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一から学ぶ みかさふみ講座 第51回 [2023.4.29]

みかさふみ 年内になす事の文 (2)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 としうちになすことのあや (その2)
 年内になす事の文 https://gejirin.com/mikasa09.html
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 たはきそらてる みつをかみ きさらきなかに みつをきて
 あおひとくさお うるおせは いとゆふのとか
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 ‘タ’ は東空照る 三陽神 二月半に 三陽来て
 青人草を 潤せば “いとゆふ” 宣か
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■三陽神 (みつをかみ)
「3陽のエネルギーを招く神」 です。
このエネルギーの源泉はアメノミヲヤの息です。

 元元明の 陽陰恵み  届く柱は 透き通る 中の管より 運ぶ 〈ミ6-7〉

  支配期間 (陰暦) 神の陰陽属性 招くエネルギー 地上の気象
の神 11月半〜12月末 3陽1陰 1陽 3陰1陽
の神 1月初〜2月半 2陽2陰 2陽 2陰2陽
の神 2月半〜3月末 1陽3陰 3陽 1陰3陽
の神 4月初〜5月半 0陽4陰 4陽 0陰4陽
の神 5月半〜6月末 3陰1陽 1陰 3陽1陰
の神 7月初〜8月半 2陰2陽 2陰 2陽2陰
の神 8月半〜9月末 1陰3陽 3陰 1陽3陰
の神 10月初〜11月半 0陰4陽 4陰 0陽4陰


二月・如月衣更着 (きさらぎ)

いという・いとゆふ (▽糸結・糸遊)

宣 (のと)

 

【概意】
タの神は東の空に照る三陽神。
2月半ばに3陽が来て青人草を潤すので、“糸結” と言うか。



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 やよゐきて ももさきめをの ひなまつり くさもちさけに
 ひくゑもせ やよゑなかすえ かけらうや
 めつたりおさむ たもとかめ
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 三月来て 桃咲き 女男の 雛まつり 草餅・酒に
 引く妹背 三月半・末 かげらうや
 三つ足り収む タ元神
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三月・弥生 (やよい・やよゐ)

桃・百 (もも)


■女男の雛まつり (めをのひなまつり)
メヲノヒナ(女男の雛) は 「若い男女」 を意味し、
マツリは 「纏ること・結び付けること・まとめ」 の意と、
そのことを 「祭ること・心に寄せること・祝うこと」 の意が重なります。
ですから 「若い男女の結び付きの祝い」 という意です。

 ★雛纏り/雛祭 (ひなまつり)
 元来は、男女別性に分れた最初の人間である、
 モモヒナキとモモヒナミの纏り (和合・結婚) を意味しました。
 モモヒナキ・モモヒナミは、ウビチニとスヒヂの幼名です。
 後には、陽陰(男女)に分離した人間が、その分離のおかげで
 異性との和合が可能となり、またその和合により子が得られる
 喜びを祝うものとなります。つまり 「陽陰和る道の祝い」 です。

 男女の分離以降は、ヒナ(雛) は 結婚して (陰陽和合して)、
 はじめて ヒト(人・仁) となると考えられていたようです。


草餅 (くさもち) ■酒 (みき)


■引く妹背 (ひくゑもせ)
ヒク(引く・惹く)は 「引き寄せる・近寄らせる」 の意、
ヱモセは ヰモセ(妹背)の母音交替と思われます。

 ★妹背 (いもせ・ゐもせ)
 イモセは “イモヲセ” の短縮で、「陰陽・女男」 の意です。
 イモ(妹)が 「女」、ヲセ・セ(背)は 「男」 を表します。
 さらに “イセ” とも短縮されます。


かげらう・かげろふ


■三つ足り収む (みつたりおさむ)

タの神の形 (すなわちタのヲシテの形) を口述したものです。
“三つ” は 三陽(みつを) をいいます。
“足り収む” は 「足して収まる・和して結ぶ」 という意です。


【概意】
3月が来て桃が咲けば女男の雛まつり。
草餅と酒に近寄せる妹と背。
3月の半・末には陽炎や。
3つの陽が和して結ぶタ元神。



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 めはつねにすむ みつのかみ うつきはうめの をおまねく
 さなゑあおみて なつおつく なかわたぬきて
 つきすえは あおひかつらの めをまつり
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 ‘メ’ は西北に住む 水の神 四月は大陰の 陽を招く
 早苗青みて 夏を告ぐ 中綿抜きて
 月末は “葵桂の 夫婦祭”
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四月・卯月 (うつき)


大陰の陽を招く (うめのをおまねく)
ウ(大)+メ(陰) は “四陰” の異表現で、メの神の陰陽属性である 「0陽4陰」 を
表します。すなわち 「陰100%」 を意味し、そのゆえに “四陽” を引き寄せます。

  支配期間 (陰暦) 神の陰陽属性 招くエネルギー 地上の気象
の神 11月半〜12月末 3陽1陰 1陽 3陰1陽
の神 1月初〜2月半 2陽2陰 2陽 2陰2陽
の神 2月半〜3月末 1陽3陰 3陽 1陰3陽
の神 4月初〜5月半 0陽4陰 4陽 0陰4陽
の神 5月半〜6月末 3陰1陽 1陰 3陽1陰
の神 7月初〜8月半 2陰2陽 2陰 2陽2陰
の神 8月半〜9月末 1陰3陽 3陰 1陽3陰
の神 10月初〜11月半 0陰4陽 4陰 0陽4陰


中綿抜く (なかわたぬく)

葵桂の夫婦祭 (あおひかつらのめをまつり)

 

【概意】
‘メ’ は西北に住む水の神。四月は大陰が4陽を招く。
早苗は青みて夏を告げれば、衣の中綿を抜き、
月末は “葵桂の夫婦祭”。



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 ふたはにのほる さつゆつき かつみのつゆや
 のりくらへ ゐゐのつつたち めをのほき
 ゐわたちまきや めもとかみ
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 双葉に上る “さつゆ月” かつみの露や
 乗り競べ 五五のツツタチ 女男の祝
 ヰワタ・茅巻や メ元神
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■双葉に上る (ふたばにのぼる)
フタバアオイの 「双葉の上に露(水滴)を結ぶ」 という意だと思います。[イメージ画像]


■さつゆ月 (さつゆつき:▽颯露月・爽露月)
サツキ(五月・皐月)の異称だと思います。
サツユは サツ(颯)+ツユ(露) で、「いきいきして爽やかな露」 を意味し、
フタバアオイの 「双葉に上る露」 をいうと考えます。


■かつみの露 (かつみのつゆ:活見の露)
カツミは “活見” で、「活を見る・いきおいを見る・栄えを見る」 の意と考えます。
サツユ(▽颯露・▽爽露)の意味の説明です。


■乗り競べ (のりくらべ)
後世にいう 「競べ馬」、今にいう 「競馬」 です。
サ月サの頃 (=端午・陰暦の5月5日頃) に行われました。[現代の皐月賞ですね]
今でも上賀茂神社で開催される 賀茂の競べ馬 が有名です。


五五のツツタチ (ゐゐのつつたち)


■女男の祝 (めをのほぎ)
サ月サの頃 (=端午・陰暦の5月5日頃) の祝いは、
これもやはり 「男女の和合を祝うもの」 でした。
これはオシホミミタクハタチチ姫が、この時期に結婚したことに由来します。

 颯颯の 声と妹背の ささ祝ふ その基は
 アマガツを ハヤアキツ姫の 造り初め    〈ホ12-1〉


ヰワタ/ヰハタ (五腑/斎端)


茅巻・粽 (ちまき)
チマキは “茅巻き” の意で、「茅で巻いたもの」 をいいます。
茅(ち)は 草全般をいいますが、これは 「繁・茂・幸」 が原義です。
ですから茅巻きは、繁栄の巻き込みを表すモノザネです。


■メ元神 (めもとかみ)

「メの天元神」 の短縮です。
この神の形 (すなわちメのヲシテの形) についての
記述は無いようですが、もしやヰワタ帯と茅巻を
表しているというのでしょうか?

 

【概意】
双葉に上るさつゆの月。活見の露や。
乗り競べ、五尺五寸のツツタチ、女男和合の祝、
ヰワタ、茅巻やメ元神。



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 とはさにゐます めやわかみ よつのひかりの はにとほり
 ひのめちかきる さつきなか ひとめふしおき さみたるる
 よろのあおはの かせかほる みやにうくれは なからゑり
 めははにみてと うゑあつく
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 ‘ト’ は南に坐す 陰和神 四つの光の 地に徹り
 冷の充ち限る 五月半 一陰 伏し置き 五月雨るる
 万の青葉の 風薫る 宮に受くれば 永らえり
 陰は地に充てど 上熱く
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■陰和神 (めやわかみ)
「1陰を和す神」 という意味です。


■四つの光 (よつのひかり)
“光” は 「陽」 の換言で、「4陽」 を意味します。
メの神により 地上の気象が 「0陰4陽となっていること」 をいいます。

 ヲシテ原文は “みつのひかり” と記していますが、
 理屈に合わないため、誤写と判断して修正しています。


■冷の充ち (ひのめち)
「月/太陰のエネルギーの充填度」 をいい、“日の充ち” に対するものです。
‘ひ’ は陰の属性を表すもので、ここでは例として ‘冷’ の漢字を宛てていますが、
卑・鄙・氷・▽冷・▽退・▽低 などでも同じです。
‘充ち’ は母音交替により  ‘めち’ になっています。


五月半 (さつきなか)


■伏し置く (ふしおく)
フス(伏す・臥す)は 「下に向く/向ける・低まる/低める」 が原義で、
この場合は 「地に置く」 という意になります。


五月雨るる (さみだるる)


■青葉の風薫る (あおばのかぜかほる)
後にはこれを 「薫風」 と呼んでいます。

 くん‐ぷう【薫風】   (広辞苑)
 @南風。温和な風。かんばしい風。南薫。
 A青葉の香りを吹きおくる初夏の風。青嵐(あおあらし)。薫る風。
  〈[季]夏〉。「―の季節」

 
宮 (みや)
この場合は 「神霊を入れる容器」 の意で、「人の殻・肉体」 をいいます。

 

【概意】
トの神は南に坐す陰和神。
4陽が地に徹り、月のエネルギーの充ちが抑えられる5月半ばに、
1陰を伏し置けば五月雨るる。
万の青葉の風が薫り、人の体に受ければ永らえるなり。
1陰は地に充ちても地上は熱い。



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 みなつきすえは いよかわき ももにちまつる
 ちのわぬけ ゐそらおはらふ みなつきや
 かたちはくにの なかはしら まてにととなふ みなつきや
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 六月末は いよ乾き 桃に幸纏る
 茅の輪抜け ヰソラを祓ふ 六月や
 形は国の 中柱 左右に調ふ ト元神
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六月・水無月 (みなつき)


■桃に幸纏る (ももにちまつる)
「桃を食べて体力UPして夏バテに対処する」 という意で、“桃纏り” と呼ばれます。

 チマツルは チム(▽幸む)+マツル(纏る) で、
 「高めて手当する・元気をつけてケアする」 などの意。
 チムは チハフ(幸ふ)の母動詞 “チフ” の変態で、
 「上がる/上げる・UPする/させる」 が原義です。


茅の輪 (ちのわ)


■ヰソラ・イソラ
イス/ヰス(▽逸す)+ソル(反る) の名詞形で、「逸れて外れるさま・汚穢・異常」 が
原義です。これもやはり 「邪霊・悪霊」 を意味する言葉です。


■国の中柱 左右に調ふ (くにのなかはしらまてにととなふ)

トの神の形 (すなわちトのヲシテの形) を口述したものです。
国 ‘ロ’ の 中柱 (中軸・都・皇) ‘h’ が、天から下される
左右(日月/陽陰)のエネルギー ‘↘↙’ に調うさまを表します。

 

【概意】
六月末はいよいよ乾けば、桃に幸纏る。
茅の輪をくぐり抜けて邪霊を祓う六月や。
形は国の中柱が左右に調うト元神。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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