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徹底解説みかさふみ講座 第58回 [2023.6.16]

みかさふみ アワ歌の文〈神代和字〉 (6)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 あわうたのあや (その6)
 年内になす事の文 https://gejirin.com/mikasa10.html
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 あわのうた われもうたえは もろひとの におうまんとて
 ふたそめて さとしおしえん にのみちも とかねはくもる

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 アワの歌 我も歌えば 諸人の 和を生まんとて
 札 染めて 諭し教えん 和の道も 研がねば曇る

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■アワの歌 (あわのうた:陽陰の歌/和の歌)
「陽陰とその和合の歌・両極端とその中和の歌」 などの意で、
地のアワ歌” を指します。


■我も歌えば (われもうたえば)
ワレ(我) は 「アマテル神」 を指します。
“太陽神霊と太陰神霊の和合に生れた我がアワ歌を歌えば”
という意味が奥にあると思われます。


■和 (に)
ニフ(▽和)ニヤ(▽和)ニキ(和)ニコ(和) などの略で、
これも 「やわし・和・柔・調・譲歩の心」 などを意味します。


■札染む (ふだそむ)
「札状の書付にオシテを書き写す」 という意です。


■和の道 (にのみち)
アワ道” の同義語ですが、ここでは特に
「やわしの道・調和の道・譲歩の道」 をいうのでしょう。

 

【概意】
アワの歌を我も歌えば、諸人の心に和を生むだろうと、
札にオシテを染めて諭し教えようとするが、
和の道も 磨かずにおけばいつしか曇る。

 

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 ひるこかみ 〈以後欠落〉  ・・・・・ ・・・・・・・
 ・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・
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 ヒルコ尊  ・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・
 ・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・
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【概意】
ヒルコ尊  ・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・
・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・

 

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 ときにあまてる みことのり
 むかしふたかみ あわうたお ひことにうたひ やをよろか
 おこなひゐたる このすえに われうけつきて むすふてに
 あさことうたふ ゐくとせか いまたかかさす このおして

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 時に和照る 御言宣
 昔 二尊 アワ歌を 日ごとに歌ひ 八百万日
 行ひ至る この末に 我 受け継ぎて 結ぶ手に
 朝ごと歌ふ 幾年か いまだ欠かさず この押し手

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和照る御言宣 (あまてるみことのり)


■八百万日 (やをよろか)
「数えられないほど多くの日数」 を意味します。 ▶八百万


■結ぶ手 (むすぶて)
「手を結ぶこと」 をいい、すなわち “タミメ” です。


■押し手 (おして)
「手を合わすこと」 をいい、“結ぶ手”  “タミメ” の換言です。

 

【概意】
時に和して照らす御言宣。
むかし二尊はアワ歌を日ごとに歌うこと八百万日。
行い至ったその末に、我が受け継ぎて、結ぶタミメに
朝ごと歌うも幾年か。いまだ欠かさずこの押し手。

 

 アマテル神が朝ごとにアワ歌を以て天地を祭ったことはホツマにも記されています。

 ・アマテル神も 忘れじと 糸二十四筋 撚り合せ 陰陽羽二重の 御衣となす
  この御衣召して 朝ごとに 天地祭り 父母に 継がふ実心   〈ホ16-8〉
 ・麻子と菅の 羽二重は 民の気安く 永らえと 日に祈る衣ぞ  〈ホ23-4〉

 

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 たまきのつくる おしゑくさ あまかみまねく みはしらき
 にこころうつす うつわもの そのみかたちに すすめこふ
 ふかきむねある そめふたお まかせたまわる にふのかみ

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 タマキの創る 教え種 天神招く 神柱木
 和心写す 器物 その神形に 進め乞ふ
 深き旨ある 染札を 任せ 賜る “和の守”

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■タマキ
ニニキネ → ニニギ(瓊瓊杵)、タカキネ → タカギ(高木)
略されるのと同様で、これは タマキネ を指します。


■教え種 (おしゑぐさ)
「教えのネタ・教材」 などの意です。


■天神 (あまかみ)
アマカミも複数の意味に使われ、紛らわしい用語の一つですが、ここでは
地に徘徊する邪霊と区別して、「天に還った人の神霊」 をいうと考えています。


■神柱木 (みはしらぎ)
「神霊の依代とする木の柱」 です。
後にはアマテルも、これを用いて神霊を招くことを薦めています。
柱の長さを生前の身長に合せたため、身丈柱(みたけばしら) とも呼ばれます。

 年回る日は 喪に一日 その身柱に 纏るべし 〈ホ26-4〉


和心 (にこころ)
「やわしの心・やわす心・調和の心・融和の心」 などの意で、
この場合は 「神霊と調和/融和しようとする心」 をいうのでしょう。


■その神形 (そのみかたち)
「神霊がやどる有形物(=器物)」 の意で、つまり “神柱木” のことです。


旨・宗・胸 (むね)
「中心」 を意味します。ここでは 「心・胸の内」 をいいます。


和の守 (にふのかみ)
負けて和しを守る者・妹道を守る者」 という意です。

アマテルは帰天する際、后のセオリツ姫に次のように遺言しています。

 また后 ヒロタに行きて ワカ姫(=ヒルコ)と 共に妹心 守るべし
 我はトヨケと 背を守る 
妹背の道なり        〈ホ28-4〉

 

【概意】
タマキの創った教え種に、天神を招く “神柱木” がある。
人の和心を写す器物で、<それに神霊が寄り付きやどる>
その神形に供え物をして願うのだが、
ヒルコが深き旨を札に書き付け、神に委ねれば、
“和の守” の名を賜る。

 

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 ここにひるこは ゐものしに かなあやゐさせ
 あまねくに おしゆるみなも わかひるめ
 にふのゐさおし ををいなるかな

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 ここにヒルコは 鋳物師に 金紋 鋳させ
 あまねくに 教ゆる御名も “ワカヒルメ”
 和の功 大いなるかな

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鋳物師 (ゐものし)


■金紋 (かなあや)
「金属製の印鑑」 をいうものと思います。


■ワカヒルメ (▽和平る女)
ワカ(▽和)+ヒル(▽平る)+メ(陰・女・姫) で、ワカ(▽和)は ニフ(和・柔)と同義です。
ヒルは ヒラ(平)の母動詞で、「凸凹をならす・調える・直す」 などの意です。
ですから 「和して調える女・調和する女」、つまり 「負けて和しの女」 の意で、
これが ワカヒルメ のもう一つの意味です。


■和の功 (にふのゐさおし)
「負けて和しの功」 という意です。

 

【概意】
ここにヒルコは鋳物師に印鑑を鋳させ、
あまねく世に教える御名も “ワカヒルメ”。
和の功 (負けて和しの功) の大いなるかな。

            

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