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徹底解説みかさふみ講座 第28回 [2022.10.4]

みかさふみ 春宮の文 (1)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 はるみやのあや (その1)
 春宮の文 https://gejirin.com/mikasa05.html
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 はるみやのあや
 これきみは こゑやすくにの みやにます
 これはそのかみ とのみこと もはかりをさむ みおほらに
 かみもとあけに かえますお みをやことのり ほしとなす
 あめにかかりて このひとつ かれにとしたの あめのみや
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 春宮の文
 これ君は 還和す国の 宮に坐す
 これはその上 トの尊 百ハカリ治む 身を洞に
 神 元明に 還えますを 御祖 言宣り 星となす
 天に篝りて 九の一つ 故にトシタの 和の宮
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■春宮 (はるみや)
「代嗣御子・皇太子」 の別称で、現在も 春の宮(はるのみや)
春宮(しゅんきゅう)
東宮/春宮(とうぐう)東宮/春宮(みこのみや)
などと呼ばれます。

 ハル(春)は ハル(張る)の名詞形で、ハル(張る)は ハユ(生ゆ・映ゆ)の変態です。


■これ君は (これきみは)
“これ” は語調 (五七調) を調えるためのもので、特に意味はなく、
「さて・ところで」 などと同じように考えていいと思います。
“それ” “かれ” なども用いられます。

・それワカは ワカ姫の尊 捨てられて 〈ホ1-1〉
・かれ昔 タカミムスビの ヤソキネと 〈ミ4-1〉

“君” は アマテル (斎名ワカヒト) を指します。


■還和す国の宮 (こゑやすくにのみや)
還=日の出=日高み ですから、これは
日高みの和す国の宮」 を言い換えたものです。

 御子は太陽の 位 乗る 日の山の名も “太山” ぞ
 故  “太山下 日高みの 和す国の宮”   〈ミ4-5〉


■その上 (そのかみ)
このカミ(上)は 「上流・過去・前・先・もと」 などを意味します。
ですから 「その前・そのもと・その源」 などの意です。


■トの尊 (とのみこと)
太古の昔、天元神トホカミヱヒタメの ‘ト’ の神が 地上に降臨した時の名です。
その神霊は “トの神” と呼びますが、人として地上にある時は “トの尊” と呼びます。


■百ハカリ (もはかり)
「1千万年」 を表します。
ハカリ(量・秤)100,000 を表す数詞で、
“百ハカリ” は 100×100000=10,000,000 です。


■身を洞に (みおほらに)
古代の国君は帰天の時を悟ると、あらかじめその身 (体・骸) を納める
洞を掘っておき、多くの場合は生きながらその洞に入って世を辞みました。
この洞を特に “辞洞(いなほら)” といいます。


■神 (かみ)
「トの尊の神霊(みたま)」 をいいます。つまり 「トの神」 です。


■元明 (もとあけ)
モツ(▽戻つ)+アク(明く・▽上く) の名詞形で、
両語とも 「もどる・還る・回帰する・帰還する」 などが原義です。
ですからモトアケは 「もとの所・還る所・あがりの所」 が原義で、
「天界・神界・あの世」 を意味します。


■御祖・上祖 (みをや)
アメノミヲヤ(陽陰の上祖) をいいます。

 ミヲヤの ‘ミ’ は カミ(上)の略形で、「上流・過去・前・先・もと」 を
 意味しますので、ミヲヤは今風に言えば 「先祖(せんぞ)」 です。
 ですからヲヤ(親・祖・▽老)の尊敬語では本来ありません。


■篝る (かがる)
「かがやかす」 と同義です。

 カガリ(篝)という言葉は辞書に載るのですが、どういうわけか
 動詞形のカガル(篝る)は辞書にはないのです。不思議です。


■九の一つ (このひとつ)
コ(九)は コヨノホシ(九曜の星)・コホシ(九星)をいいます。


■トシタの陽陰の宮 (としたのあめのみや)
トシタアメミヤと同じです。

 

【概意】
春宮の文
さて君は “還和す国の宮” に坐す。この宮はそのもとはトの尊。
1000万年国を治めた後、その身を洞に隠し、神霊が元明に還りませば、
アメノミヲヤは御言宣して星となす。天に篝りて九星の一つ。
それゆえ “トシタの陽陰の宮” と呼ばれた。

 

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 なかくをさめて みやつより はやきしとへは あまひかみ
 いそきまなゐに みゆきなる ときにたまきね あひかたり
 むかしみちのく つくさねは ここにまつとて さつけまし
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 永く治めて ミヤツより 早雉飛べば 太陽神
 急ぎマナヰに 御幸なる 時にタマキネ 会ひ語り
 「昔 道奥 尽さねば ここに全つ」 とて 授けまし
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■永く治めて (ながくをさめて)
ここは ホツマの同文部分では、“8万年経て22鈴505枝初に” と
記されています。

 八万年経て 二十二鈴 五百五枝初に ミヤツより
 早雉飛べば 太陽神 急ぎマナヰに 御幸なる  〈ホ6-3〉

アマテルの即位は、21鈴126枝58穂3月1日 (87歳) ですから、
8万2622年が経過しています。

 二十一鈴 百二十六枝 年サナト 三月一日
 陽陰御子は ヒタカミよりぞ 移ります     〈ミ4-4〉


■ミヤツ (宮津)
天の橋立で有名な、今の京都府宮津市です。
サホコチタル国は ここを都としていました。
マナヰ、ヨサ、カサヌヒ とも呼ばれます。

ミカサには記述がないのですが、アマテルは即位後、国家の統治改善のため
人事改変を行っています。弟ツキヨミを四国に派遣し、ヒタカミはヤソキネに
委ね、タカキネを自分の補佐としてトシタ宮に置き、トヨケ(斎名タマキネ)を
サホコチタル国に派遣しています。ですから “ミヤツより早雉が飛ぶ” とは、
「タマキネからの急使が来る」 ということです。

 イヨの二名の 治まらで ツキヨミ遣れば 気吹上げ 突の宮に治す
 チタル国 マスヒト・コクミ 怠れば タマキネ付けて
 ヒタカミは ヤソキネに治す タカキネを 君の輔と
 タマキネは 行きてサホコの 国を治す ミヤツの宮ぞ  〈ホ6-2〉
 

 クニトコタチ─クニサツチ┐
   (I)     (II)  │
 ┌───────────┘
 ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル
 │ (III)    (IV) │  (V)   (VI)    ┌クラキネ
 │          │           ├ココリ姫
 │          └アメヨロツ┬アワナキ─┴イサナキ┐
 │          (養子)↑  └サクナキ   (VII) ├ヒルコ
 │             └─────┐       ├アマテル
 ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ    ├ツキヨミ
 │      (初代)  │               ├ソサノヲ─ヲオナムチ
 └ウケモチ       └タカミムスビ─トヨケ┬イサナミ┘
               (2〜4代)   (5代)├ヤソキネタカキネ┬オモヒカネ
                        │ (6代)   (7代) ├ヨロマロ
                        ├カンサヒ     ├フトタマ
                        └ツハモノヌシ   ├タクハタチチ姫
                                  └ミホツ姫


■早雉 (はやきじ)
「伝書使・伝令使」 のことを “キジ” または “キギス” といいます。
早キジは 「急ぎの伝令使・急伝使」 です。

 鳥のキジに喩えて、「キジ飛ぶ」 とか 「キジを飛ばす」 とか言います。
 しかしキジは走るのは得意ですが、飛ぶのは実は苦手です。
 それをむりやり飛ばすということですから、よほどの緊急事態です。


■太陽神 (あまひかみ)
アマヒ(▽太陽)の位に就いた アマテル(斎名ワカヒト) を指します。
“日の神” ともいい、数多あるアマテルの別称の一つです。

 御子は太陽の 位 乗る  〈ミ4-5〉


■マナヰ
ミヤツ(宮津)の別名です。
“真名井” と宛てられていますが、井戸とは関係ありません。


■御幸・行幸・御行 (みゆき)
「巡って恵むこと」 が原義で、
「国君、またはそれに準ずる貴人の外出」 を意味します。

 ミル(回る)+ユク(往く) の短縮の名詞形で、両語とも 「回る/回す・
 巡る/巡らす」 を原義とし、ここでは 「巡って巡らす・巡って恵む」
 という意です。ですから メグル(▽恵る)コヱ(還) の同義語です。
 そのためミユキは “御幸・行幸” と宛てられ、また “巡幸” とも呼ばれます。
 またミユキは多くの場合、“なる” を述語とします。


■タマキネ
アマテルの祖父トヨケの斎名です。

 ホツマとミカサ自体が “トヨケ” と表していることが多いため、
 本講座でもトヨケと記していますが、トヨケは “トヨウケ” の略です。
 トヨ(▽響)+ウケ(受け) で、「中央政府を受け継いだこと」 を表します。


■昔道奥尽さねば (むかしみちのくつくさねば)
「昔 道の奥義を教え尽してなかったので」 という意です。
“昔” とは、アマテルがタマキネからアメナル道を学ぶため、
ヒタカミの都に滞在していた頃をいいます。


■▽全つ (まつ)
ミツ(満つ)の変態で、「満ちる・至る・全うする・完成する」 などの意です。

 

【概意】
永く治めた後、ミヤツより早雉が飛べば、
太陽神は急ぎマナヰに御幸なさる。時にタマキネは会い語り、
「昔 道の奥義を教え尽さねば、ここに全うする」 と、授けまして、

 

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 もろかんたちも しかときけ きみはいくよの みをやなり
 これとこたちの ことのりと ほらおとさして かくれます
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 「諸守たちも 確と聞け 君は幾代の 上祖なり
 これトコタチの 言宣」 と 洞を閉ざして 隠れます
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■幾代の上祖 (いくよのみをや)
「後に続く幾代の皇統の先祖」 という意味です。日本はクニトコタチに始まる皇統を、
直系の子孫が代々受け継いで来ましたが、オモタル&カシコネの代でそれが途絶え、
世は乱れます。その後をトヨケと二尊が継ぎ、暫定的に国家を治めてきましたが、
ここに日月の神霊の顕現であるアマテルが国君となります。
トヨケはクニトコタチの皇統に代わる、新たな皇統の誕生をここで告げるわけです。


■トコタチの言宣 (とこたちのことのり)
トコタチは天界に還ったクニトコタチの神霊をいい、つまりアメトコタチです。
ホ13アヤで語られていますが、クニトコタチはトヨケの過去世の一つでした。

 昔 トヨケの 御言宣 「我 三世を知る 初の世は クニトコタチぞ
 天に逝き 回る元明の 守 定め」          〈ホ13-5〉

“言宣” というのは、トヨケがトコタチから霊的なメッセージを受けたということ
でしょう。前皇統の祖であるトコタチが、次の皇統の祖を宣言するわけですから、
これに勝る公式認定はありません。


■洞 (ほら)
古代の国君は帰天の時を悟ると、あらかじめその身 (体・骸) を納める
洞を掘っておき、多くの場合は生きながらその洞に入って世を辞みました。
この洞を特に “辞洞(いなほら)” といいます。

 

【概意】
「諸守たちも確と聞け。
アマテル君はこの後に続く幾代の皇統の先祖となる。
これはトコタチの言宣である」 と、洞を閉ざして隠れます。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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