⇦前の講座          目次           次の講座⇨ 

 

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

徹底解説ほつまつたえ講座 改訂版第84回 [2023.12.1]

第十六巻 孕み謹む帯の文 (5)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 はらみつつしむおびのあや (その5)
 孕み謹む帯の文 https://gejirin.com/hotuma16.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

―――――――――――――――――――――――――――――
 われひめみこお まふけらん たちからわこお まねかんな
 わかよろこひの かとひらき しかはもふけの むねのはな

―――――――――――――――――――――――――――――
 我 姫子を 設けらん タチカラ子を 招かんな
 我が喜びの 門開き しかば儲けの 胸の花

―――――――――――――――――――――――――――――

 これ以後しばらくは、コモリが師と仰ぐ コヤネの言葉の引用です。


■姫子 (ひめみこ)
ヒメ(姫)+ミコ(子) で、メノコ(女の子) と同じです。

 ★子 (みこ)
 ミクの名詞形で、ミクは マク(撒く)の変態。「放ち・分け・散らし」 などが原義で、
 「分け・分け身・子」 を意味します。マコ(真子)ワコ(和子)アコ(吾子) などの変態です。
 ミコ(御子)と同音ですが、敬意は含みません。


■設けらん (まふけらん)
マフク(設く)ラン(意志/推量) で、「先に用意しよう」 という意です。

 
■タチカラ子 (たちからわこ)
タチカラは タチカル(立ち上る)の名詞形で、タチアガリ(立ち上がり)と同義です。
これは 天地創造の時に、った 「陽・男」 を意味します。
ですから 「男の子」 と同じです。

 ★子 (わこ:吾子・和子)
 ワク(分く)の名詞形で、「分け・分け身・子」を意味し、
 マコ(真子)ミコ(▽子)アコ(吾子) などの変態です。


■我が喜び (わがよろこび)
具体的には 「代嗣の男子の誕生」をいいます。


門開き (かどびらき)
「通路の開放・出発・発進」 を意味しますが、おもしろいことに
「初産に女児の生れること」 という意が辞書の説明にあります。


■しかば (然ば)
シカレバ(然れば)と同じです。
「そうであるから・されば・それゆえ」 などの意です。

 ★しかれば (然れば)
 シク(如く)+あれば の短縮です。


■儲け (もふけ)
モフク(儲く)の名詞形で、「めぐってくるもの・配当・恵み」 などが原義です。
この場合は 「代嗣の男子が生まれること」 をいいます。

 ★儲く (もふく・もうく)
 モフ+フク(吹く) の短縮で、モフは マフ(舞ふ・▽回ふ) の変態。
 両語とも 「回る・めぐる・行き来する」 などが原義です。


■胸の花 (むねのはな)
ムネ(胸・棟)は 「上・先・前」が原義で、ハナ(花)は ここでは 「咲くもの」です。
ですから 「先に咲くもの・(実を結ぶ)前に咲く花」という意となります。

 この花を 「姫子・女の子」になぞらえています。
 植物の場合には、まず花が咲き、その後に実を結ぶわけですから、
 花である女子が生まれれば、その後には実である男子が生まれるのが
 自然の理だということです。

 

【概意】
我は女の子を先に設けるぞ。男の子を招くだろうからね。
我が幸運の門開きとなれば、女の子は “恵みの前の花” よ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 みなるをのこは ひのみたま まつこもりくの みはしらに
 むかひたにゐて めおまねき をまつめくりて めおつつむ
 めかせはまりて はゑいつる はなくきはしち をのはしめ
 をのこうむなり

―――――――――――――――――――――――――――――
 実なる男の子は 日の神霊 まず籠りくの 実柱に
 向かひ手に居て 陰を招き 陽まず恵りて 陰を包む
 陰が狭まりて 生え出づる 放茎はシヂ 男の始め
 男の子生むなり

―――――――――――――――――――――――――――――

■実なる男の子 (みなるをのこ)
“花である女の子” に対して、「実である男の子」 という意です。


日の神霊 (ひのみたま)
男の目から入って精液に宿っている 「日の潤」 をいいます。
背の潤波カリの繁波チチのカリ波天の霊荒神霊、、などと換言されます。

 日の神霊と月神霊の因み合いが 人の種(胚・胎芽)を発生させ、その周りを
 両神霊が二つ巴に回転することで 胞衣を形成しつつ胎芽を育成します。


■籠りくの実柱 (こもりくのみはしら)
コモリクは コモル(籠る)ク語法で、「籠る如く・潜む如く」 の意です。
ミハシラ(実柱)は ナカハシラ(中柱)と同じで、「中軸」 を意味し、この場合は
シラホネ
オノコロ の換言で、「本体・本尊・胚・胎芽」 をいいます。
ですから 「籠れる本体・潜在的胎芽・まだ姿なき胚」 というような意となります。


■向かひ手 (むかひた)
ムカヒ(向かひ)+タ(手・▽方)で、「面と向かう位置・正面・真向い」 を意味します。
タは テ(手)の変態です。


■陰 (め)
女が目から体に取り入れた 「月の潤」 をいい、月神霊(つきみたま)の換言です。
他にも 妹が霊母の和霊和霊(にし)和霊(にこたま)シヰ(魄) などの換言があります。


■陽 (を)
「陽の霊」 をいい、日の神霊(ひのみたま)と同一です。


恵る (めぐる)
この場合は 陽(=日の神霊)が先に 「配る・めぐらす・影響を与える」 という意です。


■狭まる (せばまる)
スボマル(窄まる)の変態で、「締まる・制限される・縮む」 などの意です。


■放茎 (はなくき)
ハナ(放)+クキ(茎) で、「生え出る茎状のもの」 という意です。
ハナは ハナツ(放つ)の母動詞 “ハヌ” の名詞形です。

 ★茎 (くき)・釘 (くぎ)
 ククル(括る)の母動詞 “クク” の名詞形で、「(何かを)括り付ける物・つなぎとめる物」 が原義で、
 「草木の根・枝・葉・花を括り付ける主軸/幹」、あるいは 「木を括り付ける釘」 などをいいます。


シヂ

 

【概意】
実なる男の子は、日の神霊が潜在的胎芽の正面に位置し、その後に月神霊を招く。
このため陽(=日の神霊)が先に影響し、陰(=月神霊)の影響力を抑える。
陰が減退して生え出る突起がチンチンとなれば男の始め。男子を生むのである。


 14アヤには次のように記されます。

 朝日の潤を 身に受けて 子宮にあれば 夜潤波と 共に恵れど
 陽は先に 陰を包むゆえ 狭められ ついに穂末の はせ出でて
 充りシヂ成る 男の始め これ男の子生む  〈ホ14-5〉

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 めのこには めのめよりうく つきみたま みやおうるほし
 そむきゐて のちうくるひの ましわりは めまつめくりて
 をおつつむ をはしちならす たましまか うちにつほみて
 めのはしめ めのこうむなり

―――――――――――――――――――――――――――――
 女の子には 女の目より受く 月神霊 宮を潤し
 背き居て 後受くる日の 交わりは 陰まず恵りて
 陽を包む 陽はシヂ成らず 玉島が 内につぼみて
 女の始め 女の子生むなり

―――――――――――――――――――――――――――――

月神霊 (つきみたま)

■宮 (みや)
子宮」 をいいます。


■背き居る (そむきゐる)
日の神霊が “向かひ手(=正面側)に居る” のと対照的に、
月神霊は 「背面側に居る」 ということです。


■後受くる日の交わり (のちうくるひのまじわり)
ヒ(日)は ここでは 「日の神霊」 をいいます。
ですから 「後に招く日の神霊との交わり」 という意です。


恵る (めぐる)
この場合は 陰(=月神霊)が先に 「配る・めぐらす・影響を与える」 という意です。


■玉島 (たましま)
「こんもり盛り上がる区画」 の意で、「恥丘」 をいいます。

 

【概意】
女の子の場合は、母の目より受ける月神霊が 先に子宮を潤し、潜在的胎芽の背面に位置する。 
後に招く日の神霊との交わりは、陰(=月神霊)が先に影響して、陽(=日の神霊)を抑えるため、
陽はチンチンと成らず、恥丘部が内につぼみて女の始まり。女子を生むのである。


 14アヤには次のように記されます。

 女の子は先に 月宿り 後 日を招く 陰は早く 陽は包まれて シヂ成らず
 玉島角に 彫り成す これ女の始め 女の子生む  〈ホ14-5〉

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 めはつきの おそくめくれは ひひのまし みもよそなつつ
 ふそこかは よろちむそみの みそかには ひとつもとりて
 みそひより みそみかまても みかのうち ひにそこもとり
 みそよかも ひともとりして さつめへり

―――――――――――――――――――――――――――――
 女は月の 遅く巡れば 日々の増し 三百四十七ずつ
 二十九日は 万千六十三の 三十日には 一つ戻りて
 三十一より 三十三日までも 三日の内 日に十九戻り
 三十四日も 一戻りして サツメ減り

―――――――――――――――――――――――――――――

■月の遅く巡る (つきのおそくめぐる)
これは月神霊の本源である太陰(天体の月)の運行が、太陽の運行より遅いことをいいます。
そしてそのことが女のイキス(呼吸数)の少なさに関係しているというのです。

 太陽は1年後には元の位置(座標)に戻りますが、月が元の位置に戻るのは、
 それより13日ほど遅れることをいいます。

 陽陰回り 日は大きくて 一送れ 三百六十五度 一年の 春立つ日には 元に来て
 一度元の 星に合い 月は重くて 
十三のりを 遅れ日に合ふ “ついたち” ぞ 〈ミ6-5〉


■日々の増し (ひびのまし)
これは妊娠した母の 「一日あたりのイキス(呼吸数)の増加分」 をいいます。
“347回” は女児を孕んだ場合の数で、男児の場合は “360回” です。
ですから女児は男児より13回分少ないのです。

 男のイキス 万三千六百八十 女のイキス 万三千百八六
 御胤得て 母に増す息 
三百六十の 翌日は七百二十 〈ホ16-3〉


■サツメ
これは 「五十九」 という数を表します。
連歌(つづうた)の59句目を “サツメ” と呼ぶことに由来しますが、
このことについては 39アヤで説かれます。

 

【概意】
女は、月が遅く回るため 呼吸数の日々の増しは347回ずつ。
29日目には11,063回となるが、30日目は1つ減って、
31日目から33日目までの三日間は 日に19減り、
34日も1つ減って、都合59回減り、


 1日目:347回 2日目:694回 3日目:1,041回 ・・・
 29日目:10,063回
 30日目:1回減って 10,062回
 33日目:19×3回減って 10,005回
 34日目:1回減って 10,004回

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 みそゐかよりそ ひひのまし みもよそななり よそかには
 もとましともに ふよろむち みもなそふにて みちきわむ
 ゑなのめくりも なそらえて やかてうまれん

―――――――――――――――――――――――――――――
 三十五日よりぞ 日々の増し 三百四十七なり 四十日には
 元・増し共に 二万六千 三百七十二にて 満ち極む
 ヱナの巡りも なぞらえて やがて生れん

―――――――――――――――――――――――――――――

■ヱナの巡り (ゑなのめぐり)
ヱナは 「実や子を結ぶ(形造る)もの」 が原義ですが、 ▶胞衣
この場合は、子を結ぶ(形造る) 「日と月の神霊」 をいいます。
つまり “ヱナの巡り” とは 「日と月の神霊の回転」 を意味します。

 父の波 母の和霊と 因み合ひ 昼は霊上り 夜は波の 上る日月の 一巡り
 明日二巡り 三巡りと 月に三十回の 巡り増し やや六十四日に 巡り満つ
 総べて千八十に 巡り遂げ やや充り子の 態 備ふ 〈ホ14-3〉


なぞらふ (準ふ・准ふ・擬ふ)
「似る/似せる・匹敵する/させる・準ずる」 などの意です。
ここでは 「日月の神霊の回転数の増加も呼吸数の増加に準じる」 ということで、
「毎日少しずつ増えること」 を意味するものと思います。



【概意】
35日目から日々の増しは また347回となり、
40日目には 母のもとの呼吸数と増加分とを合せて 26,372回となって満ち極まる。
日月の神霊の回転もこれに準じ、<早い遅いはあるが> やがて生れる。


 34日目:10,004回
 40日目:10004+(347×6)=13,086回
 母の元の呼吸数:13,186回
 妊娠による増加分:13,086回
 合計:26,272回 となるはずですが・・・、26,372回になってますね。

 男児を妊娠した場合に 母に増す呼吸数は、
 初日には360回。翌日は720回。3日目には1080回。30日目に10,800回。
 38日目に13,680回となり、母のもともとの呼吸数と増加分とを合せて、
 26,846回 (これも手元の計算では26,866回) です。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――
 ををんかみ こそむつきます
 このこやね ももつきませり たちからを みそむつきます
 さるたひこ そむとしおれと これはまれ
 をのこはとしに めはとつき いきすよけれは うむもやすきそ

―――――――――――――――――――――――――――――――
 大御神 九十六月座す
 このコヤネ 百月座せり タチカラヲ 三十六月座す
 サルタヒコ 十六年居れど これはまれ
 男の子は年に 女は十月 イキス良ければ 生むも安きぞ

―――――――――――――――――――――――――――――――

大御神 (ををんかみ)

■座せり (ませり)
マス(座す・坐す)は 「合わす」が原義で、ここでは 「ある・居る」と同じです。
リは「あり・なり」の短縮です。ですから マセリは “座すなり” の短縮です。


タチカラヲ

■サルタヒコ
この有名な人物の出自/素性については ホツマには記述がありません。
記紀には 猿田毘古神/猿田彦命 と記されます。
後にニニキネの八州巡りに合流して大活躍します。〈ホ24〉

 

【概意】
大御神は <子宮内に> 96月座す。このコヤネは100月座すなり。
タチカラヲは36月座す。サルタヒコは16年いたが、これは稀れ。
<通常は> 男子は1年、女子は10月。呼吸数が良ければ生むのも楽ぞ。


 ここでコヤネの言葉の引用はおしまいです。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

⇦前の講座          目次           次の講座⇨