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徹底解説みかさふみ講座 第57回 [2023.6.9]

みかさふみ アワ歌の文〈神代和字〉 (5)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 あわうたのあや (その5)
 年内になす事の文 https://gejirin.com/mikasa10.html
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 あわみちの もとのこころお つらつらと おもんみてれは
 あめのりの ことはのはなは あかはなま
 あたかくのほり あなるひの わかはねるまつ

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 アワ道の 基の心を つらつらと 惟み照れば
 アメ宣の 言葉の端は アカ・ハナ・マ
 天高く昇り 上成る日の 別・跳ねる・全つ

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アワ道 (あわみち:和道・陽陰道)


■基の心 (もとのこころ)
「もとの本質・基本の要点・本来の意味」 などの意に解しています。


つらつら (▽連々)


■惟み照れば (おもんみてれば)
オモンミル(惟みる)テレバ(照れば) で、
「思いをめぐらせて鑑みれば」 というような意です。


■アメ宣 (あめのり:和宣・陽陰宣)
アワ歌」 の換言と思われます。


■アカ・ハナ・マ (▽別・跳・全)
アカは アカル(分る)の母動詞 “アク” の名詞形で、「別れ・離れ・湧・若・出発」 をいい、
ハナは ハヌ(跳ぬ)の名詞形で、「勢いづくさま・栄えるさま・活発・繁栄」 をいい、
マは マツ(▽全つ)の名詞形 “マタ” の短縮で、「到達・満ち・至り・完了」 をいいます。
つまりアマテルは、アカハナマを 「出発・繁栄・到達」 の意に解釈しているわけです。


■▽上成る日 (あなるひ)
アヌ(▽上ぬ)+ナル(成る)+ヒ(日・太陽) で、「長けて成る太陽・成長する太陽」 の意です。
これはつまり 「東に発し、南に栄え、西に成熟する太陽」 ということです。

 アヌ(▽上ぬ)の名詞形が アニ(兄)・アネ(姉) です。


■別・跳ねる・全つ (わかはねるまつ)
“アカ・ハナ・マ” を言い換えたものです。ちょっとだけわかりやすく。

 

【概意】
和の道の本来の要点をよくよく思って鑑みれば、
アメ宣の言葉の端は  アカ・ハナ・マ。
天高く昇り成長する太陽の  “別(出発)・跳ねる(繁栄)・全つ(到達)”。

 

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 たらちをの いきひにみうく そゑうたは
 ひのてのかせの なるいきす 
 こころさためて ふぬむえけ
 もとをのこえお わけしれは くはるおたきに かそえうた

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 タラチヲの イキヒニミウク 添え歌は
 ヒの手の風の 成るイキス
 心 定めて フ・ヌ・ム エケ
 基陽の声を 分け知れば 配るお猛に 加添え歌

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■タラチヲの (▽陽陰因陽の)
タラチヲは、「因む陽陰の ‘陽’」 が原義で、通常は 「父親」 を意味しますが、
ここでは “タラチヲのヲ(陽)の イキヒ(活霊)だよ” と、次の “イキヒ” が
「陽のエネルギー」 を意味するものであることを説明しています。


■イキヒニミウク (活霊に実受く)
「活霊 (陽のエネルギー) に生命の実体を受ける」 という意です。


■添え歌 (そゑうた)
“アカハマナ” に 「添える歌・継ぐ歌」 と言う意です。


■ヒの手の風 (ひのてのかぜ)
“ヒの手” とは イキヒの 「のオシテ(押手)」 をいい、
これはの母音を持ちますので、「陽&風」 のエネルギー(霊)です。
カゼ(風)は カス(活す)の名詞形で、「活を入れるもの・加勢するもの」 が原義です。

 ア () =空  イ () =風  ウ (△) =火  エ (己) =水  オ (□) =埴
 ←……………… 陽属性 …………………→   ←……… 陰属性 ………→

ですから イキヒ(活霊)の 「のオシテの活入れ」 という意になります。


■成るイキス (なるいきす)
イキス(▽活き素・▽息素)は 「活きの素」 の意で、「息・呼吸」 をいいます。
“成るイキス” は 「生命の素が成る・生命の素が宿る」 という意です。


■心定む (こころさだむ)
生命を得た後に、「心を宿す・心を据える」 の意と考えます。


■フヌムエケ
フ・ヌ・ム は 次に出てくる “基陽の声” の具体例です。
エケ は 「得け」 で、ケ は方言に残っている “そうじゃ・そうじゃけん” の
ケ ではないかと考えています。この場合は “得たっけ・得たけん” で、
「得たから・得たからには・得たなら」 などの意になるかと思います。


■基陽の声 (もとをのこえ)
「基つ陽の音を持つ子音」 の意で、ここでは 「ウの母音を持つ子音」、
すなわち をいいます。ウの母音は 「陽&火」 のエネルギーを持ちます。

 ア () =空  イ () =風  ウ (△) =火  エ (己) =水  オ (□) =埴
 ←……………… 陽属性 …………………→   ←……… 陰属性 ………→


■お猛 (おたき)
オツ(▽上つ)+タク(長く・焚く) の短縮 “オタク” の名詞形で、
「勢い・勢力・威勢」 などを意味します。オタケ(お猛)ともいいます。


■和添え歌・数え歌 (かぞえうた)
カス(和す)+ソフ(添ふ)+ウタ(歌) で、「付け足す歌・継ぎ足す歌」 の意です。
ですから基本的に “添え歌” “継ぎ歌” と同じです。

 

【概意】
タラチヲのヲ(陽)の イキニミウク(活霊に実受く) の添歌は、
のオシテの活入れにより イキス(生命の素)が人に宿る。
心も据えて、フ・ヌ・ム を得たなら、基つ陽の声を区別して使いこなせば、
火のエネルギーの配る勢いに添える歌。

 

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 へねめおこほの なそらえは
 ひとのへなみの あまのはら むむねはきよく もとろそよ
 おこりあかして かゑはにに たかえうまるる たとえうた

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 ヘネメオコホノ なぞらえは
 人の隔辺の 天の原 六宗は清く 
モトロソヨ
 驕り明かして 還えば新に 違え生まるる 喩え歌

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■ヘネメオコホノ (▽隔辺を乞の)
ヘネメは ヒナべ(鄙辺)ヘンピ(辺鄙) の変態で、「隔たる所・遠い所」 を意味します。
この場合は アメ(天)・アマノハラ(天の原)をいい、「神々の世界・死後の世界」 です。
コホは コフ(乞ふ)の名詞形で、「乞い願うさま・憧れるさま」 の意です。


■人の隔辺の天の原 (ひとのへなみのあまのはら)
ヘナミも 上記 ヘネメ の変態です。「隔たる所・遠い所」 を意味します。
アマノハラ(天の原)は タカマノハラ(高天の原)と同じです。
よって 地上に生きる 「人間にとっては遠く隔たる天上界」 という意です。


■六宗 (むむね)
六根(むつね)・魄の根(しゐのね)・根の六臓(ねのむくら) とも呼ばれ、
「人体の六つの根本・人体の基盤である六臓器・人の要の六臓器」 などの意味です。

具体的には 心臓、肝臓、腎臓、肺、膵臓、脾臓 です。
この六臓に元守が宿り、ミヤビを介して 中子(=心) とシンクロしています。
そのため六宗が健全なら、心(こころ)も健全だということになります。

 魄の根は ムラト(腎)・ココロバ(心) フクシ(肺)・ユフ(肝)
 ヨクラ(膵)・ヨコシ(脾)や 
根の六臓 渡るミヤビが ものを知る 〈ホ17-6〉


清くモトロソヨ・清く戻ろそよ (きよくもとろそよ)
上記のように、六宗が健全なら、心(こころ)も健全であるという法則から、
「六宗を健康にして心清き状態で天に戻ろうよ」 という意味です。

 ソヨの は スル(為る)の命令形です。ですから 「〜せよ・〜しろよ」 の意です。


■驕り明かす (おごりあかす)
「驕りを改める/直す」 という意です。
オゴリ(驕り・奢り・怒り)は アガリ(上がり)・イカリ(怒り) などの変態で、
「高ぶるさま・思い上がるさま・増長するさま」 をいいます。


■新に (にに)
「新たに・あらためて」 という意です。


■違え生まる (たがえうまる)
今風に言えば 「生まれ代わる」 ということです。

 

【概意】
ヘネメオコホノ(隔辺を乞の) なぞらえは、人にとっては遠く隔たる天の原、
<心と連動する> 六宗を清くしてモトロソヨ (戻ろうよ)。
驕りを改めて天に還えれば、また新たに人に生まれ代わるの喩え歌。


 わかりにくいと思いますが、これはアマテルの辞世の歌と同じことを言ってます。

 胸清く 身は垢付けど 差使が見て 天に告ぐれば
 差使の 八つの聞こえに 洗われて いのれもがもと
 裳裾の 民を撫でつつ 差使の 清きに尊は
 ありとこたえき                 〈ホ28アヤ〉

 

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 をてれせゑつる たたことの うたにみちひき
 うむくにの またくとほれは 
 すゆんちり ことほきすくに みおたもつ
 よよなからえの ゐわひうた

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 ヲテレセヱツル 直言の 歌に導き
 生む国の 全く徹れば
 スユ・ン・チリ 寿ぎ 直ぐに 身を保つ
 よよ永らえの 祝ひ歌

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■ヲテレセヱツル (▽皇照れせ悦つる)
「央/皇が照らして高まる」 の意です。

 ヲ(央/皇)は 「中心・中心にある者」 が原義で、この場合は 「二尊」 を指します。
 テレスは テラス(照らす)の変態で、「光/エネルギーを充てる」 の意です。
 これは具体的には 「民の言葉を直す」 ことをいいます。
 ヱツルは ヱツ(▽上つ・▽悦つ)の連体形で、「高まる・優れる・至る」 などの意です。


■直言の歌 (ただごとのうた)
「言葉を直す歌」 の意で、これは 「地のアワ歌」 をいいます。


■全く徹る (またくとほる)
「まったく行き着く・全うされる・成し遂げられる」 などの意です。


■スユ・ン・チリ (▽直ゆの散り)
スユは スユ(▽直ゆ)という動詞が そのままの形で名詞化したもので、“すやすや” の
スヤの変態です。「まっすぐなさま・曲り/逸脱のないさま・すこやかさ」 を意味します。
チリ(散り)は 「散り広がるさま・拡散するさま」 をいいます。
ですから 民の心の 「まっすぐに直るさまが国のいたるところに拡散すること」 を意味します。

 これも六宗 (身体の要) と心が連動していることによりますが、
 心の素直さは体の健やかさを保ち、永らえ(寿命)を延ばします。
 健(すこ)は スグ(直ぐ)の名詞形です。

 

【概意】
ヲテレセヱツル (皇照れせ悦つる)。
言葉を直す歌 (=地のアワ歌) に導いて生む国がまっとうされれば、
スユンチリ (直ゆの散り)。
長生きしてすこやかに身を保つ。いよいよ永らえの祝い歌。

 

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 しゐたらさやわ
 めはくにの つきとみやひお あみやわせ ゐみちあらはす

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 シヰタラサヤワ
 女は地の 付きとミヤビを 編み和せ 妹道 現す
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■シヰタラサヤワ (魄 足らさ 和)
「魄が足らす和・陰が補うやわし」 の意です。
シヰは 魂魄(たましゐ) の “魄” で、「陰の霊・陰のエネルギー」 をいいます。
このヤワ(和・柔)は “負けて和し” のことをいいます。


■地の付きとミヤビ (くにのつきとみやび)
クニ(地)は ここでは 「陰」 の換言です。
“付きとミヤビ” は “負けて和し” を噛み砕いた表現で、「随従と協調」 を意味します。


編み和す (みやす)
「合せて和す・和合する・融合する」 などの意です。
“編む” は能動的、“和す” は受動的な行動です。


■妹道 (ゐみち)
ヰは イモ(妹)の略で、「陰の道・女の道」 を意味します。

 

【概意】
シヰタラサヤワ (魄 足らさ 和)。
女は、地(=陰)の随従性と協調性を編み和せて、妹道を現す。

 

 以上がアマテルによる 「地のアワ歌」 の解釈でしたが、その中に @ 添え歌 A 数え歌 
 B なぞらえ C 喩え歌 D 直言(ただごと) E 祝い歌 という言葉が出てきました。
 一方、古今和歌集の序文で、歌の6分類について説かれているのですが、まったく同じ
 なのです、その順番まで。しかも 6分類の例として挙げてる歌は、フトマニに載る歌と
 クリソツなのです。どういうことなんでしょうね?

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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