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一から学ぶ みかさふみ講座 第18回 [2022.6.24]

みかさふみ 一女三男の文 (1)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 ひめみをのあや (その1)
 一女三男の文 https://gejirin.com/mikasa03.html
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 ひめみをのあや
 ふもとやに のふるは
 むかし あめきよく たかまにまつり はかるのち
 つわものぬしか ふたかみの ひひめみをうむ とのゐつつ
 とえはかなさき こたうるに
―――――――――――――――――――――――――――――
 一女三男の文
 麓社に 宣ぶるは
 むかし 陽陰清く タカマに政 諮る後
 ツワモノヌシが 「二尊の 一姫三男生む 殿五つ」
 問えばカナサキ 答うるに
―――――――――――――――――――――――――――――
 
ここは五七調が少々いびつなため、言葉の区切りを調整しています

■麓社 (ふもとや・ふもとやしろ)
「ミカサ山の麓の社」 の意で、“ミカサ社” とも呼ばれます。
もともとはカスガ県を治める政庁社で、この社の主、つまり
カスガ県の領主が アマノコヤネ(=カスガ尊) です。 
この社の跡が現在の春日大社です。

 春日大社 (かすがたいしゃ)
 奈良県奈良市春日野町160。
 現在の祭神:春日神 (武甕槌命、経津主命、天児屋根命、比売神の総称)

 ★ミカサ山 (みかさやま:▽神交山)
 二尊がアマテルの神霊を孕んだハラミ山は、“日の山” とも呼ばれました。
 後にアマノコヤネが、ヤマト川を掘った土を “飛日の丘”(とぶひのおか)に
 積み上げ、日の山に似せて造った山が ミカサ山 です。

 アマノコヤネも カスガ国 飛日の丘に
 ヤマト川 掘りて造れる 
ミカサ山    〈ホ24-9〉

 
■宣ぶる (のぶる)
ノブ(述ぶ陳ぶ・▽宣ぶ) の連体形で、現代語では ノベル です。
“麓社で宣べる” というからには、宣べているのはアマノコヤネです。


■陽陰清く (あめきよく)
「陽と陰が健やかに (調和する)」 という意で、ホツマでの以下の表現と同じです。

 ホ14-1 天地も内外も清に通る時 (あめつちもうちともすがにとほるとき)
 ホ15-1 天地も和けき時 (あめつちものどけきとき)
 ホ17-1 天地も内外も清く和る時 (あめつちもうちともきよくなるとき)
 ホ18-1 陽陰晴れて和かに (あめはれてのどかに)
 ホ23-1 天地も内外も清く通る時 (あめつちもうちともきよくとほるとき)

古代日本においては 「陽と陰の不調和」 が、あらゆる汚穢・災厄の発生の根源と
考えられていますが、「その不調和がどこにも無い」 ということです。
そしてそれは 「日・月(太陽・太陰)の神霊が融和して顕現する神のおかげである」 と、
賛美と感謝をアマテル神に捧げる前書きなのです。こうした賛美感謝の前書きは、
ホツマツタエにおいては アマテルの重要な教えが、アマテル自身によって語られる
アヤの冒頭に置かれています。したがってこの場合も、“タカマに政を諮る” その
会議場には、アマテルも臨席していたことが推測できます。

 
■タカマ (高天)
タカミ(高み)の変態で 「高み・頂き・中心」 などが原義です。
ここでは 「中央政府・都」 を表し、特に君と重臣たちの会議場をいいます。
今で言えば 「国会議事堂」 で、この時代では “イサワ宮の橘宮(かぐみや)” が
それにあたります。

南の殿に 橘 植えて 橘の宮  東に桜植え 大内宮        〈ホ6-5〉
・清汚を立つ時 サホコより ツハモノヌシが 
橘宮に 雉子飛ばせて〈ホ7-1〉

 
■政諮る (まつりはかる)
「国家の政治について相談する」 という意です。

 ★政 (まつり)
 マツリ(纏り)が原義で、「まとめ・治め・手当て・処置」などを表します。
 ここでは 「国や民の治め・政治」 を言うため、“政” と宛てています。

 ★諮る/議る (はかる)
 ハカルには「計る・測る・量る・図る・謀る・諮る・議る」などの漢字が宛てられ、
 それぞれの意味がありますが、いずれも原義は 「合わす・比べる」 です。
 この場合は 人・心・会議 などに 「合わす・かける・ぶつける」 などの意となります。


■ツワモノヌシ・ツハモノヌシ
トヨケ(斎名タマキネ)の子で、イザナミの弟です。
フツヌシ・ミカツチと共に、初めて “霊返し” を実践した功により、アマテルより
“あなしうを尊” の尊名を授けられ、大和国磯城県の知行者に任じられています。
その神霊は 兵主神(ひょうずのかみ) として各地の兵主神社に祭られます。

 
 クニトコタチ─クニサツチ┐
   (I)     (II)  │
 ┌───────────┘
 ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル
 │ (III)    (IV) │  (V)   (VI)    ┌クラキネ
 │          │           ├ココリ姫
 │          └アメヨロツ┬アワナキ─┴イサナキ┐
 │          (養子)↑  └サクナキ   (VII) ├ヒルコ
 │             └─────┐       ├アマテル
 ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ    ├ツキヨミ
 │      (初代)  │               ├ソサノヲ
 └ウケモチ       └タカミムスビ─トヨケ┬イサナミ┘
               (2〜4代)   (5代)├ヤソキネ
                        ├カンサヒ
                        └ツハモノヌシ

 
 ツハモノヌシが 霊還し 清き真の はな振りて 道に阿も無し
 シギ県 阿無し結尊 ヲシテ添え 据えて写し日 代治人ぞ 〈ホ8-11〉

 穴師坐兵主神社 (あなしにいますひょうずじんじゃ)
 奈良県桜井市穴師1065。 
 現在の祭神:兵主神、大兵主神、若御魂神

 
■一姫三男 (ひひめみを)
二尊(イザナギ&イザナミ)が生んだ子の内訳です。

 アワナギ─イザナギ┐
          ├1.ワカ姫  (斎名ヒルコ)
          ├2.アマテル (斎名ワカヒト)
          ├3.ツキヨミ (斎名モチキネ)
          ├4.ソサノヲ (斎名ハナキネ)
 トヨケ──イザナミ┘

 
■殿 (との)
トノ(殿)は ツノ(角)の変態で、「突出するさま・高く立つさま」 を原義とし、
「御上(おかみ)の政庁舎」 や 「高貴な人の建物」 などをいいます。
この場合は 「御上が子を生む建物・御上の産殿(うぶどの)」 です。

 
■カナサキ
捨てられたヒルコを拾って育てた人物で、二尊の重鎮の臣です。
イサナキの命により ツキスミ(九州) の統治の元締となっており、
そのため別名が スミヨシ (ツキスミ寄せる者・九州を束ねる者の意) です。
古事記には “宇都志日金折命” (うつしひかなさく) と記されています。
その先祖は船を発明したシマツヒコで、代々船に関わってきた一族です。

 シマツヒコ─オキツヒコ─シガ─?─?─?─カナサキ

 

【概意】
一女三男の文
麓社にてアマノコヤネが宣べるには ...
昔、陽陰が清く調和する時に (アマテル神の御臨席を賜る時に)、
タカマで政を諮った後、ツワモノヌシが、
「二尊は一姫と三男を生んだが、なぜ産殿は五つある?」 と問えば、
カナサキが答えて、

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 みうえふたかみ つくはにて みめくりとえは
 めのみには なりなりたらぬ めもとあり
 をかみのなりて あまるもの あわせてみこお うまんとて
 みとのまくはひ なしてこお はらみてうめる なはひるこ
―――――――――――――――――――――――――――――
 御上二尊 筑波にて 身周り問えば
 「女の身には 生り成り足らぬ 陰没あり
 男尊の成りて 余るもの 合せて御子を 生まん」 とて
 みとの交ぐ合ひ なして子を 孕みて生める 名はヒルコ
―――――――――――――――――――――――――――――

■御上二尊 (みうえふたかみ)
アマテルに皇位を譲った後の、イザナギ&イザナミの二尊に対する敬称で、
今風に言えば 「太上天皇・太上皇后」 です。“上(あめ)二尊” とも呼ばれます。
このストーリー上の時点では、まだアマテルは誕生していないわけですが、
この場合は “今は御上(みうえ)となられている二尊” という意味です。


■筑波 (つくば)
筑波山麓のイサ川端のイサ宮で二尊は結ばれて、夫婦一対の国君となり、
その名もイサナキ&イサナミとします。“イサ” の意味は 「結」 です。
ツクバは ツクハナル(付く離る)という意味なのですが、これについては
神代和字” のところで語るつもりです。

・方壺の 西南の筑波の イサ宮に
 頷き編みて イサナキと イサナミとなる       〈ホ2-4〉
・五代タマキネの イサコ姫 七代の尊の タカヒトと
 タカヒの西南の ツクバ山 イサ川端なる 宮に居て
 頷き編みて 木実合ひて 名もイサナキと イサナミの 〈ホ28-1〉


■身周り (みめぐり)
「身体まわりのようす」 をいいます。


陰没 (めもと)
メ(陰・女)+モト(▽没) で、モトは モツ(没)・ボツ(没)の変態です。
「陰の凹み・女陰」 をいい、“みほと” とも呼ばれます。
なぜ女は凹んでいるのかと問われれば、「天地創造の時に軽い陽は上昇して、
重い陰は下降したからだ」 と、アマテルは答えるんじゃないかと思います。笑


■御子 (みこ)
ミ(御)は カミ(上・▽尊・神)の略形です。
ですから 「上位の子・尊い子・神の子」 などを意味しますが、
ここでは特に 「皇位を継承する男子・代嗣御子」 をいいます。

 さきに中央政府の皇統が代嗣不在で断絶し、国家が大混乱に陥った痛みから、
 二尊は代嗣御子が生まれることの重要性を骨身に染みて感じています。

 
■みとの交ぐ合ひ (みとのまぐはひ)
「陽陰/男女の交合」 をいいます。ミトは ミツ(見つ)の名詞形で、
「合わせ」 が原義ですが、この場合は 「2つ合せて1つとなるもの」をいい、
「対・陽陰・男女・凹凸」 などを表します。
マグハヒは マグ(▽交ぐ)+ハフ(▽合ふ) の名詞形で、
「まじえ合すこと」 をいいます。

 ま‐ぐわい目合‥グハヒ  (広辞苑)
 1.目を見合せて愛情を知らせること。めくばせ。
 2.男女の交接。性交。

 
■ヒルコ
二尊の第1子の姫で、ヒルコは斎名(実名・本名)です。
二尊の新婚当時の宮である、筑波のイサ宮で生れています。
記紀では “蛭子” と記されますが、昼に生れたゆえの名ですから、
もし漢字を宛てるとすれば “昼子” が正解でしょう。
ワカ姫、ワカヒルメ、シタテル姫、タカテル姫、歳徳神、
年の恵みの大御守、御歳神、ニフの守 などの別名があります。

 アワナギ─イザナギ┐
          ├1.ワカ姫  (斎名ヒルコ)
          ├2.アマテル (斎名ワカヒト) 
          ├3.ツキヨミ (斎名モチキネ)
          ├4.ソサノヲ (斎名ハナキネ)
 トヨケ──イザナミ┘

 

【概意】
御上二尊が筑波にて身の周りを問えば、
「女の身には 生り成り足らぬ陰没があれば、
男尊の成りて余るものを合せて 御子を生みましょう」 とて、
陽陰の交合をなして、孕んで生む子の名はヒルコ。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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