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徹底解説みかさふみ講座 第33回 [2022.11.23]

みかさふみ タカマ成る文 (2)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 たかまなるあや (その2)
 タカマ成る文 https://gejirin.com/mikasa06.html
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 みつにあふらの うかむさま めくるうつほの そのなかに
 あめつちととく みはしらお めくりわかるる あわうひの
 あわはきよくて むねをかみ うひはにこりて みなめかみ
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 水に油の 浮かむ様 回る虚空の その中に
 天地届く 実柱を 回り分かるる 泡・泥の
 泡は清くて 宗陽神 泥は濁りて 鄙陰神
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■水に油の浮かむ様 (みづにあぶらのうかむさま)
「重い水の上に軽い油が浮かぶさま」 ということで、これは天元神には
初めから(重い)と(軽い)の属性が潜在していたことを意味します。

それに関して ミカサの『嘗事の文』や『年内になす事の文』には
次のような記述があります。

 ・ヱの嘗は北に 十一月の中 一陽を招けば 〈ミ7〉
 ・ヱは北の三つの 
一陽神         〈ミ9〉
 ・タの嘗は 
三陽の天を受け        〈ミ7〉
 ・ヒは西南 風の 
二陽神         〈ミ9〉

上に言う 一陽、二陽、三陽は、それぞれの天元神が招来するアメノミヲヤの
陰陽エネルギーを表しますが、これにより各天元神の陰陽属性がわかります。
すべて抜き出して整理すると、以下のようになります。

  支配期間 (陰暦) 神の陰陽属性 招くエネルギー 地上の気象
の神 11月半〜12月末 3陽1陰 1陽 3陰1陽
の神 1月初〜2月半 2陽2陰 2陽 2陰2陽
の神 2月半〜3月末 1陽3陰 3陽 1陰3陽
の神 4月初〜5月半 0陽4陰 4陽 0陰4陽
の神 5月半〜6月末 3陰1陽 1陰 3陽1陰
の神 7月初〜8月半 2陰2陽 2陰 2陽2陰
の神 8月半〜9月末 1陰3陽 3陰 1陽3陰
の神 10月初〜11月半 0陰4陽 4陰 0陽4陰

天元神の招く陰陽エネルギーにより地上の気象が決定・支配されます。


■天地届く実柱 (あめつちとどくみはしら)
この時点ではまだ陽と陰は分離していないので、”後に” という話に
なるのですが、「陽と陰/上と下 を貫いて結ぶ中柱」 という意です。
“天地つなぐ中串” (あめつちつなぐなかくし) とも呼ばれます。

 ★実柱 (みはしら)
 ミ(実)は ここでは サネ(実・核) の意で、「中心」 を意味します。
 “実柱” は ナカハシラ(中柱) と同じで、「中心に立つ柱・中軸」 をいいます。

透明な容器に水を入れて棒でかき回すと、渦が発生して水表面の中心部分が凹み、
回転を速めるとその凹みは底まで達し、横から見ると柱が立ったように見えます。
これと同じ原理です。


■泡・泥 (あわ・うび)
天元神が回転運動をするうちに、その陰/陽の原成分が抽出され、
遠心分離作用によって、軽い “泡” と 重い “泥” に分かれます。

洗濯機を回して泥汚れを抽出し、脱水処理で泥水を抜くのに似ています。
脱水処理の回転による遠心力で、重い泥は遠くまで飛んで行きますが、
軽い水はあまり遠くまで飛びません。これにより水と泥を分離できます。


■清く (きよく)
“泡は清い” というのは、「泡は澄んで透明」 という意味です。


■宗陽神/棟陽神 (むねをかみ)
ムネ(宗・棟) と ヲ(陽) は同義語で、どちらも 「上・高み・中心」
などを原義とし、ここでは 「上に昇った陽」 を意味します。
・なぜに 宗(=中心) と 棟(=上) が同義であるかというと、日本の
 中心
である東京に向かう電車が、すべて “上り” であるのと一緒です。
・‘ヲ’ は もともと ‘ウオ/ウホ’ の発音が詰まったもので、
 ウオ/ウホは ウエ(上)やウワ(上)の変態です。
カミは ここでは “神” と宛字しましたが、この場合は “上” の意で、
「上流/源流にあるもの・先立つもの・元・本質」 を意味します。

少々長くなりましたが、ようするに “宗陽神/棟陽神” は
「陽に先立つもの・陽の元となるもの・陽のエッセンス」 を意味します。


■濁る (にごる)
ニク(▽和く)+コル(▽交る)の短縮で、「交じる・紛れる・不純となる」
などが原義です。ここでは 「不透明」 という意味でしょう。


■鄙陰神 (みなめかみ)
ミナ(▽鄙) と メ(陰) は同義語で、どちらも 「下・末・隅」
などを原義とし、ここでは 「下に降った陰」 を意味します。
ミナはヒナ(鄙・雛)の変態なので、“鄙” と宛字しています。
カミ(上・神)は 「上流/源流にあるもの・先立つもの・元・本質」 です。
よって 「陰に先立つもの・陰の元・陰のエッセンス」 を意味します。

 

【概意】
水に油が浮かぶように〈天元神は〉虚空を回り、
その回転の中心には “天地届く実柱” が立ち、
さらに回り続ければ “泡” と “泥” に分離、
泡は清くて陽の元、泥は濁りて陰の元。

<泡泥はさらに回り続けるうち、次第に純度が高まり、
ついには 泡から “陽” が、泥から “陰” が精製される。>

 

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 をはかろきよく あめとなり めはおもりこる くにのたま
 うをせのむねは ひのわなる うめのみなもと つきとなる
―――――――――――――――――――――――――――――
 陽は軽ろ清く 天となり 陰は重り凝る 地の球
 ウヲセの宗は 陽の環なる ウメの鄙元 月となる
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■軽ろ清く (かろきよく)
「軽く澄んでいる」 という意で、それゆえ 「動きが速く活発」 で、
その結果 「上に昇ってゆく」 ということです。

 “陽” は今風の解釈では、軽く透明な 「気体や空間」 の、
 また質量をもたない 光や熱などの 「エネルギー」 の元です。


■天 (あめ)
アム(▽上む)の名詞形で、「上・高み・頂・中心」 などが原義です。
ここでは 「重さの無い世界・非物質界・神界・霊界・天上界」 をいいます。


■重り凝る (おもりこる)
「重さを増して凝り固まる」 という意です。
辞書:おもる(重る)

 これも今風の解釈では、“陰” には多少なりとも重さがありますから、
 重力を発生します。その重力により陰同士は引き付けあって集まり、
 すると重力もさらに大きくなりますから、どんどん陰は集結します。
 そうしてついには自分の重力により凝固して、重くて大きな一つの
 カタマリとなります。かくして誕生するのが “地の球” や ”月” です。


■地の球 (くにのたま)
「地球 (ちきゅう)」 です。
日本の古代人は 大地が球形であることをちゃんと知ってたわけですね。
ほんとうは世界中の誰もが気づいていたと思います。
大地は平面だという思想は上から押しつけられたものでしょう。


■ウヲセ
ウホス(▽上す)という動詞の名詞形で、「上るもの」 を原義とし、
上に昇った 「陽」 を表します。
ウホスは オホス(果す)の変態で、「あがる・行き着く・至る」 などが原義です。
ウヲセは “ヲセ” に縮まり、ヲセは “ヲ” または ”セ” に簡略されます。

 ウヲセ → ヲセ ┬→ ヲ (陽・男)
         └→ セ (兄・夫・背)


■宗・棟 (むね)
「中心・上・高み・頂き」 などが原義で、ここでは 「極み・核心」 を意味します。
よって “ウヲセの宗” は 「陽の極み・陽の核心」 という意です。


■陽の環・日輪 (ひのわ)
「太陽・日」 の別名です。
ヒ(陽)は ヒル(▽秀る)の名詞形ヒル(昼)の短縮で、「上り・高まり」 が原義です。
ワ(環)は 「回ること」 が原義ですが、この場合は 「一回りして元にもどること」 を
意味します。つまり 「回帰する所・帰還する所・ホーム」 です。
ですから ヒノワ(陽の環)とは 「陽が回帰する所=ウヲセの宗(陽の核心)=太陽」 です。
辞書には日輪(にちりん)という言葉が載ってます。

 ちなみに 花のヒマワリ(日回り向日葵)は ヒノワの同義語で、
 英語では サンフラワー(sunflower)です。


■ウメ
ウム(倦む)の名詞形で、「下るさま・落ち・劣り・衰え」 などを原義とし、
下に降った 「陰」 を表します。
ウビ(泥)・ヒメ(姫)・イメ(▽妹)・イモ(妹)・ヨメ(嫁)・ヨミ(黄泉)・
ヨヒ(宵)・ヤミ(闇・病)・ヨル(夜) などは ウメの変態です。
また ウメ・ヒメ・イメ の簡略が (陰・女・穢) です。


■鄙元 (みなもと)
ミナは ヒナ(鄙・雛)の変態で、(そのため ’鄙’ と宛字しています)
「下・末・隅・小」 などが原義です。ですからこれも 「陰」 の別名です。
モト(元・本・基)は 「本源・源流・出どころ」 です。
ですからこれは 「陰の本源・陰の極み・陰の核心・太陰」 を表し、
“ウヲセの宗” と対になるものです。


■月 (つき)
ツク(尽く)の名詞形で、「スガル(尽る・末枯る)さま」 を表すと考えます。
すなわちこれも 「下がるさま・落ち・劣り・衰え」 を意味し、“陰” と同じです。
別名を 太陰 といいますが、これは “ウメ” に宛てた漢字かもしれません。

 

【概意】
陽は軽く澄んで天となり、陰は重り凝って地球となる。
また陽の核心は太陽となり、陰の核心は月となる。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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