も 「水祝」 という名で残っています。 ▶水祝(みずいわい)
婚礼の際に新郎新婦に水を浴びせかけるというものです。

 つまり6人の局が持つ玉椀には水が入っているのです。

 

【概意】
トヨタマ姫を御后に迎え、
典侍と内侍と下侍とを2人ずつ 6局も成りて調えば、
その3日の後 トヨツミヒコが夫婦に揃いの玉笠を用意し、
6人の局に玉椀を持たせて水を捧ぐ。



―――――――――――――――――――――――――――――
 こえおそろえて ももひなき まくはいのちの みかのひの
 かわみつあひて うひちにの かみからしもゑ
 はなむこにみつ まいらせふ まいらせふ
 このときに みそふあかたの かみうたい よろとたのしむ

―――――――――――――――――――――――――――――
 声を揃えて 『モモヒナキ 交ぐ合ひ後の 三日の日の
 川水浴びて ウビチニの 上から下へ
 花婿に水 参らせふ 参らせふ』
 この時に 三十二県の 守歌い よろと楽しむ

―――――――――――――――――――――――――――――

モモヒナキ (百雛木)

交ぐ合ひ (まぐはひ)

■参らせふ (まいらせふ)
マイラス(参らす)フ(=ん:意志) で、「さしあげましょう・捧げましょう」 という意です。


■三十二県の守 (みそふあがたのかみ)
「32の県からなる九州を治める地守たち」 をいいます。 ▶県


■宜と楽しむ (よろとたのしむ)
「よろしく楽しむ・好ましく楽しむ・嬉々として楽しむ」 などの意です。

 ★宜・喜 (よろ)
 ヨル(寄る)の名詞形で、「心が寄るさま・好むさま・喜ぶさま」 をいいます。

 

【概意】
声を揃えて
モモヒナキ 交ぐ合ひ後の 三日の日の 川水浴びて
ウビチニの 上から下へ 花婿に水 参らせふ 参らせふ❞
この時に32県の守も共に歌い、嬉々と楽しむ。


 新婚のウビチニとスヒヂが “とこ酒” を飲んで性交した3日間、
 翌朝ウビチニは体の熱さを冷ますため川の冷水を浴びました。
 これはそのことを謳った歌であり、また 「水祝」 の由来です。

 女尊まず 飲みて進むる 後 男尊 飲みて交わる “とこの酒”
 身 熱ければや 明す三朝 冷川浴びる 〈ホ2ー2〉



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 しかるのち さきのみゆきの いせきみな みこころそえて
 にいたなす つくしみそふの みめくりて かこしまにます
 としとしに みのりもふえて くにゆたか

―――――――――――――――――――――――――――――
 しかる後 さきの御幸の 井堰みな 実心添えて
 新田成す ツクシ三十二の 巡恵りて カゴシマに坐す
 年々に 実りも増えて 国 豊か

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■さきの御幸の井堰 (さきのみゆきのいせき)
「さきにニニキネが自ら九州に御幸して建設した井堰や堤」 をいいます。

 天君は 西宮より カメに乗り “ツクシウマシの ウト” に着き
 ツクシあまねく 恵り駆り 
井堰・堤に 新田成す 法 定むれば 〈ホ25ー2〉


実心 (みこころ)

■ツクシ三十二 (つくしみそふ)
「九州を構成するの32の県」 をいい、「九州全土」 を意味します。


巡恵る (みめぐる)

 

【概意】
そうして後、さきに天君が自ら御幸して築いた井堰を基に、真心を添えて新田を開く。
九州の32県を巡幸した後はカゴシマに坐す。年々実りも増えて、国豊か。



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 ことしうえつけ てれとよし
 うさのあかたに はやらせて さつきのもちの はるいわひ
 もちゐはゑしき うけかみに いはふほなかと ゆつりはの
 ほつまあそひの みつほうた

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 今年植付け 照れど良し
 ウサの県に 流行らせて 五月の十五日の 春祝
 餅飯・ハヱ 飾き ウケ神に 祝ふ穂長と 譲葉の
 ホツマ遊びの 瑞穂歌

―――――――――――――――――――――――――――――

■今年 (ことし)
「この年」 の変化形です。このとし → こんとし → ことし


植付け (うえつけ)
「稲の苗を田に植え付けること」 をいい、”田植え” と同じです。


■照れど良し (てれどよし)
「日照りが多く雨が少なめだったが おおむね良好」 という意でしょう。


■ウサの県 (うさのあがた)
「豊国のウサ県」 をいい、現在の大分県宇佐市あたりをいいます。 
豊国は ウサの宮 (現在の宇佐神宮) を本拠とするアカツチが領しています。

 宇佐神宮 (うさじんぐう)
 大分県宇佐市南宇佐2859。 
 現在の祭神:八幡大神、比賣大神、神功皇后


■五月の十五日の春祝 (さつきのもちのはるいわひ)
「5月15日に行う春の祝」 という意です。”春” は 「始まり・始め」 を意味しますが、
この場合は 「植え付け・田植え」 がそれに当たります。 ▶春秋
ですからこの "春祝” は、「田植えの祝」 という意味です。
これは 「御田植祭」 の名で現在も行われています。


■ハヱ (▽栄え)
ハヱ葉” の略です。


■飾く (しく)
シク(頻く・▽繁く) と同一で、「栄す・勢いづける・にぎわす」 などの意です。
この名詞形が カツシカ(葛飾) のシカ、その変態が ショク(飾・色) です。


■ウケ神 (うけかみ:▽活神)
ウケミタマ(宇迦御魂・倉稲魂・稲魂)の換言です。


■祝ふ (いはふ・いわふ)
「上げる」 が原義で、「勢いづける・尊ぶ・喜ぶ・囃す」 などの意を表します。
この場合は 「勢いづける・囃す・そやす・促す・あおる」 などの意です。


■穂長 (ほなが)
ハヱ葉” の別名です。穂(=葉)が非常に長くなるため、「成長・発展・豊作」 を願うモノザネです。


譲葉 (ゆづりは・ゆづは)
新葉が出てから古い葉が落ちるので、「子孫が継ぎ続く」 ことを願うモノザネです。 ▶画像


■ホツマ遊び (ほつまあそび)
「稲育成の演劇・育成ごっこ」 というような意味です。
これは 「田遊び」 の名で現在も行われています。 ▶田遊び

 このホツマは ホツ(▽秀つ・▽穂つ)+ツム(積む) の短縮 “ホツム” の名詞形で、
 「成長・育成・熟成」 などを意味します。
 “遊び” は この場合は 「真剣でないさま・真似事・模擬・演技」 をいいます。


■瑞穂歌 (みづほうた)
ミヅホは 「実り・成果・収穫」などを意味します。 ▶瑞穂
ですから 「実りの歌・収穫の歌」 などの意です。
“ホツマ遊び” のBGMとして歌われたのではないかと思います。

 

【概意】
この年の植付けは 日照りが多いながらも良好だったため、
ウサの県に流行らせた5月の15日の春祝。
餅飯とハヱ葉を飾り、ウケ神に豊作とその継続を囃す ホツマ遊びの瑞穂歌。



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 たのしにきはふ とよのくに みそふのあかた みなはやる
 かとまつはゑは ゆつりはも はるしきかさる もとおりや

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 楽し賑わふ 豊の国 三十二の県 みな流行る
 門松・ハヱ葉 譲葉も 春 飾きかざる もとおりや

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■楽し賑わふ (たのしにぎはふ)
タノス(楽す)+ニギハフ(賑ふ) の連結で、「楽しみにぎわう」 の意です。
タノスは タノシム(楽しむ)と同じです。

 ★楽す (たのす)
 タノシム(楽しむ)の換言で、「楽しに染まる・満ち足りるさまに染まる」 が原義です。
 タノシ(楽し)+シム(染む) の “シム” を “ス” に替えたもので、
 スは スル(為る・刷る)の短縮で、「合わす」 が原義です。


■豊の国・豊国・豊 (とよのくに・とよくに・とよ)
後の 「豊前豊後」 で、現在の福岡県東部と大分県の大部分を占めます。
ウツキネの新田開発によって豊かとなったため、この名が付きます。

 ★豊 (とよ)
 トユの名詞形で、トユは タフトブ(尊ぶ)の母動詞 “タフ” の変態。
 「上にあるさま・高まるさま・栄えるさま」 などが原義で、トミ(冨)の変態です。


■門松 (かどまつ)
この由来は説明されていませんが、「門出を待つ・角/才の出を待つ」 の
モノザネ
として、「門に松を置く」 ということでしょう。  ▶門出


■春 (はる)
この場合は 「一年の始め」 の意で、「新年・新春・正月」 をいいます。


■飾きかざる (しきかざる)
シク(▽飾く・頻く・▽繁く)+カザル(飾る) の連結です。
シクは 「栄す・にぎわす」、カザルは 「添える・備える」 などが原義です。
ですから 「にぎやかさを添える・装飾する」 という意味です。 ▶画像

 今に言う カザル(飾る)は “飾きかざる” の略ではないかと思います。


もとおり (回り)

 

【概意】
楽しみ賑わう豊の国。5月15日の春祝も九州全土に広まり流行る。
門松・ハヱ(=穂長・ウラジロ)・譲葉を新春の装飾とするのも これが由来や。



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 とよにきはひて むよろとし へてもあそくに またこえす
 かれみやつくり うつります
 はおかんかえて かそみねの かそうおいれて たおこやし

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 豊 賑ひて 六万年 経てもアソ国 まだ肥えず
 故 宮造り 移ります
 地を考えて 数峰の 数魚入れて 田を肥やし

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■アソ国 (あそくに)
後の 「肥前肥後」 で、現在の 「佐賀県・長崎県+熊本県」 です。
肥国(こえくに)、不知火の国(しらぬひのくに) とも呼ばれます。

 ★アソ (阿蘇)
 アソは アセル(焦る)の母動詞 “アス” の名詞形と考えます。
 「焼け焦げるさま・いらだち」 などの意で、つまり 「噴火」 をいうのでしょう。


■宮 (みや)
アソ国を肥やして新田を開発する拠点とするため、ウツキネが建てて滞在した宮です。
この宮の跡が阿蘇神社になったと考えています。

 阿蘇神社 (あそじんじゃ)
 熊本県阿蘇郡一の宮町宮地3083-1。
 現在の祭神:健磐龍命(阿蘇都彦命)、阿蘇都媛命、他10柱
 【延喜式神名帳の記載】健磐龍命神社(名神大) 肥後国阿蘇郡鎮座
            阿蘇比盗_社 肥後国阿蘇郡鎮座


■地を考える (はおかんがえる)
「土質を考慮する」 という意です。 ▶地・埴・土 (は・わ) ▶考える


■数峰の数魚 (かぞみねのかぞうお)
「多数の峰に生じる多数の魚」 という意です。 ▶数
“峰” というのは 「峰から流れ下る川」 ということだと思います。
魚を田の肥やしにするという方法は、津軽のオホナムチもやってます。

 数島や 数峰山と 島間に 数魚生れば この魚を 新田に入れて 地を肥やす 〈ホ24ー9〉

 

【概意】
豊国が賑わって6万年を経ても アソ国はまだ肥えず。
しかれば宮を造って移ります。
地を考えて、数峰の数魚を入れて田を肥やせば、



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 かけろふのひの こえくにの たけいわたつは くつおあけ
 あそひめゆなに たてまつる きみめしあけて うちきさき
 ここにもむよろ としおへて

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 陽炎の火の 肥国の タケイワタツは 沓を上げ
 アソ姫 斎餞に 奉る 君 召し上げて 内后
 ここにも六万 年を経て

―――――――――――――――――――――――――――――

■陽炎の火 (かげろふのひ)
「出たり消えたりする火・存在を判断しがたい火」 という意で、
別名を シラヌヒ(知らぬ火・不知火) といいます。 ▶陽炎 ▶不知火
この火が現れる八代海のある “肥国” にかかります。


■肥国 (こえくに)
ウツキネの開発事業によって肥えた 「アソ国」 の新名です。


■タケイワタツ
アソ国(=肥国)を知行する地守です。阿蘇神社の祭神であり、
他文献では “健磐龍命” と記されますが、どういうわけか神武天皇時代の人物とされています。
タケは 「長・司」 の意で、イワタツ(▽穢立つ)は “沓を上ぐ” の換言と考えます。

 阿蘇神社 (あそじんじゃ)
 熊本県阿蘇郡一の宮町宮地3083-1。
 現在の祭神:健磐龍命(阿蘇都彦命)、阿蘇都媛命、他10柱
 【延喜式神名帳の記載】健磐龍命神社(名神大) 肥後国阿蘇郡鎮座
            阿蘇比盗_社 肥後国阿蘇郡鎮座


■沓を上ぐ (くつおあぐ)
足の下に敷く 「クツ(沓・靴・履)を上に上げる」 という意です。
これは 「下にある物を上にする・ひっくり返す・くつがえす・転倒する」 という意で、
つまりは 「びっくりする」 ということです。


■アソ姫 (あそひめ)
タケイワタツの娘です。斎餞としてウツキネに捧げられ、内后として召されます。

 阿蘇神社 (あそじんじゃ)
 熊本県阿蘇郡一の宮町宮地3083-1。
 現在の祭神:健磐龍命(阿蘇都彦命)、阿蘇都媛命、他10柱
 【延喜式神名帳の記載】健磐龍命神社(名神大) 肥後国阿蘇郡鎮座
            阿蘇比神社 肥後国阿蘇郡鎮座


■斎餞 (ゆな)
ユフハナ(▽斎餞)の短縮で、「祝いのはなむけ・敬う心を表す捧げ物」 をいいます。


■内后 (うちきさき)
ウチメ(内侍)の換言です。 ▶局(つぼね)

 

【概意】
陽炎の火の肥国のタケイワタツは仰天して
娘のアソ姫を斎餞として奉れば、君は召し上げて内后となす。
ここにも6万年を経て、



―――――――――――――――――――――――――――――
 しかのかみたは またみてす つくしのみやに うつります
 はおかんかえて あふらかす いれてかすやの はにみつる
 そのほかみその まねくゆえ めくりかんかえ つくしみや
 ゆたかにこえて たみやすく ここにもむよろ としおへて

―――――――――――――――――――――――――――――
 シガの守手は まだ充てず “ツクシの宮” に 移ります
 埴を考えて 油粕 入れてカスヤの 埴 充つる
 そのほか三十の 招く故 恵り考え “つくし宮”
 豊かに肥えて 民 和すぐ ここにも六万 年を経て

―――――――――――――――――――――――――――――

■シガの守手 (しがのかみた)
「シガの守が治める領地」 をいいます。 ▶シガの守
タ(手・▽方)は テ(手)の変態で、「区分・区画」 を表します。


■充てず・満てず (みてず)
「満ち足りず」 の意で、“肥えず” と同義です。


■ツクシの宮 (つくしのみや)
シガの守の領地を肥やして新田を開発する拠点とするため、ウツキネが滞在した宮です。
この “ツクシ” は 九州全土を表すものではなく、後の 「筑州」、現在の 「福岡県」 をいいます。


油粕 (あぶらかす)

カスヤ (粕谷・粕屋・糟屋)
「油粕を入れた地区」 という意で、つまり “シガの守手” の換言です。 ▶谷(たに・や)

 アマテルの南局に侍る乙下侍のイロノヱ姫アサコは、カスヤの娘ですが、
 この人物は カスヤの地(=シガの守手)を治める領主だったと思われます。
 おそらくここに現れている シガの守 の父か祖父でしょう。

 カスヤが姫 イロノヱアサコ 南の乙下 〈ホ6-1〉


■恵り考えつくし宮 (めぐりかんがえつくしみや)
「他の30の県にも巡幸する都合を考えつくして建てた宮」 という意で、
これが “ツクシの宮” の名の由来です。 ▶恵り・巡行り


■和すぐ・安ぐ (やすぐ)

 

【概意】
シガの守の方はまだ満ち足りず、ツクシの宮に移ります。
埴を考えて、油粕を入れてカスヤの埴を満たす。
そのほか30県が招くゆえ、巡幸を考えつくし宮。
豊かに肥えて民も健やかに調う。ここにも6万年を経て、



―――――――――――――――――――――――――――――
 みすすのあいた しはらくも やすまてたみお たすゆえに
 きさきつほねも みこうます かれこれおほし みやすてて
 うとにいたれは はてかみの まねくかこしま
 ゆきまさす きさきはちちに これおつく

―――――――――――――――――――――――――――――
 三鈴の間 しばらくも 休まで民を 治すゆえに
 后・局も 御子生まず 故 これ思し 宮 捨てて
 ウトに到れば ハテ守の 招くカゴシマ
 「行きまさず」 后は父に これを告ぐ

―――――――――――――――――――――――――――――

■三鈴 (みすず)
真榊(=鈴木)による暦法で、1鈴=6万年、1枝=60年、1穂=1年 です。
したがって 3鈴=18万年 です。


治す (たす)

■ウト (▽疎)
 ウトム(疎む)の母動詞 ウツ(棄つ) の名詞形で、「離し・分け」 を原義とし、
「分け目・際・果て・境界」 などを意味する普通名詞です。

 この場合は、シホツツに先導されて ウツキネを乗せたカモ船が着いた、
 “ツクシウマシの浜” をいい、「カゴシマ宮にほど近い海岸」 をいうものと思います。

 

【概意】
3鈴の間、しばらくも休まず民を治すゆえに、后も側室も御子を生まず。
しかればこれを思し召して、宮を離れてウト(=浜)に到る。
ハテ守はカゴシマ宮に招くも、“お行きになりませぬ” と、后は父に告ぐ。



―――――――――――――――――――――――――――――
 はてかみうとに もふさくは きみたのさすや しからすそ
 つほねはあれと こおうます かれにすておき
 たたひとり つれてしはらく ここにあり
 つくしのたみお おもふはかりそ

―――――――――――――――――――――――――――――
 ハテ守 ウトに 申さくは 「君 楽さずや 然らずぞ
 局はあれど 子を生まず 故に捨て置き
 ただ一人 連れてしばらく ここにあり
 ツクシの民を 思ふ計りぞ」

―――――――――――――――――――――――――――――

楽す (たのす)

然らず (しからず)

■ツクシの民を思ふ計り (つくしのたみおおもふはかり)
トヨタマ姫が代嗣子を生めば、中央政府の血統に九州の血が混じることになりますが、
それが九州の未来にとって大きなプラスとなることをいうものと考えます。
そしてそれは実際にその通りとなるのです。

 

【概意】
ハテ守が浜辺の姫に申すには、
「君はご不満だというのか?そうではないぞ。
側室はいても子を生まず。されば捨て置き、后ただ1人を連れて、
しばらくここにご滞在なのだ。九州の民を思う計らいぞ。」

 

本日は以上です。それではまた!

 

 

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